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建設業はどこへ向かうのか(1) 巨大・複雑建築と発注方式

はじめに

ご無沙汰しております。白矩の押山です。
本当はnoteを連載記事のように話のつながりを持ってかっこよく更新したいなと思っていたのですが、私には難易度が高く難しいということが判明しまして、思いついたことや考えていることをその都度書き出しては最後にまとめようと考えなおしました。かっこいい文章を書きたいなと思っていましたが、まあかっこいい文章を書くよりも建築建設のいわゆるBIMと呼ばれる実務をしている身として、言葉足らずでありながらも、何かしら発信していく方が大事だなと思いなおした今日この頃です。
また最近ホームページを更新しました。冒頭の動画はぜひ音を出した状態で見ていただきたいです(笑)

巨大建築と複雑形状

私はこれまで参加させていただいた建築プロジェクトは公共・民間ともに中・大規模でありながら複雑な建築物がほとんどでした。ここでいう複雑なというのは、建築物の形状そのものが複雑であり、要は2Dの図面だけでは検討やその先の製造まで出来ないような建築を指しています。実際の流れとしては、プロジェクトが始まる段階で予期して依頼されるというよりは、プロジェクトが後半に差し掛かり、このままでは工期に間に合わないと言ったまずい状況で依頼いただくことがほとんどで、そのためかそこで起こる問題は、問題の幕の内弁当のような状況になることがほとんどです。もちろんその都度もう少し早めに言っていただければというようなお話はするのですが、最近ではそもそもどういう時に早めに依頼したらいいのかや、実際に後工程で依頼することで、調整すべき内容は多くなりコストとリスクが上がることを上手く伝えられていない、具体的な方法を提示で出来ていないからだと思い始めています。そのうえで建築データの管理や訂正の重要さ、そしてそれが建築物を作っていく過程では、今後建設業が向き合わなければならない根幹の問題へとつながっているのではないかと思っています。
私がこれからお話しすることは、基本的には上述したような、日本では特殊中の特殊な建築プロジェクトであり、そこで起こる問題はその特殊性から来るものかもしれません。しかし、それはどの建築プロジェクトでも共通するような問題かもしれません。前述したような幕の内弁当プロジェクトだからこそ、見えてくる日本の建築生産プロセスの課題や今後目指すべき方向を考える基点となるのではないかと思っています。当然建設業自体があまりにも大きく複雑な要素を含んでいるため、私が提示できるものはたかが知れているとは思いますが、何かしらきっかけをつかめるのであれば、それはきっと建築プロジェクトに従事する人達が互いに良いプロジェクトだったと言え、かつ建築を作る過程や完成後も価値ある資産としての建築プロジェクトを構築することにつながると思っています。

様々な発注方式

建築が作られる過程については意外と知られていない建築が作られる過程にて記載しています。過程は基本的に同じですが、建築が作られるまでの発注方式、誰に依頼するか?は大きく分けて以下のようなパターンがあります。

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A:一般的な依頼の方式であり、設計を専門とする設計事務所に依頼し、施工を工務店に依頼するような方式です。近年では設計だけでなく企画・計画も設計側が行う場合もあります。
B:企画・設計・施工を一つの企業(ゼネコン)に依頼する方式で、設計・施工一貫方式と言ったりします。
C:近年では設計者・施工者以外にも新た専門家が登場し、それらの関係性は多様化しています。欧米では、技術やマネジメントなど専門分化したスペシャリストがコンサルタントとして発注者をサポートしていく方式をとり、企画・設計までを発注者・コンサルタント・設計者で行い、施工者のみ建設会社へ分離発注することが多いそうです。英国では、設計者以外に10社のコンサルタントが参画した例もありました。

近年の建築プロジェクトでは多くの専門家が関わることになります。さらに建築プロジェクトは複雑化、巨大化したため、PM(Project Manager)やCM(Construct  Manager)と呼ばれる、建築プロジェクトの方針や、建物のグレード、規模、事業性、経済性、工期、許認可や社会変動などに伴うリスクを勘案した上で、発注者に情報を流して適切な判断を促し、プロジェクトの舵取りをするような役割も登場してきます。
しかし、現在の建築プロジェクトではそもそも発注者が諸外国のように要件整理を上手く出来ず、要件整理自体が設計者やゼネコンの業務の一部とみなされてしまいがちです。さらに公共建築に関してはそのフォーマットも各自治体で異なっており、参照が難しい状態にあると考えられます。

もっと言えば、建築プロジェクトのデータそのものを管理・分析するようなフローというものがまだ確立されていないため、本来であればそれらのデータベースを元に次年度の予算や公共建築そのものの戦略や課題などを設定していき履歴を残していくことで、建築プロジェクトそのものを評価することが出来る様になります。日本というスケールで見たときには、現在のように各社が各々のBIMシステムによって優劣をつける競争をするよりは、ずっと得るものがあるのではないかと思っています。そして私は、今後それらのあらゆる問題のボトルネックとなるのが、建築プロジェクトのデータをどう管理するかということであり、訂正可能なデータの構築方法だと思っています。そしてそれこそが建設業が優先して考えるべきことなのではないかと思っています。

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