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お寺の収入源ってなんだろうと考察

ちょっと昔に京都検定2級に合格したことがあります。
その時に知ったのは、お寺の収入源は大きく3通りあるということです。

まず、葬儀や法事などの宗教儀式。
いわゆるお布施ですね。

ついで、護持費といわれる檀家からの収入。
いわば年会費で、安定した金額です。

最後に、観光客などの拝観料があります。

圧倒的に金額が大きいのは宗教儀式です。お寺の収入のうちの約8割。
拝観料に頼っているエリートなお寺は京都や鎌倉であっても極々少ないです。
観光バスが向かうような有名どころに限られます。

では、お寺は年間どれくらいの葬儀や法事を実施しているものなのでしょうか。

年間葬儀回数は一般的に檀家数の6%程度との試算があります。
そして法事、つまり回忌法要の実施数は檀家数の3割ほどです。

だから、たとえば100軒の檀家を抱えるお寺があったとしましょう。
そのお寺が1年間に執り行う葬儀はだいたい6件ですね。法事は30回となります。

一般的な相場価格を鑑み
葬儀は約50万、法事は約3万円とすると、
年間収入は約400万円(檀家100軒あたり)となります。
(護持費はバラツキが多いため考慮せず)

非課税を考慮しても、かなり少ない印象です。
お寺の維持ができる金額には見えませんね。

ではお寺は実際にはどの程度のお金が必要なのか。

目安となる数値を千葉県の善照寺というお寺で目にしました。

一般的な寺院の護持にはサラリーマン世帯の平均年収の3倍程度の収入が必要になります。

浄土宗善照寺 寺報(2004年3月15日発行)

サラリーマン世帯の平均500万円ちょっとですから、1500万円程度必要とのことですね。

となると、檀家が300軒以上なければ、キツイ経営ということになりますね。

実際、読売新聞にもそのあたりに触れてました。
2017年4月6日の記事です

平均的なお布施の年間収入は、檀家数約100軒につき300万円程度と言われる。私たちの業界では、檀家数300軒が「損益分岐点」とされるが、その場合はお布施による収入だけで年間900万円ほどになる計算だ。

上記で考察した内容とほぼ同じですね。

ただ記事内にはショッキングなものも。

「損益分岐点」上とされる檀家数300軒を有するお寺の住職であっても、手取り年収は概ね400万円程度

経費や維持費を差し引いたら、ほとんど残りません。これはキツイですね。

※非課税はあくまで宗教法人であって、住職個人の収入には所得税等が課税されます。
念の為

さらにコロナでもダメージが。

仏教界全体(寺院数約7万7000カ寺)の総収入は、コロナ禍前は約5700億でしたが、
2020年は約2700億に減少。
※一般社団法人良いお寺研究会の調べ

坊主丸儲けの印象がありますが、
実際の経済的にはかなりキツいお仕事ですね。