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はじめてのときメモGS3〜設楽聖司になんか絶対惚れない編〜

私のプレイ記録:GS4どっぷり→GS1→GS2→GS3初プレイ←イマココ

推し:玲太、零一、真嶋太郎(手遅れ)

攻略順:不二山嵐(通常&PVP回収)→紺野玉緒(テニサーendに発狂し事実上の失恋)→設楽聖司←イマココ


前置き


私は前世で紺野玉緒ルートを掘り進めながら「絶対に設楽聖司になんてオチるものか」と決意していました

それは、紺野先輩を攻略していると自然と発生した彼のイベントがあまりにも“あざとい”ためです

ツンデレで態度がでかくて勉強も運動もできなくて金持ちで世間知らずで庶民の食文化に興味津々で……

こんな属性もりもりで引っかかりだらけの全身フック男を愛してしまうなんて、オタクとして““““浅い””””のでは?

と、かつての私は生意気にも逆張りをしていました(全国1億人のシタラーズの皆様、誠にごめんなさい)

本記事ではそんな『絶対設楽聖司になんか惚れない女』VS『絶対惚れさせる最強トラップ設楽聖司』の対決の記録を記していきます


偏見が強い未プレイ時代の私
未プレイのくせにお人形遊びが止まらない私
未プレイのくせに思想が強い私


1年目


「ふん……絶対に惚れたりなんかしないけど出会ってやらんこともない」とラオウのような顔つきになりながら芸術コマンドを叩くと、爆速で登場した設楽聖司。

美麗すぎるスチルと共に音楽室に降臨します。ま、ま、まあ、この程度ではなびきませんが……


ここで、この出会いについてプレイ後にふと気づいたことをひとつ。

設楽聖司は王子を除いて唯一「邂逅条件が一つしかない」キャラクターなのです。

不二山嵐ならプールのバイト、紺野先輩なら生徒会など、たいていのメイン攻略男子はコマンド以外の出会いを用意されています。

でも、設楽先輩にはそれがない。吹奏楽部に入れば出会えるとか、そんな条件があっても良さそうなのに、です。


これは「設楽聖司という少年がいかに外界を遮断して自らの殻に閉じこもっているか」を暗に示していると、私は思いました。

アルバイトとか部活とか、音楽室と教室以外の『居場所』というものがまるでなくて、彼自身がたびたび語るように本当に『ピアノしかない』生活。

そんな、全てを閉ざして全てを手放した彼と出会うには、音楽室にこちらから向かうしかないのです。


『ピアノしかない』彼が奏でる美しい音色に惹かれた少女が、音楽室という彼の“殻”をこじ開けて、外へと誘い出す。設楽聖司の恋と再生の物語は、必ずそんな筋書きから始まるように作られている。そう考えると、とても意味のある設定に思えてきませんか?

——まあ、これはあくまでただの考察で、全然惹かれてなんかいませんがね?(震え声)

まさかこれが後につながるとは…


それはさておき体育祭に部活にと忙しくする日々。部活は吹奏楽と迷ったんですが、初見はとりあえずいつもの手芸部で様子を見ることにしました。

ていうか、体操着をちゃんと着てちゃんと行事に参加するしたパイ可愛いな……

謎のドッグタグをつけているとはいえ、体操着姿は本当に普通の男子高校生っぽくて、少しあどけなさすらあります。別に全然きゅんときたりはしてないんですが

制服を脱ぐと急にロリになるしたパイ


夏服になる頃には元彼・紺野先輩とも出会いました。こんたまに介護してもらってるくせに「お友達ですか?」と聞かれて「トモダチ……」とE.T.みたいな反応する設楽聖司、さすがに恩知らずで笑う。

意外と身長差ある


初デートは花火大会にしました。普通にいい感じの浴衣を着てくるせつらく。GS3メインキャラの中で最も私服がマシなキャラなだけありますね。

軽率にバンビの浴衣姿を見て赤面するし、軽率に庶民の食い物に興味示して“隙”を見せてくるし、送ってくれた自宅前で軽率に「次行きたい場所、考えておけよ」とか言うし、マジでチョロ可愛いのもいい加減にしてほしいです。

そんなんで私がなびくと思ってんのかァ!?(恋に落ちる音がしたメルト)


これじゃ設楽聖司じゃなくて設楽チョロいじゃねーかwwwww


ちなみに一応夏らしく海にも誘ってみたんですが、風真玲太並みに断り続けるので折れました。ざぁこ♡


夏休みが終わって衣替えが済んだ頃、図書館のスチル発生。メールが打てなくて勝手にもたもたしてる要介護おじいちゃんになぜかキレられました。携帯ショップでバイトしてた頃を思い出します。

この期に及んで機械オンチ属性まで披露するとか、さすがに欲張りセットすぎませんか???

ラーメンチャーハン餃子セットにチャーシュー大盛り唐揚げつきみたいな満腹欲張りっぷりです。高カロリー属性、設楽聖司。


携帯ショップの入り口でよく見るおじいちゃん


くっっっ……こんなあざとい奴に惚れてなるものか……と、どっきゅんどっきゅん鳴る心臓を抑えながらデートを重ねていきます

プラネタリウムや植物園に行ったのですが、美しいものを見ると素直に感心し、それに同調する選択肢がバチ好になるのが印象的でした。

幼い頃から気軽に芸術に触れられる環境であったことも大きいのでしょうが、やはり生来の感受性というものが豊かでそれが彼の音楽に生かされているのだと思います。芸術キャラは伊達じゃありませんね。


態度のでかい赤ちゃん


そんなこんなで1年目は暮れていきます。紅葉を見て気分が高揚したり(ナンチテ😁🖐️💦)うだうだ文句をたれる先輩を初詣に引っ張り出したり、普通状態のままそれなりに楽しく過ごしました。

そして冬休みも明けた頃、校内イベントでクラスの女子に割と本気で怒られる設楽先輩を目撃。日直をサボってたらしくて草。

「キャー♡設楽くーん♡」じゃなくてちゃんと嫌われてる感じがリアルでいいですね。
こんな性格のやつ、いくら顔が良くてもずっと一緒にいるとイライラして当然ですからね……バンビの忍耐がすごいんや。

その後反省したのかちゃんと黒板消しを掃除する謎スチルが発生して爆笑。

設楽先輩って、明らかにこちらを「キュン」とさせるようなイケメンスチルより、隙を見せて「萌え」させるスチルの方が多く作られてますよね。制作側も意図して萌えキャラに作ろうとしているのがわかります。

ていうかこの人、黒板消しとかたんぽぽとかたこ焼きとか、色んなものにあたふたしてること多すぎだろ。バブちゃんかよ。


観覧車に乗る虚無顔バブちゃんで5分くらいツボってた


こんな態度クソデカ要介護バブちゃんなんかぜ〜〜〜〜ったい好きにならないんだから!!

とか思いながら手づくりチョコを作り誕プレを渡すと、ホワイトデー直前にギリッギリ友好突入しました。

ホワイトデーのお返しはマカロンです。地味にプレゼントのセンスがいいのが本当に悔しい。


2年目


なびく寸前でギリッギリとどまりながらも、心を強くもってデートや下校に誘いまくります。

4月の私の誕生日には、シルクのハンカチをくれて「お、おしゃ〜〜〜〜!!(おしゃれすぎて草の意)」と叫びました。マジでプレゼントのセンスが抜群。

こんなクソデカ態度で誕プレ渡しにくるやつおる???


先輩組と下校デートで「学校について」の話題を掘り下げます。

すると、テニサーメガネ(※紺野先輩♡)が「中学時代の設楽は今よりもっと……」と、高校生の今より更にわがままボーイだったことを仄めかしました。

二人の出会いは今のところ明確に描かれていませんが、そうして周囲との軋轢を生んで孤立を深めていた設楽先輩を見かねて紺野先輩が手を差し伸べて、今の関係が生まれたのかもしれませんね。

したパイはもっとこんたまに感謝しろ。

したパイを見る目が完全に心配性のお父さん


この直後、唐突な好き状態突入!!!軽率に頬を染めてくる!!!運動できないくせに二人三脚に立候補してくる!!!

運動できないくせに1位になったら「俺と組んだんだから当然だろ?」とドヤるの可愛い!!!悔しい!!!好きになっちゃう!!!

あっぶねえ……もってかれるところだった……と肩で息をしながら好き状態後の初デートをこなし、ミヨちゃんに好感度を聞くと、まさかの一段跳びでときめき状態になってて笑った。チョロすぎるだろやっぱこの人バブちゃんだわ。

やかましいわ


好きにならないギリギリのラインを綱渡りしながら海デートや期末テストをこなしていきます。

設楽先輩って、バンビが学年1位をとったときもそうなんですけど案外素直に人を褒めるんですよね。自分も努力してきたからこそ、他人の努力に敬意を払っている。

そんな先輩が素直に褒められないのは好きな女の子のファッションや水着姿だけっていうのがとても良いです。

全然、マジで全然好きになんてなっていませんが。

そんな顔しても好きになんかならないからなっっっっ!!!


夏休みが明けた秋口には、相変わらず携帯スキルがおじいちゃん並みな設楽先輩からメールが届いて、音楽室スチルが発生。

かつて神童と呼ばれていた過去と、中学二年で自らを上回る神童に出会い挫折したことを告白してくれました。

紺野先輩が喫茶店で語っていた中学時代の設楽先輩は、きっと初めての挫折を経験し、自らの全てだったピアノを手放して自分という存在がわからなくなっていた頃なのでしょう。今よりもっと……というのはそういう意味だったのです。

この話を聞くと、今まで属性もりもりなツンデレキャラとしか思っていなかった設楽先輩の過去の言動が全て腑に落ちました。

先輩が尊大な態度をとるのは、決して甘やかされて育ったおぼっちゃまだからではなく、尊厳そのものと言ってよかったピアノを手放して何もなくなった空虚な自分を守るための防衛手段だったのです。

そもそもピアノ以外に取り立てて特技のない彼が、誰にも馬鹿にされないよう身につけた、彼なりの処世術なのかもしれませんね。


先輩は、自分がいつかピアノに飽きてこの未練を断ち切れると思っていたこと、でもバンビに出会って気が変わったこと、これから本気でピアノと向き合って、最初の演奏を聞かせやるということを語ってくれます。

もう、この時点で胸がいっぱいで人語を失っていました。

ずーーーーーっと塩対応が続いた後に関係が深まって、唐突にこんな弱みを吐露される。
そんなただでさえ素敵なエピソードが、出会った頃と同じく「音楽室に向かう」ことで発生する、というギミックが出来すぎています。

こんなの好きにならざるをえません。い、いや、私は訓練されているので全然好きになんてなっていないのですが……


全っ然なびかないままデートを繰り返し、激セクハラ大接近モードもこなすようになります。紅葉のときめき会話良すぎました。


そんなこんなで時は流れて学園演劇。演目はチェーホフの「かもめ」。高校生の演劇にしては渋すぎます。

先輩はコスチャ役、バンビはニーナ役(本作においてはややこしい字面)。

二人は恋人同士の役柄でキスシーンもあるのですが、どう演じたか想像するだけでニチャニチャしちゃいますね……


自分の道を見つけたばかりの先輩


自分には女優の才能があると信じ、作家志望の恋人である先輩を突き放して夢を追いかけようとするバンビを、先輩が引き留めてアドリブを始めます。

「あなたが、そして私が才能に一途に生きたとして……行き着く先が行き止まりだったらどうするのです?」
「才能に見放され、他に何も持たず、それ以上進むことも引き返すこともできない」
「才能に一途に、なんて……それがどれだけ危険な賭けか、あなたは本当に理解しているのですか?」

明らかに、自分自身とバンビに向けて語りかけています。

設楽先輩ルートで繰り返し強調されている「設楽聖司にはピアノしかない」ということがここで活きてくるんですね。


ピアノ以外に何も持たない元神童は、どれだけ行き詰まってもその才能にすがって生きていくしかない。

でも、才能に一途に生きてピアノと向き合ったところで、その努力が花開くかはわからない。まさしく危険な賭けです。

秋のイベントで先輩が決意した道はそういった残酷さと表裏一体で、先輩はそれを誰よりもわかっているんですよね。

そして、自分と同等かそれ以上の天才がこの世界にはゴロゴロいて、芽が出るのはほんの一握りだということも、ちゃんとわかっているんです。何も知らない人には自信家に見えるかもしれませんが。

けれど、もう立ち止まってはいられない。行き着く先が行き止まりだったとしても、前に進むしかない。

全てをのみこんだ上でそれでも歩むことを決めた、先輩の葛藤と決意の強さがよく表れた名シーンだと思いました(小並感の上にアルミカン)


夢のために愛を諦めるお話なんて、設楽先輩は許せないんですね


全っっっっっっ然好きになんてならないけど良すぎ〜〜〜〜!!!!好きじゃないけど結婚して〜〜〜〜!!!と発狂しながら文化祭は終了。

わざと体調を崩して倒れたり、卒業間際に補修をサボって大迫に追いかけられる設楽先輩を目撃したり(もうダメだこいつ)、クリパで先輩をデレさせたりする日々。


ここらでふとプロフィールを確認してみると、出会った頃より身長が1センチ伸びてて笑顔になりました。1センチとか普通に誤差だと思うのですが、
身体測定で「絶対に伸びてる」と主張したかと思うと愛しいです。
ていうかあの設楽聖司が体操着着て身長とか座高とか測ってもらってるところを想像するだけで死ぬほど面白い。


痩せ過ぎもっとメシ食え。たこ焼きとか

設楽先輩は日本人男性の平均身長とほぼ同じなんですが、他のGS3男子と比べると小柄でガリッガリなんですよね。
小さいけど態度は一番でかいしたパイ、弱くてかわいいね♡


全っっっっ然好きになんかなってないけどね!?!??!?!?
でも今年も本命チョコあげるけどね!???!?!?!??!??


したパイってさァ……手作りチョコ渡した時もそうだけどさァ……マジで人の努力の過程を重視して褒めてくれるの普通に良いよね💢💢💢💢💢💢💢💢💢


くっっっっ……負けそう……

そして卒業式へ。写真がどうとか普段喋ったことないのにとか、設楽節全開です。

でも第二ボタンは死守してくれるところ“好(ハオ)”………
たぶんバンビのことを思い出して「あいつなら欲しがりそうだな」とか思ったんでしょうね。

先輩の中でのバンビが「なぜか周りをうろつく後輩」ではなく「自分を想ってくれている、または想っていてほしい存在」に変わり始めているのがよくわかります。

第二ボタンがどれかわからなくなって三つともくれるあたり、本当に『設楽劇場』って感じでいいですね。かっこいいけどいつもどこかズレている、それが設楽聖司なんですね。


3年目


先輩は卒業しましたが、相変わらずデートに引っ張り回す私バンビ。

普段はパラ上げ優先でそんなに連日デートをするようなプレイスタイルではない私ですが、設楽先輩に関しては選択肢がトリッキーかつ予測不能、そしてときめき会話が可愛すぎるというのもあって、いつも以上にデートが増えてしまいました。

惚れてなんかいないのに、何ででしょうね……(クソで固め息)


追加デートで屁理屈を聞いたり、大接近モードでセクハラしたり、とにかく楽しい日々。

印象的だったのは煉瓦道でのデートです。通り雨に降られて雨宿りをするスチルが生えるのですが、あのツンドラな先輩がバンビを庇って濡れてくれるんです。このイベント、普通状態でも発生すると聞いて腰を抜かしました。


じゃあデートの相手がバンビ以外の女でも同じことをしたのか、と言われると私はそうは思えません。日直のイベントが『並の女への対応』そのものだと思うからです。

設楽先輩はそもそも、バンビでなければデートになんか応じないはずなんです。
だから、好感度が普通であれ誘われれば行く。雨に降られれば庇ってやる。
要するに、普通状態であってもデートに応じてもらえてる時点で、十分設楽聖司にとって特別な女の子になれているということなんですよね。


ではそれはなぜか。私なりに考えてみたんですけど、やはり『彼が閉じこもっていた殻である音楽室を開けた』というあの出会いが、きっかけになっているように思えます。

出会いイベでも卒業式でも描写されているのですが、みんな設楽先輩の演奏を聞いて感動してはいるけれど、誰もやってこないし扉を開けない。つまり誰も彼に近寄ろうとしないんです。

いつも遠巻きに見て、聞いて、卒業式や合唱会のときくらいしか感想を言わない。だからこそ、わざわざ聞きにやってきてドアを開けて、面と向かって「素敵ですね」と言ってくれたバンビに特別な感情が芽生えて、興味を抱いてデートをして、そこから恋が生まれたんでしょうね。


そしてそんなバンビとの恋があったから丸くなって、卒業式にみんなが声をかけてくれるようになった。
そう考えると、ピアノへの未練だけで過ぎていくはずだった彼の高校生活に少し光がさしたようで、私はあの卒業式の日のイベント全てが好きです。

し、し、設楽先輩のことはまだ好きじゃないですが。


時は流れて三度目の花火大会。「来年もまた来ましょう!」と無邪気に語りかけるバンビに、設楽先輩は「ああ」と言いかけてやめます。


「それはどうかな……わからない」


この一言でなんとなく察しました。優秀な音大生は欧州へ留学をするのが普通だとのだめカンタービレで学んだ私です。

きっと設楽先輩も、向こうの学校で学んだりコンクールに出たり、そういった道を辿ってプロになる算段なのでしょう。

いつまでも日本に留まって高校の後輩と遊んでいられるほど、先輩の目指す道は簡単ではないのです。

けれど、それをはっきりとは口にせず、ただ切なそうな顔をするだけの設楽先輩——どこまで私を好きにさせれば気が済むんだ。全然好きじゃないけど。


そして夏が終わると、先輩はなんちゃら国際ピアノアジアコンクール?で準優勝を果たします。かなりのブランクがあってこれはすごいと素人の私にもわかります。

「この曲、いつも放課後に弾いてた……」
「こんなにたくさんの人が、設楽先輩を見てる……」
「どうしてだろう。涙が出そう……」

このバンビの独白につられて私もちょっと泣きました。
はじめは音楽室にこもって独りきりで弾いていた曲が、突然現れたバンビによって外へと連れ出され、今や大観衆がその音色に耳を傾けている。
こんなにも美しい物語があるでしょうか。

そう考えると、全っっっ然設楽先輩になんてときめいてない私も、なぜだか涙がこみあげてくるのです。

先輩、バンビに見つけてもらえてよかったですね。


もう負けたからって絶望したりなんかしません


余韻に浸る暇もなく、学園生活は足早に過ぎ去っていきます。
テストに文化祭に勉強にとそれなりに忙しく過ごして、デートもたくさん重ねました。

大接近モードはいつも終盤になると作業になってしまうこともあるのに、設楽先輩の大接近は反応やセリフがとても面白く、今回ばかりは最後まで楽しみ抜きました。


ここで箸休めに、声豚的キモ語りをさせてもらうと、全編通して設楽先輩役の立花慎之介さんの演技が素晴らしかったです。

彼は女性向け作品に多く出ているからか『吐息』や『泣き』の演技に定評があり、大接近後のぎゃいぎゃい喚く台詞にとても臨場感が出ていて、シンプルに「演技うっま……」という感想が口から飛び出しました。

小さく舌打ちしたり声を上ずらせたり細かくブレスを挟んで動揺を表現したり……とにかくテキストでは表示しきれない細かいお芝居というものが非常によく練られているので、一度テキストを追わずに耳に集中してプレイしてみてはいかがでしょうか。

「いい湯だな」のカトちゃん?

(別作品で申し訳ないのですが、立花慎之介さんはアイドリッシュセブンのユキ役を演じられたときに本気の号泣演技を披露されていて、鼻のつまった感じや少し痰の絡んだような唸り声が引くほどリアルで良かったので、シタラーズの皆さんはぜひ4部の13章をご覧ください。実況でしか知らないのでワイも詳しくは知りませんが)


話を戻して、時は3年目クリスマス。先輩に誘われ、バンビは高校最後のクリスマスパーティをブッチします

先輩組のクリスマスイベは卒業済みであるという事情を考慮すると、どうしてもクリパをサボらなければならないのですが、
高校最後のパーティという一大イベントを迷わずサボってまで会いたい人がいるって、とても素敵な恋をしている証拠ですよね……
これ入力しながらなんか一人でグッときてしまいました。


先輩が連れてきてくれたのは一流音大のクリスマスコンサート。のだめカンタービレでよく見たやつです。

演奏について文句を織り交ぜながらも熱く語る設楽先輩が本当に楽しそうで、全然惚れてなんかないのに胸がぎゅんぎゅんしました

音楽を取り戻してからの先輩は、ずっと楽しそうですし、ピアノに没頭できる音大生活は同じ志をもつ仲間もいてとても充実しているのでしょう。
バンビの知らない設楽先輩ですが、バンビがいなければ見られなかった姿とも言えます。

楽しそうな顔しろ

そして二人はイルミネーションの下を歩きます。急だったからプレゼントも何もないと言う先輩。そういえば私も、とバンビが返すと先輩は笑っていいます。

「おまえはいいんだよ。今、ここにいるだけで」
「俺は他に何もいらない」

容姿も名誉も家柄も、全てを手にしているように見えて実はピアノしかなかった設楽先輩——
ピアノだけが全てで、音楽に縋って生きてきた彼が、バンビに手を差し伸べて「お前がいれば何もいらない」と言って微笑む。

この言葉と感情を英訳するならきっと、I love youしかないに違いありません。

ピアノに真剣に向き合って、ピアノと共に再度人生を歩むことを決意した先輩ですが、ピアノと同等かそれ以上に大切なものを見つけられたんですね……

一人の女の子との出会いで、傷口をなぞるばかりだった人生が一変する。ベタかもしれないけれど、とても素敵なラブストーリーでした。


そしてあっという間に高校最後の元旦。別れ際、設楽先輩は唐突に

「おまえは日本に収まる器じゃないから、国外に出ろ。海外に目を向けろ」
「……と、言われたとする。おまえはどうする?」
「そういう進路もあるってことだ。考えとけよ。じゃあな」

とこぼします。

きっと、あの花火大会以来先輩なりに色々と考えて、その結果先輩らしく「あいつが俺についてくればいいだろ」といつものジコチューな結論に至ったのかもしれません。それでこそ設楽聖司です。

可愛過ぎマジで結婚してほしい。全然惚れてなんかいませんが。


何もかも覚悟を決めたような、そんな顔に見えます


そうして色々なことが吹っ切れた結果、設楽先輩は教会に来てくれました。

先輩は鬱屈していた過去を振り返り「弾けば弾くほどピアノも自分も嫌になる」と、出会った時の台詞を思わせる言葉であの頃の憂鬱を表します。

「……そんなとき、おまえに会ったんだ」
「おまえの言葉は、不思議と入ってくるんだ。俺の中に」


逃げて逃げて逃げ続けて、ずっと閉じこもっていた彼の中にバンビはいつだってするりと入ってくるんですよね。初めて会った日の音楽室もそうでした。

「……それに、おまえといると時々ピアノを忘れるんだ。これがどういうことかわかるか?」
「物心ついたときから俺にはピアノしかなかったんだ。それなのに……」
「……本当はそうじゃないって教えられたような気がした。ピアノだけが俺の全てじゃないって」


設楽先輩ルートの随所で強調されていた「俺にはピアノしかない」がここでも登場します。

けれど、今の彼はそうではない。バンビと出会って、初めての恋をして、ピアノだけが全てじゃないことを知った。

つまり、もう以前のように負けることや失うことを恐れて逃げ回らなくてよくなったんです。

負けたって、全てがなくなるわけじゃないから。大切なものはまだ残っているから。だからこそ何度でもピアノに向き合って挑戦できる。
恋を知った設楽先輩は以前よりずっと強くなって、確固たる意志で演奏家の道を進むことができるようになったんです。


惚れてなんかないはずなのに、この時点で息が苦しいほど泣きました。

普段はああだこうだと理屈や偏屈をこね回す設楽先輩が、まっすぐ目を見て素直な言葉で想いを打ち明けてくれるだけでも泣けるのに、
こんなにも辛さや弱みを見せてくれるなんて、もう干からびるほど泣くしかないです。


「おまえが好きだ。おまえの気持ちを知りたい」

飾らない愛の告白に「私も」と答えると、うまく飲み込めずに狼狽する姿が意外でした。
「いや……そうすんなりオーケーされるとは思わなくて」


尊大な態度ゆえに自信家に見えるけれど、実はそれほど自己肯定感が強いわけでもない設楽先輩が好きです。

絶対に好きにならないと決めていたけど、もう観念するしかありません。設楽先輩が好きです。
告白を受け入れてもらえると、優しく微笑んでたった一言「ありがとう」と呟くところも、本当に大好きです。


想いが通じ合った直後、先輩はいつものドヤ顔に戻ってパリに留学することを打ち明け、

「来いよ、おまえも。そばにいるんだろ?」

と設楽節を披露します。やはり、彼なりに離れてしまうことを悩んだようですが、やはりバンビを諦めたり離れたりという選択肢ははなからなかったようです。

「来てほしい」「考える時間くらいやるよ」

本当に大事な時は命令口調じゃなくて真摯に語りかけるのほんとずるい……好きにならざるをえない……


とにかくこうして二人は結ばれて、教会で誓いのキスを交わしました。


一周目はとりあえず一流大学に入学。春も終わりに近づくと、先輩はパリに留学してしまいました。

本当に、留学が迫ってなおかつバンビが卒業してしまうあの卒業式の日がベストタイミングだったというか、
この機を逃したら想いを伝えられないまま離れ離れになってしまうと思ったんでしょうね。

そう考えると、先輩がどんな思いで教会まで来てくれたのかが改めてよくわかります。

きっと、鈍足のくせに柄にもなく全力疾走とかしてたんでしょうね。
運動が苦手な彼らしく、多少もたついたフォームで。


小柄な先輩なのでキスしやすそうです


総評


結論から言うと、絶対に惚れないと意気込んでいた私の完敗でゲームは終わりました。

属性の欲張りセットなんか絶対好きになんかならない!と決めていたのに、最終的に属性ではなく人柄そのものを『愛させてくる』男だったからです。
これが勝負の敗因です。


ツンデレとかポンコツとか天然とか、そういったわかりやすい魅力も人気の理由の一つだとは思いますが、

彼の人格そのものもまた、少し不器用なだけでとても繊細で清らかで優しい人柄なのですから、人気にならないわけがありません。

人気キャラ設楽聖司の人気たる所以と、底知れぬ魅力の深淵に触れてしまったルートでした。


とりあえずこのあとは設バンの解像度を上げるためにのだめカンタービレを一気見して、それからPVPや三角関係をやりこんでみようと思います。

乱文にもほどがある私の長い妄言を読んでくださりありがとうございました。

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