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暗黒日記Z #25 「毒煙の術」

煙草を最近またよく吸うようになった。去年の誕生日に止める予定だったが、なんだかんだで今に至るまでだらだら禁煙出来ずにいる。でも止めたい。止められるものなら全然今すぐにでも止めたい。止められない理由は、実は無い。しばらく吸わなくても全くもって平気である。ニコチン欲しさに貧乏揺すりをしてしまったり、イライラしたりするようなことはない。それなのにふとした時に買って摂取してしまうのは、最早ほとんどポーズでしかない。「煙草を吸っている」という状態に酔って「煙草を吸う」という行為にうっとりとしているだけであって、ニコチンきもちえー! うめー! っていうのは遥か昔にどっか行った。もしかすると最初からそんなのは一度として感じたことは無いかもしれないまである。

実際美味いのか、煙草って。気持ちいいのか、ニコチンって。よく分からない。一度三ヶ月ほど完全に禁煙してからというもの、ますます分からなくなった。不思議なもので、それまでは毎日ばかすか吸っていたのに、長めの禁煙を経てからは、吸う度に程度の差こそあれ体調が悪くなるようになった。俗に言う「ヤニクラ」というやつっぽいのが起きる。酸欠で頭がクラクラし、吐き気を催す。しかも私はどうやら吸い方が下手で、煙だけでなく空気も必要以上に呑み込んでしまっているようで、それが更に吐き気を強めているらしいのも否めない。そんなことになりながらも、私は現状煙草をしばしば吸っている。理由は既に述べた通り、煙草を吸うという行為にまつわる色々が好きだからだ。

メンヘラ神は「喫煙者にとって喫煙は句読点のようなものだ」みたいなことを確かかつて言っていたが、それには私もチョーワカルーマジイイエテミョージャーンと若干語彙力のあるギャルになりながら同意するにやぶさかでない。何故ギャルになったのかは分からない。なんか急に出てきた。誰だ。帰れ。

しかし本当に句読点という形容には確かにと思わされる。句読点は文章内に何度も何度も繰り返し現れる。そして多くの場合、ある程度同じような間隔で配置されている。喫煙という行為が喫煙者の生活の中で占めている位置を表すのに、これほど適した表現も無いだろう。そんなに詳しく知っているわけではないが、メンヘラ神とはやはり一つの稀有な才能だったのだなということを改めて思う。

ところで、私は煙草を吸う際にいつも必ずしていることがある。それは「煙草を吸うだけの時間にしない」ということだ。必ず、音楽を流しながら、本を読みながら、ゲームのシナリオを読みながらなど、何かと合わせて行うのが習慣になっている。いつからか。文章を書きながら、ということも多い。ついそうしたくなるのだ。ただ煙草を吸うだけ、というのは寂しい気がしてしまう。もうずっとそうしているから特別変にも思っていなかったが、考えてみればおかしなことをしているかもしれない。煙草に集中しろって話だ。煙草農家に謝れ。

大変申し訳ありませんでした。花を切って詫びます。ちょきちょき。はい花束。今夜のきみは世界中の誰よりも誰よりもだよ。まるでかの有名なダレヨリモ=ダレヨリモ(1753〜18563)みたいじゃあないか。朝が来るまで人力車を引こうよ。房総半島までノンストップさ。前転より後転のほうが得意だったなんてこと、今日だけは忘れてしまおうよ。さあ、イカ墨パスタからなる一個師団をプルタブで壊滅させるんだ。

ワードサラダをやっている場合ではない。

なんか急に始まった。この頃こんなんばっかり。そのうちこの日記は全編こんな感じになることでしょう。その時はとうとう行ってしまわれたか……と敬礼でもしてやってください。平沢進の「パレード」でも流しつつ。

煙草吸う時の習慣の話に戻ろう。なんとなく寂しくていつも音楽聴いたりなんかしてしまうっていう。そんなことを繰り返している中で気付いたんだけど、どんなものでも煙草に合う/合わないがある。音楽の場合、キラキラしたポップなものは全然合わない。心なしか煙草もまずく感じてしまう。甘いものの後だとそれほどでもないものもひどく苦く感じてしまうのに近い。合うのは、渋いものだ。言うに事欠いて「渋い」というのも雑に過ぎるが、70年代くらいのクラシックロックや、デスメタルや、ダークなヒップホップなどはよく合う。ジャンルバラバラじゃねえか。やっぱり渋いっていうのは適切じゃないな。何て言うんだろう、種類は違えど闇を持った音楽が合うってことなのかもしれない。クラシックロックは故人のものも多いし、デスメタルなんてド直球に闇の音楽だし、暗いヒップホップもまんま闇だし。毒を身体に入れるに当たっては、そういうもののほうが興が乗るのだ。

本やゲームも同様である。明るい内容のものより、薄暗い内容のもののほうが煙草と合わせやすい。ただ困ったことに、そんなことをずっと続けてきた弊害か、近頃は暗い音楽や漫画や小説やらに触れると、煙草を吸いたくなってしまうようになった。ここで煙草あれば最高やん、と思ってしまう。どれだけ吸わずにいても禁断症状が出ない代わりに、そういう「煙草と合いそうなもの」の存在がトリガーになって吸いたくなってしまうという体質になっちゃいましたとさ、めでたしめでたし、というのがこの話の引きです。お粗末様でした。

今週のオススメソング。そろそろこのコーナーも無くそうかなと思っているのである時しれっと消えてるかもしんない。

昨日からこればっか無限に聴いてる。4s4kiも煙草には非常によく合います。

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