童話【こんな話を知っているかい?】(幼年)
シギは旅鳥です。
冬はあたたかい南の国のオーストラリアやニュージーランドですごし、春に日本にやってきます。
夏はすずしい北の国のシベリアやアラスカですごし、再び秋に日本にたちよります。
そして、冬をこすためにあたたかい南の国へとびたちます。
つまり、一年間に二回、日本にちょいとたちよるのが旅鳥です。
シギ吉もそんな旅鳥の一羽です。
旅のとちゅうに干潟にまいおりました。
「あぁ、はらへった」
シギ吉は長いクチバシを泥につっこんで、エサをさがしだしました。
羽毛の色は、茶色と灰色で目立ちにくい色をしています。
「おっ、カニだ」
小さなカニを見つけて土の中からひっぱりだして、さっそく食べます。
「うまいうまい」
シギ吉は、夢中でエサを見つけては食べています。
すると、クチバシのさきに、つるんとしたかたい物がさわりました。
「大きな貝だ!」
シギ吉は、クチバシの先できように貝をはさみました。
あとは、貝の中身をひっぱりだして食べるだけ……。
と、つぎのしゅんかん、
「あいたたた!」
貝がシギ吉のクチバシをはさみました。
それから、
「はーなーせー」
貝は、低い声でうなりました。
「いーやーだー」
シギ吉は、答えました。
ふと、シギ吉はあるはなしをおもいだしました。
「おい、こんなはなしをしってるか?」
シギ吉は、はなしだしました。
「一羽の鳥が、クチバシで貝をはさみました。貝は食べられまいと、ふたをかたくとじました。あらそっているところへ漁師がやってきて、鳥と貝をつかまえてしまいました」
貝はぎょっとしました。
「そこでだ。一、二の三で、おたがいをはなさないか?」
シギ吉のていあんに、貝もさんせいしました。
とびすさるように、シギ吉と貝ははなれました。
シギ吉は、辺りを見わたします。
漁師のすがたは、ありませんでした。
お日さまがわらって、しずんでいくところでした。
新人さんからベテランさんまで年齢問わず、また、イラストから写真、動画、ジャンルを問わずいろいろと「コラボ」して作品を創ってみたいです。私は主に「言葉」でしか対価を頂いたことしかありませんが、私のスキルとあなたのスキルをかけ合わせて生まれた作品が、誰かの生きる力になりますように。