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旧市街のソバ屋とオンナ/『朝のフォーガー屋はジンセイの交差点』

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ここは第1回で書いたPhở gia truyền のすぐ近くの、きのうBo/牛だったので今朝はGa/鶏にするべか、みたいなお客でいつも賑わっている店です。
交差点に面していて補道上遥か10m先までプラスチックのテーブルと椅子を並べ、仕切り役のオヂサンが目を光らせ、アッチ座ってこっち座って、みたいにしてお客を待ち受けています。
そういう意味でガイジンにも入り易い店と言えましょう。なかなか店の人が目を合わせてくれないところは入り難いのです。

平日の朝だったのでいろんな人が来ていました。近所で働いている人は一度オフィスや店に寄ってから来るので手ぶらです。
子ども連れの父親も、送りは父さん、迎えは母さんみたいなことでしょうか。大きなお世話だけど。
こっちは大家族が一般的と言ってもそれは長男に限られるので、次男以下の共稼ぎ夫婦は子どもを保育園に預けます。30年前のジブンを思い出しました。さまざまな人生が交錯する朝ソバ屋の光景です。

店は旧市街の古い建物の前面に調理場や物置きを付け足しています。テントの屋根が覆い被さって一応雨は凌げる状態です。
今の季節はバケツをひっくり返したような雷雨が多いので、そんなときは大変でしょう。交差点はだいたい他より低くなっているのですぐに冠水します。

店の奥に青緑色に塗られた古い壁が見えます。スープの仕込みなどはその奥で行われるものと想像します。知らぬが仏のブラックボックス。
ここは朝はフォー、昼からはビールも飲める鶏メシ屋になります。店が西を向いているので午後も遅くなると西日除けのスダレが垂れ下がり、中が見えないようになります。一日で二度ウマい店。夜は行ったことがないので知りません。

Phở gia truyềnは重厚な表札以外、外に看板を出してないのが極めて特徴的でしたが、ここはほかのソバ屋同様、真っ赤で白文字の看板を出しています。景気付けとして看板は必要です。とは言え看板に店の名前はありません。特製フォーHang Dieu通り1番地としか。
それでPho Tronはじめました、の垂れ幕が出てたので即決しました。ワタシは食べ物屋で迷うことはありません。基本的には店に入る前から決めています。
メニュー選びで考え過ぎて失敗するということはよくあり、それをワタシはカラオケオジョー選び失敗の法則と呼んでいます。どれにしようか迷いに迷った末、最悪の選択をしてしまうという誰にでも経験のあるアレです。

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話が逸れました。Pho Tron Ga、おいしゅうございました。ピーナッツ、揚げ玉葱、パクチーがたっぷり。スープがベトナムでは珍しく激熱でした。猫舌ベトナム人ならソバを全部食べた後でも熱くて飲めない。
テーブル上には唐辛子、スダチの葉の千切り、スダチ、胡椒、唐辛子入り酢、真っ赤なボトルのニンニク唐辛子ソース、その他が整然と並んでいます。爪楊枝は箸の先端に輪ゴムで巻き付けてあります。
これらの調味料をベトナム人は好きなだけ加えて食べます。一日の始まりに相応しいジブンだけの味にして。

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