日本村社会の掟

日本村社会で生き抜くには、良くも悪しくも、以下のような対処をすることが必要になる。これは公言してはいけない裏の掟である。人権上問題のある掟も多々含まれているので注意が必要である。

(1)「入村の心得、転村不可」初めて入った村、生まれた村が一生過ごす村になる。後からはやり直しできないので、入る村の選択をくれぐれも誤るな(結婚時、新卒時、就活とかで)。入ろうとする村のこと(社風とか家風とか)を事前に徹底チェックせよ。寄らば大樹の陰。大きく安定していて将来性のある福利厚生の良い村に入れてもらえ。

(2)「コミュニケーション力の重視」コミュニケーション、協調性を重視せよ。村の中の嫌いな相手にも明るく積極的に話しかけろ。コミュニケーション力が無いと、他の村人から疎まれ、村を追い出されるから気をつけろ。

(3)「飲み会の重視」飲み会、宴会を重視せよ。同じ釜の飯を食うことで仲間、身内に入れてもらえやすくなる。

(4)「村への滅私奉公」自分の所属する村、身内の利益をひたすら考えよ。身内のためにひたすら尽くせ、汗を流せ。長時間働け、苦労しろ、滅私奉公せよ。余所者(非正規雇用者とか)はどうなっても良い、無視して構わない。

(5)「村内の強い人、偉い人への対応」村内の強い人、偉い人(先輩、恩師、上司、姑)を立てろ、媚を売れ。気配りしろ。積極的に懐け、甘えろ、頼れ。反論するな、批判するな、理屈をこねるな、言うことを聞け。良く話をして、そうした普段の話の中からふと漏れ出る彼らの弱みを握れ。握った弱みを盾に相手を思い通りに動かせ。長いものには巻かれろ。力ある者に逆らうな。御用聞きをして取り入れ。ペコペコして溜まったストレスは自分より弱い者をいじめてうっぷんを晴らせ。

(6)「村外の有力者への対応」村外の有力者(役人、議員、資産家等)とのコネ作り、コネ維持を重んじろ。いざという時に助けてもらえるよう、常日頃から恩を売っておけ。

(7)「権威への対応」権威あるもの(欧米の文物とか)にはとりあえず従っておけ。自分もその権威に積極的にあやかり、権威と一体化して箔を付けて、周囲に威張れるようにしろ。

(8)「先輩後輩制の重視」年功序列、先輩後輩制を重んじろ。年を取るほど前例、しきたりが蓄積されて偉くなる。

(8-1)「先輩への処遇」古参、古株が偉いことを肝に銘じろ。先輩を立てろ、敬え、批判するな、とにかく言うことを聞け。先輩の言う通りに動け。

(8-2)「同期の処遇」同期はなるべく同等に処遇せよ。やむを得ず処遇に差が出る場合は、互いに顔を合わせずに済むように周囲が配慮せよ。仕事が出来ない方、コネが弱い方を子会社、子集団に出向、天下りさせろ。

(8-3)「後輩への処遇」後輩に懐かれる、尊敬されるだけの器量(技とか人間性)を持てるよう頑張れ。後輩にバカにされるようでは終わりだ。後輩は部下としてこき使って構わない。

(9)「管理職の登用」村のまとめ役、管理職は、長年村のことを第一に考えてリードしてきた、生え抜きの年功を一定以上積んだ者の中から優秀な者を選べ。役職付きになれる者は上に行くほど限られている。

(10)「役職登用と年齢制限」一定の年功に達したのに役職が付かなかった者は一生下積み、下働きの現場労働だ。

(11)「空気を読むことの重視」自分を周囲に素早く合わせろ。周囲の動きに敏感になれ。空気を読め。自分の考え、独自の意見に固執するな。自分の考えを持つな。周囲と一体になれ。とにかく周囲に合わせて動け。自分を無にせよ。異を唱えるな。その時々のお上や村の有力者、村の仲間、周囲、世間の中で大勢となっている意見に、時々刻々意見を合わせて、カメレオンのように迎合、変身して付いて行け。

(12)「少しだけ先んじることの重視」ライバルや世間の一歩先を行くような気の利いた意見を流布させ、人気者になって力を得よ。先に進み過ぎないようにせよ。

(13)「人気者になる心得」先進国、首都とかで人気が出たもの、出そうなものを、周囲に先んじていち早く取り入れて見せびらかせ。村の人気者になれるぞ、儲かるぞ。

(14)「和合、事なかれの重視」村内部の和を第一に考えよ。波を立てることをするな。揉め事を起こすな。事なかれ主義に徹しろ。空気を読め。

(15)「出る杭は打たれる」出る杭は打て。内輪の和を乱す目障りな異質な者、異分子は寄ってたかって徹底的に叩け、いじめろ、同化させるか外に追い出せ、排除せよ。皆が一つの色に仲良く染まることを理想とせよ。自分は余り目立つな、浮くな。個人行動をするな。皆と一緒に地道に努力して、認められる時を待て。

(16)「失敗回避と自己責任」起こした失敗はそのままでは連帯責任になってしまい、村の身内や偉い人まで対象になり迷惑がかかる。とにかく失敗するな。石橋は叩いても渡るな。慎重に動け。村の身内や偉い人を巻き込みたくなければ自分で腹を切れ(自己責任を取れ、自殺しろ)。失敗したら再チャレンジの機会は無いと思え。

(17)「遅刻、休みの禁止」遅刻は絶対するな(定時に皆揃って一斉作業を行うことが村の行事遂行に必須である)。休むな。這ってでも出社せよ。周囲に合わせて遅くまで残って頑張れ。自分だけ早く帰るな。すると周囲の受けが良くなる。

(18)「村外に追い出されないことの重視」所属する村(身内の集団)から決して外に追い出されないようにしろ。出て行けと言われないように、常日頃から周囲に対する気配りを怠るな。村に何が何でもしがみつけ。一度出されたら次は無い(余所者、浮浪人扱いされ、どこにも入れてもらえなくなる)。

(19)「村への連続所属の重視」所属する村の存続、永続のために我が身を削って滅私奉公せよ。(あるいは、周囲の受けを良くするために滅私奉公している振りをせよ。)所属している村に、死んだり、定年で退職するまでずっと所属し続けよ。村の用意した人生のレール、エスカレーターから決して外れるな、降りるな。外れない、降りない限り、生活は村が保証する。いったん、村のレール、エスカレーターを自分から降りた場合はその後の生活は自己責任で、村は一切関与しない、助けない。

(20)「村八分」村の掟を破ったり、村に迷惑、負担をかける者はみんなで懲戒処分にせよ。村八分にせよ。困っていても無視しろ。自分が懲戒処分されないように村の掟には絶対服従せよ。

(21)「集団自決」村と運命を共にせよ。集団自決せよ。一人だけ逃げ出すなんてもってのほかである。

(22)「村を出ていくのは裏切り者」村を自分で勝手に出て行った者(原発事故避難者等)は裏切り者扱いされるので、その覚悟をしろ。村から出るな。一生を今いる村で過ごす覚悟をせよ。

(23)「気に入らない者への対処」村内で気に入らない者は悪口、陰口、噂話を流して潰せ。

(24)「村の名誉の重視と恥の回避」見栄を張れ。同じ村人として恥ずかしくないようにしろ。村の名誉のために頑張れ。不祥事を起こして身内に恥をかかせるな。身内に迷惑をかけるな。

(25)「内部告発の禁止」村の内輪のことを外部に漏らすな。内部告発するな。漏らした者は裏切り者だ。

(26)「余所者、非村人の入村不可」余所者、非村人(非正規社員等)を信用するな。余所者、非村人を内輪に入れるな。内輪だけで固まるようにしろ。身内のことだけを考えろ。

(27)「強者の神格化」頂点の支配者(天皇陛下)を、お上として神扱いせよ。お上にはいかなる時も絶対服従せよ。お上の家来の役人にも絶対服従せよ。出世するには、厳しい受験競争を打ち勝って、お上の官公庁のキャリアの立場に新卒の白紙採用で身内扱いで入れてもらうことを子息の教育の究極目標とせよ。

(28)「強者への従順」お上にはペコペコ頭を下げて従え。媚を売れ。反抗すると命は無いと思え。お上の言うことは絶対だ。強い者が誰かは時々刻々変化するので、遅れ無いよう、その時々の強者に付いて行け。

(29)「弱い者いじめの容認」お上にペコペコするとストレスが貯まるので、捌け口として弱い者いじめを積極的にせよ。多数で一人をいじめるのは全然構わない。数こそ力だ。集団こそ力だ。浮いた弱い者をいじって叩いて無視して、日頃の憂さ晴らしをせよ。

(30)「ピンはねの容認」自分より強いお上や元請けには、頭を下げて仕事を貰え。ピンはねされても生きていくためには止むを得ないから黙って従え。自分より弱い下請けには、利益をピンはねして構わない。下請けは徹底的に搾取せよ。生きていく上で必要だ。

(31)「強者への反抗、一揆」止むを得ずお上に反抗する時、一揆を起こす時は首謀者が誰か分からないように書類を全て焼却しろ。

(32)「スーパーお上の利用」国内のお上や元請けを動かすには、外国、外資(西欧、北米)とか国連とかの、より強い「スーパーお上」の出羽守になって、スーパーお上の権威ある説の中から自分たちに都合の良い説をピックアップして主張せよ。スーパーお上の身内になって、国内のお上や元請けよりも上の立場に立て。スーパーお上に取り入って、自分の都合の良い情報を吹き込んで操り、その力で、国内のお上を支配せよ。

(33)「新卒一括採用の重視」村に入ろうとする新参者は、自分に反抗しない子飼いにするため、出来るだけ若い新卒の白紙状態の者を揃えて一括採用せよ。色の付いた中途は採用するな。既卒や職歴の途切れた者は村人の気が消えているので採用するな。

(34)「派閥抗争の重視」村の派閥に積極的に入れ。派閥こそが身内の中の身内だ。自分の身内にとってライバルとなる他の村や派閥に気を許すな。ライバルの派閥は身内一丸となって攻撃し、せん滅せよ。やられたらやり返せ。身内の中で力を発揮して実力者の証を見せることを生きがいとせよ。派閥に入ろうとしない八方美人とは付き合うな。

(35)「情報統制の重視」自分たちが負けているとか、自分の村、身内の恥になる都合の悪い情報が流れることが無いよう、徹底的に情報統制せよ。都合の良い情報だけが流れるように記者を会食とかで懐柔し締め上げろ。都合の良い情報だけを広報せよ。都合の悪い情報を流した者、知っている者は、何としても探し出し処分せよ。身内の都合の悪い、恥ずかしい内情は最後の最後まで外部には隠し通せ。焼却処分して消せ。

(36)「根性論、精神論の重視」やる気、根性、精神力があれば、努力すれば、何事もなしうる。科学的指導など意味がない。根性の無い者、耐える力の無い者は、しごいて焼きを入れる必要がある。とにかくやる気を見せないと身内には入れてもらえないし、身内から放り出されるぞ。

(37)「おもてなしの精神」自分の所属する村にお金を入れてくれる元請けやお客様とかは、自分の村の村人で無くても村の存続を図ってくれる有難い存在なので、神様扱いして最大級の心細やかなおもてなしをせよ。

(38)「村を通すことの重視」物事を通す、決定するには、必ず村を経由しろ。身内で協議しろ。村を通さずに、個人で勝手に動いて出来た成果物は信用するな。書籍とか必ず出版社の村の編集を通したものを買え。自費出版書籍とか信用するな。

(39)「個人行動の禁止」個人で勝手に動くな。必ず他の村人にお伺いを立てて、協議を通せ。必ず事前に根回しをしろ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?