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訪問診療やってます

当院は20年以上佐賀市を中心に訪問診療も行っています。
先日長年のかかりつけ患者さんから家族が訪問診療開始になったと話があり、「先生のとこ訪問診療やってたの?」「お願いしたらよかった」と言われる場面がありました。

そこで気づきました。
「知らなかったのか!!」と。

ということで、ホームページ内にも記載していますが、
当院がどんな訪問診療をしているか書いておこうと思います。
今回は概要、次回は実際の導入までを説明します。

訪問診療って何?

A.しらみず診療所の訪問診療について

 訪問診療というのは自宅に医師が訪問して、診療を受ける医療サービス。
医師が診療スケジュール、療養計画を策定しながら定期的に自宅での療養を行っていきます。在宅療養支援診療所ですので、24時間の往診対応なども行っています。
 長年通院している方でも、他院を通院中でも、入院から退院してすぐでもどなたでも、対象条件に当てはまれば申込可能です。
○メリット
 自宅に医師がきてくれるので通院負担がない。
 何かあればいつでも相談が可能。必要に応じて往診も可能。
○デメリット
 フリーアクセスの自由な外来診療とは違いますので、自分の都合で訪問日程を決めるというよりは、ご相談の上、事前に訪問日程を決めてその日に訪問診療を受けることになります。予約制の外来と同じような感覚となります。
 今月は訪問、今月は外来と気軽にあれこれ変えることはできません。
 外来診療より費用がかかります。

Q訪問診療の対象者ってどんなひと?

A.対象条件は「在宅で療養を行なっている患者であって通院が困難なもの」と定められています。つまり、何の病気かなどは関係ないのです。
当院に通院している、通院歴があるかどうかは関係ありません。

Q全くかかったことないけど相談できる?

A.初めましてでも、気軽に相談してください。
 入院中でも退院後でも構いません。
 電話で直接でも構いませんし、ホームページ内に申し込みフォームも作成しています。

Qどんな場合に相談していいの?

A.「通院が大変になってきた」
「家族が連れて行かないと通院できず、家族負担が大きい」
「いつかは通院できそうだけど退院してしばらくは通院は難しそう」
「総合病院でがん治療を受けているけど、通院が大変。そっちの定期通院はなんとか連れていくけど、普段の診療や緊急対応はお願いしたい」

 3つ目のケースは一時的な導入で、退院後歩けなくて訪問を導入したけど、身体機能が改善して外来に通えそうだがら通院に戻るといった事例です。
 4つ目のケースはがんや心不全などで、専門医に通院している。なんとか通院しているけど毎月の受診に家族が連れていくのが大変。普段の気軽な相談役、健康管理の主治医として訪問診療を導入し、がん治療など専門的な診療のみを総合病院に頑張って連れていくという事例です。専門家主治医と普段の全身管理の医師としての2本柱で支えていく感じです。

 相談のハードルは低くて良いです。どうするのがいいか相談していただいてから一緒に考えていければいいかなと思います。

Q往診って何?訪問診療との違いは?

A.
○訪問診療:定期受診と同じ感じです。
 「医師が療養計画を策定し、計画的に自宅へ訪れ診療する」
○往診:緊急での受診と似たような感覚です
 「患者・家族・介護者が求めた場合に、医師が必要だと判断したら自宅に訪れて診療する」
 患者さんたちが求めたとしても、それを医師が必要と判断しない場合は往診でなく、電話での話し合いなど、別の方法でトラブルを解決する場合があります。

○基本的な考え方
 基本的には訪問診療とセットで考えますので、対象も訪問診療の対象となる方が対象となります。訪問診療を行なっている患者さんの緊急受診のためのシステムと考えてください。

○例外的対応
場合によっては訪問診療以外の方も対応しています。
基本的には依頼を聞いて、内容によって往診が必要か判断します。
よくある事例を2つ上げます。

『訪問導入のための往診』
 今後訪問診療が必要になりそうだが、もう病院に行けない、往診してほしい。という場合は今後訪問診療が必要になるかの見極めも兼ねて訪問診療の初回導入として往診を行う場合もあります。  
『本当に緊急で病院に行けないケース』 
 自宅で倒れたすぐきてほしいなど、今後訪問にならないけど緊急で対応しないといけない時なども例外として対応する場合もあります。

訪問診療ってどこまできてくれる?

 どこまできてくれるの?という質問があります。
【主な訪問可能地域】
佐賀市、小城市、神崎市、上峰町、吉野ケ里町
【場合により訪問可能な地域】
多久市、みやき町、江北町、白石町、大川市

訪問診療の対象範囲

訪問診療で何ができるの?

Q.何が訪問診療でできるか?

A.当院の訪問診療では通常の診療や緊急の往診以外にできることは以下のことがあります。

血液検査
超音波検査
在宅酸素療法
在宅緩和ケア:次の項で詳しく書きます。
専門医主治医との外来の併診


Q.今の主治医の先生のところを辞めないといけない?

A.主治医の先生にどんなことを求めているかがポイントです。
・日々の体調管理をしてもらっているかかりつけ医
→当院と昨日が被るので、日々の体調管理を当院に変わることになります。

・特定の臓器を専門的にみてもらっている専門医
例えば肝臓の病気だけを見てもらっている先生に通っている場合
通院が大変だけど頑張って通いたいという方。
普段の体調管理や緊急時の対応は当院が訪問診療しながら、専門医の先生には頑張って通院するということが可能です。

在宅緩和ケア

Q.在宅緩和ケアの対象は?

A.対象の疾患の制限はありません。すべての苦痛のある患者さんが対象です。治療中でも疼痛や苦痛に対応します。
 ホスピス・緩和ケアというと、悪性腫瘍(癌)を患った患者さんが対象のイメージがあると思います。
 これは病院のホスピス・緩和ケアの対象者が「主として緩和を必要とする悪性腫瘍の患者又はエイズの患者」と規定されている影響だと思います。
 在宅での緩和ケアはもっと自由です。対象になるのは「通院が困難な患者」ですので疾患は関係ありません。以前は治療が困難と判断された患者が緩和ケアを受けると思われていましたが、今では治療中の患者さんでも苦痛の度合いに応じながら適宜対応していきます。
 癌だけではなく、心不全や神経難病、老衰など様々な苦痛に対応していきます。

当院が行う在宅緩和ケアのイメージ

 フルで当院の機能を使った場合が以下の図の様になります。この図のどこからでも相談することは可能です。図の通りに病状が進行しない人も多いですので参考例としてみてください。疾患によっては治療して復活して在宅から外来へと復帰という場合もあるでしょうし、ぎりぎりまで専門医主治医外来を行いながら、最期の数日だけ在宅医が関わるという場面もあるでしょう。
それでは解説していきます。

当院が行う在宅緩和ケアのイメージ

発症前

 かかりつけ医として関わります。診断に至るまでの診察や紹介、または健診などで気づいた時のアドバイスなどを行います。

疾患の診断〜治療

 診断に至る前から治療が始まるまで不安も大きいと思います。
専門医の先生は忙しく、十分不安について話せない、説明を聞いたけどわからないところが質問できなかったという場合があるでしょう。
当院の外来でも不安や疑問について解消しながら、専門医主治医の先生とのコミュニケーションをどうしていくかもご相談しながら診断・治療に向けてアドバイス・サポートします。

ここで改善した場合は、当院と専門医主治医の先生のところを行ったり来たりしながら治療していきます。安定して来れば他の疾患と合わせて当院で管理していきます。

苦痛の出現

 苦痛が出現した時が緩和ケアの開始です。それは「身体的(痛み・吐き気など)」「精神的(ショック、不安など)」「社会的(仕事や家庭、家族について悩み、家族が抱く悩みなど)」「スピリチュアル(生きることへの意味、死の恐怖などから生じる苦悩)」が起こることがあります。
それに対して、専門医主治医の先生と一緒に当院でもサポートしていきます。

通院困難。でも主治医外来には頑張っていく。

 主治医外来に通院しながら治療を受けたい。でも何かあった時にこまめに受診するのは体力的に難しい。家族もこまめには連れて行けない。
このタイミングが訪問診療導入のタイミングです。
この頃から役割が分かれていきます。
普段の体調管理や緊急時の対応を「在宅医」
疾患の管理や検査などを「専門医主治医」
このように協働して行っていきます。
体の状態に応じてどちらがメインで見ていくかの比重が変わっていきます。

通院困難。治療も難しくなった。

 このタイミングが専門医主治医外来が終わるタイミングかもしれません。
緩和ケアに比重が置かれていきます。
 この先には最期の時をどう迎えるかという話も出てきます。
最期をホスピスや病院への入院で迎えるか、最期まで自宅や施設で迎えるか、いずれにしてもご本人・介護者が「自宅で医療を受けたい(受けさせたい)、自宅で過ごしたい(過ごさせたい)」という思いがあるなら訪問診療での在宅緩和ケアが可能です。
 とりあえず、訪問診療を導入しながら、病院と行ったり来たりでも構いません。自宅でより穏やかに過ごせるように話し合いながらサポートしていきます。

最期の時だけでも自宅で

 状態が悪くなってきて、余命が宣告された。
長く自宅で療養することはできなかったけど、「最期の時だけでも自宅でみんなで見てあげたい」と思う人もいるかもしれません。数日だけでも自宅に帰ることができるようにサポートすることも可能です。相談してください。

最後に

 訪問診療についてのイメージをしてもらえたでしょうか?
選択肢として訪問診療という戦略があることを知ってもらえるといいなと思います。
医療・介護の話は難しいと思います。
迷ったらまずは相談してください。入院中でも構いません。
どんな形でサポートしていくのが良いかは患者さん・家族によって、十人十色です。
その患者さん・家族・取り巻く環境を丸ごとみながらサポートしていくのも家庭医としての役割です。

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