童話【シラタマホシクサ】(幼年向け)
山のふもとの湿原に、シラタマホシクサが咲いています。
ホシクサたちは、細くて長い茎をのばして、おしゃべりちゅうです。
「お星さま、まーだかな?」
「まだまだだわ」
青い空で、お日様がわらっています。
ホシクサたちは、星にあこがれているのです。
自分たちの名前は、空の星にちなんでつけられたと知っています。
星のような金平糖みたいな花だから、シラタマホシクサ。
みんな、この名前が大好きです。
「星は見えないだけで、お空にいるわ」
物知りのホシクサが答えました。
と、そこに、
風の子がやってきました。
「星はホシでも、にせものの星だ」
風の子は、いじわるをいいました。
「ぼくが見たほんものの星は、もっと、うーんと、きれいだった」
風の子の言葉に、シラタマホシクサはかなしくなりました。
「ほんものをちかくで見たことがあるの?」
ホシクサたちがたずねると、
「見たことがないのなら、見せてやるよ」
風の子は、シラタマホシクサの花を、ひと吹きで、ちょんぎってしまいました。
ぐんぐん、風をまきあげて、空へとばします。
「きゃーっ!」
ホシクサたちは悲鳴をあげました。
とちゅう、鳥のむれとあいました。
「うわぁ、きれいだな、たくさんの星たちがのぼってくるよ」
鳥たちは口々にいいました。
シラタマホシクサはうれしくなりました。
そして、ここまでのぼったら、もっと、ほんものにちかづきたいと願いました。
「みんな、からだをよせて、風にのるわよ」
「がんばれ、がんばれ」
ホシクサたちは声をあわせて、あこがれの空を目指しました。
そして、日がくれるとき、ホシクサたちは、ほんものの星を見たのです。
風の子は、あやまちにきがつきました。
空をのぼるシラタマホシクサは、夜空の星たちとおなじくらい、うつくしかったのです。
「にせものなんていってごめんよ」
風の子は、ホシクサたちをつつみこむと、もといた湿地へおくりとどけました。
「いいえ、空へつれていってくれてありがとう。まるで夢みたい!」
夜空で、星たちがわらっています。
新人さんからベテランさんまで年齢問わず、また、イラストから写真、動画、ジャンルを問わずいろいろと「コラボ」して作品を創ってみたいです。私は主に「言葉」でしか対価を頂いたことしかありませんが、私のスキルとあなたのスキルをかけ合わせて生まれた作品が、誰かの生きる力になりますように。