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ホテル絵日記/Le Meridien Saigon

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これは6年前にホーチミン市にできて、まだソフトオープン、つまりは仮営業の段階で安かったので、すぐに泊まりに行ったホテルです。レストランもバーもいまいちだったことしか覚えていません。

こっちでは建物ができるととりあえず早くオープンしたいのでそういうことをしますが、スタッフのトレーニングも兼ねているのでウマくいかないことも多く、結果的に評判を落として後々まで引き摺ることになります。予約サイトの点数が低いまま負のスパイラルに落ち込んでいくワケです。
そうならないために所謂サクラを使って点数を上げたりもします。ソフトオープンの間は予約サイトで売らなきゃいいのに。もちろん数値化された評価はモノゴトの一面しか表していません。

もう一つ一般的なことを書くと、ホーチミンのホテルの多くが昔の地名のSaigonを使っているのは、南には今でもシャカイ主義に対するモヤモヤした感情があるからです。
対米戦争終結時に南の多くの人がボートで国を出て、アメリカなどに難民として入国しました。ボートピープルって言葉が本格的に使われたのはその時からです。
それで北の政府が南の旧首都に革命指導者の名前を付けた、と。Saigonの名前を使わせないということまではしない辺りがベトナム的ではあります。
ワタシはニッポン人と会話してて、ホーチミンのことを敢てサイゴンっていう人には凄い違和感を覚えます。

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部屋はどうってことありません。Meridienのブランドがそういう傾向なのかもしれないけど、特に変わったことはしていません。
建物が全面ガラス張りなのに内側に腰壁を作って小さな窓にしています。ロールスクリーンとカーテンの組み合わせはカンペキな遮光のためです。少しでも光が入ると夜眠れないってクレームする人がいるのでホテル側は神経使います。

あとはバスタブの壁側の半分だけを外側に石を貼って壁と平行に置いています。こうすることのメリットは、首を横に向けなくても外が見えることですかね。
でもって角も付き付けのガラスのスクリーンにしたものの、短い部分にロールスクリーンを付けられなくて半透明のフィルムを貼りました、と。デザイナーとしては苦しい判断です。

ここまでオープンにしたいならガラスもやめてカーテンにすればよかったのにと思います。最近はそういうのもできています。
浴室のオープン化はとどまるところを知らない勢いですが、トイレだけはしっかり閉じて欲しいと思います。
因みにニッポンのホテルはガラパゴス化されたユニットバスなんで、どこもだいたい同じです。

ベッドはセカイを平和に導くクイーンサイズのツインです。寝返りを好きなだけ打てるし、ベッドとベッドの間に簡単には越えられない関門海峡が横たわっているし。一人で泊まる場合は真新しいシーツの感触を2度も味わえます。
因みに所謂ハリウッドツインというベッドを2つくっつけたツインのメリットはお手手つないで寝られることくらいかな。個人の感想です。

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