無題"Waltz of Winter"-白金円舞曲-(Movement:2-2)

舞「お兄ちゃーん、初詣行くよー。降りてきて~」
蛍「もうそんな時間か……おっ、舞、その恰好」
舞「ふふん、どう~? 振り袖だよー」
蛍「おーいいじゃん。似合う似合う」(可愛い)
舞「えへへ、年に一回しか着ないから、ちょっと手こずっちゃった」
蛍「自分一人で着付けできるなんて偉いぞ。よくやった」
舞「えへへ~」

ピンポーン
舞「あ、唯さんだ!」
蛍「なんでわかるんだ?」
舞「お兄ちゃんには唯さんしか友達いないでしょ!」
蛍「うっ……ま、舞の友達かもしれないだろ」
舞「私、家に友達あげたことないもん。お兄ちゃんの居心地が悪くなるだろうからね~」
男(俺に気を遣ってなのか……?)
舞「……ほ、本当に友達いるからね!?」
蛍「わ、わかってるよ」

唯「やあ、さっきぶり」
舞「おはようございます! わわっ唯さん綺麗な振り袖!」
唯「母が張り切ってしまってね。もっと地味なものがよかったのだけれど……」
蛍「ちょっと、着られてる感じだな」
舞「むっ」
唯「ふふ、まったくその通りだね。少し恥ずかしいよ」
舞「それじゃあ、初詣行きましょー!」

蛍「うわーやっぱり人多いな」
唯「はぐれないようにしないとね」
蛍「そうだな。舞、はぐれないように手……って、あれ?」
唯「どうしたんだい?」
蛍「……舞とはぐれた」
唯「言ったそばからだったね」

蛍「おーい、舞ー!」
唯「舞さーん」
蛍「人が多すぎるな」
唯「うん。うわわっ」
蛍「あぶねえ!」
唯「っとと、ありがとう。もう少しで人波にのまれていたよ」
蛍「気をつけろよな。お前まではぐれられたら困る」
唯「ふふっ、面倒事が増えてしまうね」
蛍「そういうことだ」

唯「あっ、今舞さんに似た娘が」
蛍「違う」
唯「えっ、でも似ていたような」
蛍「舞はもっと可愛い」
唯「え」
蛍「俺にはわかる」
唯「……ふふっ、君は本当に舞さんが好きだね」
蛍「う、うるさい。とっとと探すぞ」

舞「あ、お兄ちゃん!」
蛍「舞! 良かった……」
唯「ふふ、再会できてよかった」
舞「……!」
蛍「ちょ、なんで逃げるんだ!?」
舞「お、お邪魔だと思って……!」
蛍「え?」
舞「唯さんとお兄ちゃん、手、繋いでるから……」
蛍「ちょ、こ、これは違うぞ!?」
唯「人波ではぐれないようにしていただけだよ。何も変なことはないさ」
舞「そ、そうでしたか! ごめんなさい、勘違いしちゃって」
蛍「ったく……」
舞「お兄ちゃんが唯さんと釣り合うわけないですもんねっ」
蛍「ひでえっ!」


舞「何お願いするの?」
蛍「内緒」
唯「ふふっ……」
パンパンッ
三人「……」
蛍「……さて! おみくじ引くか!」
唯「うん、そうだね」
舞「よーっし、大吉狙うぞー!」

唯「そういえば、『パンパンッ』ってなんだかいやらしいね」
蛍「新年早々お前はいつも通りだな!!」

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