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家庭医がみる〜便秘のはなし〜

今回は便秘の話です。
意外と便秘で悩んでいる方は多いし、最近は色々な薬が出ていて選択肢も増えているので解説しておこうと思います。

便秘ってなに?

便秘って何?って話です。
「私って便秘なんですか?」聞かれる方もいます。
便秘って何を持って便秘というのでしょう。

定義は以下のようになされています。

本来体外に排出 すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状 態

慢性便秘症診療ガイドライン2017

1.「便秘症」の診断基準 以下の6項目のうち,2項目以上を満たす
a. 排便の4分の1超の頻度で,強くいきむ必要がある.
b. 排便の4分の1超の頻度で,兎糞状便または硬便(ブリストル便性状スケールでタイプ1か2)である.
c. 排便の4分の1超の頻度で,残便感を感じる.
d. 排便の4分の1超の頻度で,直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある.
e. 排便の4分の1超の頻度で,用手的な排便介助が必要である(摘便・会陰部圧迫など).
f. 自発的な排便回数が,週に3回未満である.

2.「慢性」の診断基準 6ヵ月以上前から症状があり,最近3ヵ月間は上記の基準を満たしていること.

ROMAⅣ基準:国際基準

すごく簡単にいうと
便が出ていない状態。
便が出ていてもスッキリしない感じがある。
少しずつしか出ていない。

それが長くつづているなら便秘ということです。

便の状態を確認しよう

日々、便の状態を確認しましょう。
参考になるのがブリストル便性状スケールです。
4番を目指して、食事や運動を調整しましょう。

ブリストル便性状スケール1〜3の人

このタイプの人たちは便が硬めの人たち。
水溶性食物繊維、不溶性食物繊維をうまく使いましょう。
*注:
一部食物繊維を増やすことで腹部膨満感がひどくなる人がいます。
その場合は内服薬での治療が必要なので病院での相談が必要です。
なかなか良くならない場合も病院で相談しながら調整しましょう。

水溶性食物線維

水溶性食物繊維は便に潤いを与え、柔らかくする役割があります。便が硬いという方は意識して食べましょう。
プロバイオティクス効果があり、乳酸菌やビフィズス菌など腸内細菌の増殖を促進する効果があります。

食材:大麦、オートミール、わかめ、納豆、キウイなど
ねばねば、ドロドロ、サラサラ系のイメージです。

不溶性食物繊維

便の量が少なくて、硬い方におすすめ。
水分を吸収して便の量が増え、腸管を刺激して消化管内容物を速やかに排出するようになります。

食材:大豆など豆類、ごぼう、穀類、きのこなど
パリパリ系の繊維質な野菜のイメージです。

必要な食物繊維の量

1日20g程度を目安に摂取しましょう。
日本人は10〜15g程度と言われます。

20gの食物繊維のメニュー


てばかり栄養法 120g(1人前1食分)

少し食べ方を変えるだけで食物繊維の量は増やせます。

・玄米メニュー

玄米ご飯3食 (6.3g)
野菜400g(8.55g)
まいたけ味噌汁3杯(6.46g)
=21.315g
*詳細は下記<内訳>で確認できます。

白米メニュー
白米(1.35g)
野菜400g(8.55g)
まいたけ味噌汁3杯(6.46g)
=16.35g

1日必要量20gを達成するためには
副菜として
もずく1パック
バナナ1本
納豆1パックをつけると
+6.07gで22.42gを達成!

どうでしょう毎日食べられていますか?

運動不足はお腹も動かない

 運動しないと体の体表の筋肉が凝り固まり、肩こり、腰痛などが起きます。ストレッチをしたり、運動をしたりすることで筋肉を動かすことで凝りは解消されていきます。
腸も同じで、体を動かすことによって、腸は伸びたり動いたり刺激されて、便を送り出す、腸の蠕動運動が活発になります。
 運動不足で筋力が落ちてくると腹圧をかけるための腹筋の筋力や骨盤底筋がうまく動かせないことによって便秘になってくる人がいます。

腸脳相関

 腸の動きは自分の意志とは無関係に自律神経(アクティブモードの交感神経、リラックスモードの副交感神経)により調整されます。自律神経の乱れは腸の乱れにもつながってきます。緊張するとお腹が痛くなる光景を想像してもらうとわかりやすいです。
 運動には気分をリラックスさせる効果もあります。副交感神経(リラックスしている時に働く自律神経)が働くと腸の動きは活発になります。自律神経を整え、お腹の調子を整えるためにも運動は大切です。

ブリストル便性状スケール5〜7の人

このタイプは便が緩く、軟便〜下痢のタイプ
ポイントは「脱水にならないこと」「胃腸に負担をかけないこと」

胃腸に負担をかけない食べ方

食物繊維が多い食事を避ける

ブリストル便性状スケール1~3の人たちと反対です。
食べすぎないようにしましょう。
煮たり・茹でたりして消化しやすい状態にしてから食べましょう

脂質をとりすぎない

調理法の工夫も必要です。
脂質の分解・吸収は胃腸に負担がかかります。
揚げ物・炒め物などの油を使う料理を少なくし、
ゆでる、蒸す、煮る、焼くなど油の利用の少ない料理を工夫しましょう。

冷たいものを避ける

 食べ物を消化する時に大事なのが消化酵素です。
これがよく働くのが37度ぐらい。冷たいものを食べすぎて急激にお腹が冷えると消化がうまくできずに消化不良となります。
 また、冷たい刺激は超粘膜を刺激し、腸蠕動を活発化し水分吸収できにくくなります。
 下痢で水分が体から不足するので、水分摂取は大事ですが常温の水分や経口補水液で脱水を防ぐようにしましょう。

日々の体調に合わせて調整することが重要

 日頃から自分の体の調子を確認することが大事です。
自分の体の声を聞き、日頃から食べ物、運動習慣などを体調に合わせながら調整しましょう。その一つの指標として便秘の人も、下痢気味の人も、普通の人も便の調子を日頃から気にしてみましょう。

便秘で困ったら病院で相談を

自分で調整してみてもいいでしょう。市販薬を買ってみてもいいでしょう。
現在の便秘治療はいろいろな薬も出てきて選択肢が豊富になってきています。
便秘薬も効果の出方が人それぞれなところがあります。一人一人に合わせてお腹の調子、ライフスタイルなどに合わせて薬の内容や容量を微調整していく必要があります。
困った時は気軽に相談してください。


<内訳>

主食:玄米3食 6.3g(水溶0.9g 不溶5.4g)
白米(150g)=0.45g(水溶0g 不溶性0.45g) 
   ⇨ 玄米(150g)=2.1g(水溶0.3g 不溶性 1.8g)
食パン(60g1枚)=1.32g(水溶0.18g 不溶性 1.14g)
   ⇨ 全粒粉食パン(60g1枚)=2.7g(水溶0.54g 不溶性 2.16g)
1日分の野菜(350g以上)を食べると
パターン1野菜400g ⇨食物繊維 8.55g
▼緑黄色野菜
ほうれん草1株(30g)0.84g(水溶0.21g 不溶性0.63g)
ブロッコリー2房(20g) 1.02(水溶0.18g不溶性0.86g)
ピーマン1/2個(30g)0.69g(水溶0.18g不溶性0.51g)
トマト1/4個(40g)0.4g(水溶0.12g不溶性0.28g)
にんじん1/3本(50g)1.4g(水溶0.35g不溶性1.05g)
▼淡色野菜
キャベツ1/8個(150g)2.7g(水溶0.6g不溶性2.1g)
玉ねぎ1/4個(50g)0.75g(水溶0.2g不溶性0.55g)
長ねぎ1/4本(30g)0.75g(水溶0.09g不溶性0.66g)
汁物(まいたけの味噌汁)*3 ⇨食物繊維 2.155g(3食6.465g)
まいたけ1/4パック(25g))0.875g(水溶0.075g不溶性0.8g)
長ねぎ1/4本(30g)0.75g(水溶0.09g不溶性0.66g)
にんじん1/8本(18.75g)0.53g(水溶0.13g不溶性0.4g)

さらに副菜⇨食物繊維 6.07g
もずく1パック(70g) 1.4g
バナナ1本(120g)1.32g(水溶0.12g不溶性1.32g)
納豆1パック(50g)3.35g(水溶1.15g不溶性2.2g)


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