ページをめくるたび変わる心
読書の時間は、昔から私にとって少し特別な時間だった。ただし、その「特別」というのは少し違った意味合いで。学校での読書の時間、私は他の生徒たちが小説やエッセイに夢中になっている中、こっそりお気に入りの料理本を読んでいた。お気に入りの料理本にブックカバーをかけ、誰にも気づかれないようにして、ページをめくるたびに美味しそうなレシピに思いを馳せていた食いしんぼうな生徒だった。
昔から本に抵抗がある。文字がぎっしり詰まった本は、いつも重たく感じていた。文章が詰め込まれたページを前にすると、なぜか息苦しくなり、本を読む楽しさを見出せず、吸い込まれそうになる。そんな私にとって、知的で洞察力に富んだ知人との出会いが、読書に対する考え方を大きく変えるきっかけとなった。
「この本はね、いろんな形の愛情を知ることができるんだ。」
その人はそう言って、私に一冊の本を手渡してくれた。「アンニョン、大切な人。 ―どの瞬間も当たり前ではないあなたへ」というその本は、チョン・ハンギョンさんと黒河星子さんによるもので、日常の中に隠された美しい瞬間や、様々な形の愛情が描かれているという。この本を通じて、その方は私に「愛おしい」という感情を教えてくれた。
本を手に取り、ページをめくるたびに、文章が描く一つ一つのエピソードが、私にとって新しい感覚を呼び起こしてくれるようだった。それは、人生の中で見過ごしがちな愛情のかたちを、まるでそっと包み込むように教えてくれた。
料理本を隠れて読んでいたあの頃のように、未知のレシピに挑戦するような、新しい世界に足を踏み入れる興奮と同じだった。そして、読書が他者の視点を借りて自分を見つめ直す貴重な時間であることに気づくことができた。
今では、本を読むことが私の日常の一部になった。新しいページをめくるたびに、新しい発見が待っているからだ。何事も行動しないと始まらないとも感じた。ゆっくりとその扉を通じて、これからは、多くの世界に触れていきたいと思う。
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