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建築プロジェクトでRhinoを使うときに気を付けること-(許容差)

許容差を下げすぎない

聞きなれない方もいるかもしれませんが、許容差というのはデータの精度のことを指しています。簡単に言えば形状を作成するうえで許容する値をいくつにしますか?ということになるので、例えば線A,Bの端点同士が重なる位置が0.9mmずれていたとしても、許容差が1mmであれば、それらを許容して同じ位置にこの端点はあるよという判断でデータが作られます。許容差が0.5mmであれば、端点は0.9mmずれていると判断されます。
建築業界では3Dデータ(ジオメトリー)を扱うというバックグランドが無いまま2DCADからBIMソフトまで飛び越えていったため、未だに3DCADは2DCADの延長線上にあり、同じようにやっていけばいいという認識のままです。本来であれば製造用の3Dデータを作成するために必要な前提が共有されている必要がありますが、それらを考えることなく建築業界では設計から製造まで一貫したデータを作ると言っていました。すでにBIM元年から10年たちましたが、それらは尽く上手くいかなかったはずです。実際にデータを扱うとわかりますが、次数が一つ上がるだけで全く別物であることを身に染みて感じます。
建築業界は自動車業界がたどった道を同じようにたどっており、今後も参照しながら進むこととなります。しかし、Rhinocerosを使いプロダクトのモデリング経験がある人は建築業界ではほぼいないため、今後は自動車やプロダクトなどの3Dデータの扱い方を学んでいく必要があります。

どんな問題が起こる?

さてこの許容差でどんな問題が起こるかということですが、以下の2つがあります。
1.許容差を下げ過ぎてデータが不必要に重くなる。
2.許容差の違うデータが混在してしまう

1.許容差を下げ過ぎてデータが不必要に重くなる
これは本当によくあることですが、建築データなのにもかかわらず0.001mmの許容差で作っていることがあります。許容差の話をしても、なぜか精度が高ければ高いほどいいと考えてしまい、本来プロジェクトで必要な精度以上の設定をしています。精度を高くすれば当然扱うデータ量が増えるので、重く扱いづらい建築データが出来上がってしまいます。
許容差を適切に設定することはデータマネジメントをするうえで大切なことです。例えば1mmの許容差でいい建築データであるのにも関わらず0.001mmのデータを作っていくと、形としてはもう建築として必要なものが作れているのに、データとしては穴が開いていたり、データが汚くなってプログラムがうまくは知らなかったりとしてしまい本来時間をかけなくていいところに時間がかかってしまいます。
建築のデータであれば0.1mmで良いと思います。製造を加味したとしても0.01mmですが、建築材がそもそもこの精度を必要としている場合がありません。自動車業界のように3Dデータがそのまま製品に反映されるというようなこともないため、建築データではそこまで精度を気にする必要はありません。

2.許容差の違うデータが混在してしまう
これもよくあることですが、建築データはそもそも大量の情報を含んでおり、様々な人が関わります。そのため各人がそれぞれ新規にファイルを開いて形状を作成し、柱、梁、外壁などの部品やエリアによってデータが分けられることがほとんどです。
しかし、どのファイルを開いても全部同じだし、インポートすればちゃんと読み込まれるし大丈夫だろうと考え、データを統合するときそのまま合体させてしまい、その結果一つのファイルに異なる許容差のモデルが混在してしまいます。これは許容差というものをそもそも意識していないことに原因があります。建築のデータマネジメントの観点からすると許容差が混在している状態は大変危険な状態です。例えばこちらにプログラムを書いてバッチ処理をかけようと思っても、本来閉じている形状のものが、開いていると判別されてしまいプログラムがうまく動かないや、ところどころに穴が開いていて修正しなくてはいけないなどの不要な業務が発生してしまいます。
3Dデータを扱う上では、以下の2つはNGですので覚えておいてください
1.異なる許容差で作成したモデルを一つのファイルに入れる。
2.途中で許容差を変更する。
データが不安定になり、最終的には作り直す必要がでたり、使えないデータとなったりしてしまい結果工程が圧迫されることにつながります。

解決策

弊社ではプロジェクトが始まった時点で、許容差・単位を設定し、プロジェクト名付けたテンプレートファイルを作成します。
その後ローカルのテンプレートファイルとして入れておくよう共有するようにしています。※(C:\Users\AppData\Roaming\McNeel\Rhinoceros\6.0\Localization\ja-JP\Template Files)にいれて共有することで、新規作成の際に間違って他のテンプレートを選ぶ心配がなくなります。

許容差の設定場所

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