ダイエットは生き方を選ぶこと
今日は久しぶりに臨床の話。
肥満外来の話。
ダイエットをしたいと来院してくれる人がたびたびいます。
当院の肥満外来の目標は
「当院の外来から卒業して自分で人生を楽しみながら体を維持すること」
必ず話すことは
「自分で自分の体をコントロールできるようになってください」
ということだ。
肥満外来のやり方は以下のようなやり方になる。
「体重日記をつける」
「食事記録をつける」
「運動記録をつける」
やることは主にこの3つを勧める。
これに加えて希望があれば漢方薬での体質改善を補助として利用する。
なぜ、「体重日記」「食事記録」「運動記録」の3つなのか。
人はいろいろなバイアスによって
『やせたい』と言いながら『自分自身に目を向けない』からである。
ダイエットにはいろいろなバイアスがかかる。
解説していきます。読みとばしても構いません。
<ダイエットにかかわるバイアス>
・確証バイアス:自分の信じたい情報だけを重視して、合わない情報を無視する。
・短期的快楽バイアス:長期目標より目先の快楽を優先してしまう。
・現状維持バイアス:変化を避けて、現状維持しようとする。
・自己奉仕バイアス:成功は自分のおかげ、失敗は外部の要因のせい。
・部分最適バイアス:これまで費やした時間、お金、労力などを無駄だと考えたくないために、効果が出ていないのに継続してしまう。
・ハロー効果:ある一つの特徴や印象がほかの評価にも大きな影響を与え、全体の評価をゆがめてしまう。
・社会的証明バイアス:他人の行動や意見を参考にして自分の行動を決定する。
ダイエットは生き方を選ぶこと。
ダイエットをする。
僕はダイエットは「生き方」を選ぶことだと思っている。
毎日自分と向き合い、自分の体の声を聴きながら
「食べ方」
「動き方」
「楽しみ方」を決める。
その中で
「満腹」という快楽を求めるか
「おいしく食べる」という満足感を求めるか
「運動がきつかった」と苦痛に感じるのか
「運動してすっきりした」という爽快感を感じるのか
すべてその人の価値観に基づく「生き方」である。
僕がやるのはそのお手伝い。
「体重日記」「食事記録」「運動記録」
何気なく無意識で働くバイアスをできるだけ除去して
客観的な指標、記録と向き合いながら、
自分の生き方や価値観と向き合っていくこと
それができていくと、ダイエットではなく
単なる習慣や価値観、信念に合わせて、
体をコントロールできるようになる。
最初は記録をして
自分の生活を棚卸する。
その後は記録をみながら
自分の習慣(食べ方、動き方、イベントなど)
がどう体と関連しているか分析していく。
それを見たうえで、医療者の目線から見た
改善点、手の抜き方、維持するところを
外来で話していく。
これを継続できた人は大抵痩せていくが、
薬をもらいに来ることが目的になっている人は
大抵痩せきれないことが多い。
それでも僕から無理強いすることはない。
どこまで支援を必要とするか、実行をするかは
患者さんにお任せする。
無責任のようにとられるかもしれないが、
それもその人の生き方の選択だ。
すべてを選ばなくても
できる限りの支援をしていく。
うまくいく人は自分で分析して、
だんだん自己分析を報告していく外来になり
アドバイスすることもなくなっていく。
そして、卒業していく。
ここが理想で最終目標。
最後まで付き合っていく。
外来では痩せられなかったら
「すみません」と謝る方も多い。
僕が怒ることは絶対ない。
それは、それもすべてあなたの選択であり、生き方だ。
今頑張れなくても、
WellBeingに向かっていく意志があり
通院を続けてくれている。
頑張れるときに頑張るリソースをもっておき、
完全にやめる決断をしないことが大切だ。
僕に支援を求めてくる限り、支えていく
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