白神つや

第16回文芸思潮現代詩賞「優秀賞」 ユリイカ・現代詩手帖・詩と思想・ココア共和国等、入…

白神つや

第16回文芸思潮現代詩賞「優秀賞」 ユリイカ・現代詩手帖・詩と思想・ココア共和国等、入選・佳作

最近の記事

未明:10:30

聳えている 人の積み重なった塔だ その中核に膨らんでいる 脳 ノイズ は少なければ少ないほどいい ノイズや映像の砂あらしを ザッピング チャンネル、接続 塔ではなく ニューワールド、パラレルワールド? いや はじめまして、の はじめてじゃない ひさしぶり ただいま の そのものの からだワールド 通夜の果てにて

    • 未明0:36

      呼ばれていることは、ずっと聴こえていて この一年間でどれほどのことを無駄にしただろう 男でも女でも、人でもないなにかへの通路だ いつだったか、意識の曖昧なときに残したメモがkeep lineに残っていた 白神つやは人ではない 白神つやは場所 と記してあった そこから完全に今に至るまで、記憶していることが一つとしてない 嘘 パトカーの後部座席に乗って、街の灯りがきらきらと流れて行ったことは少し覚えてた 現在であること、を感知している 急いでしなければならないことがたくさんあ

      • 未明3:10

        孤独であることの豊かさ これほどに、 歳月 閉鎖病棟で眠っていたと思えば 気が付き起き上がると二十八歳だった あと二ヵ月で二十九になる 九年間が経過していた 九年間の、記憶が殆どなかった 普通の人が、当たり前のように学生をしたり、恋愛をしたり、友達と居酒屋で談笑したり、エモい喫茶店とか、読書の感想とか、映画を見たりとか、そういうの が できないからって、威嚇を続けていた 羨ましかったのだろうか、多分、羨ましかったんだろう 普通にそういうことが、楽しいと思える人生に、人に 俺

        • 未明1:18

          少しずつ 帰ってきている。戻りつつある景色の、光が 数万の、針だったこと それを手折るのではなく、ましてやだれかへの悪態や、 賛辞として突き付ける事の、 不毛にうんざりだったこと、うんざりだと、 知りながらおびえていた、 それに最上限の殺意を 唱えて 脱臼して 抱擁してあげればいい それを手放して、美しいと目測 すればいい どれもこれも、被害妄想だ わたしは過去の僕によって、歩き方が下手だった 生まれたばかりだから、 昔に習った学習机の前で、その義足に履き替えている とても

          La Va

          うねりのある日だった、その湾曲は間近で見やれば真っ直ぐで気づきはしないが、どこか別の惑星から、いくばくかの光年を置いて観測すれば、大きく人間が老いるような命のある前傾の。 覚えていることはそれくらいであった。記憶には、記録されていることはたくさんある。ただ覚えていることはそれほどだ。ただ覚えられることの限りなくわずかな日々に撥ねた痕の残る景色だ。覚えている記憶は傷だろうか。その傷のくぼみをいつまで撫でて、手触りを覚えていられるだろうか。 脳のどこかしらが、あるいは身体的な感覚

          shinizokonai(1)

          レセプター/白神つや ここ開きます ひらくというよりはあく、 広い数の 拍手が いっせいに横顔の向こう側へ 落ちていって、 襞がうすく 羽を 入っていかないということ 外していくということ 雨 、(曲がりくねる関節) (降って)いた 空は脱力 耳の音がするれ流/白神つや 心拍の 折れる音が膜を通って そこに帰ってくる (ほとんどそこにいたことがないのに、ここでみえていることより近いことを知っている) 目のことと言えば目のこと 吸いついて、

          shinizokonai(1)

          場所21:56

          捕まえている 多くのものが沈んで事実になるとき、あるいはわたしであるとき、場所がわたしであるとき、すみずみまで支配している、 つねに、なにかに敗北したあとだ 突き放してくれることが望まれていて、棄てられた場所が家であったこと 出会うべくして出会う わたしたちがつねに他者の未来に磔にされたわたしたちに出会いたがっている あなたを優しく看取ってわたしを救ってあげる

          ウェルニッケ失語/白神つや

          いいよ、 と放される 流れる、プールのかたまりだったものがさっ きまでわたしがいた部屋だ いつも目だけすこし前屈みを行きたがる さっきまでは 長座体前屈の輪ゴムのことで もう、 そういうのここだと抜き取られている ぜんぶ剥き出しだ めちゃくちゃだけど、整っている 破綻してそうに見えて とても裏側まで成立していた (体ってよくできてる) こんなに剥き出しで放り出されていて 放置されていていいのかと、 (つい言いたくなるが) それはわたしのブローカ中枢としての未発達 さだった い

          ウェルニッケ失語/白神つや

          場所11:56

          殺すということの さじをなげる というはじまりの 仕事という 軋轢の くべている 爆発の 死体の 筆の 思い出の先の あは したたかに 生きてるって わかってた だれもいないところでだけゆいいつわたしという葬儀が しめやかに 踊り狂っているとても 目の口が笑っている だれにも みせたくはない きかれたくない 足の裏 に ある空を みつけていた あは 人は人間じゃない 場所だ

          未明1:10

          音のついた祈りや、 問いかけること、悪癖や、求める遠投や、 高い場所へ行こうとすること、 それらからすべて 低く、脱する すべてが止んで、離れゆくものの外部へと抜けて 脱いだ時 はじめて喋ることができる なにが言いたかったか、なにがしたかったか より この器がわたしの範囲内でなにを言って、なにをするかだ 世界中にいるわたしにひとつずつ出会っていく ハロー、リアリティ、 はじめまして、 こんなところにもいる

          未明3:20

          嘘と言えばすべてが嘘であって 話、というものが 瞬間と瞬間の 接着剤が 甘い 粘着質の 嘘 という 意図的な 無意識の 潤滑 による あ では 触れないほうが良い ということ みている 本当の話をしよう 本当の朝を ずっと朝で ガラスが落ちて割れ続ける朝の

          未明4:53

          二か月前、ということだった。 このひとつ前の記事の更新履歴が。 眠っている時間が多い。人とかかわる事、人と会話すること、人と、 それらをしているとき、わたしは白神つやであったことを忘れていて、 あるいはこうして世界や体のすべてがわたしであること。 きっとインターネットで仲良さげにしている彼は、それでいいだろう。 それを邪魔しているのもわたしだ、彼の頭に、よく雨雲がこまぬくのはわたしの影響だろう。わたしはそうしたくてそうしているわけではなく、彼の幸せを願うのであれば、そのよう

          未明9:23

          人に流されやすいから、 人を避けている節がある 自分以外、だれも悪くないのに敵視をしているといった、 どこまでもエゴである、 くだらない人間でいる 怒りは、頭をすっきりとさせる 怒りは、ただ真っ直ぐで、疑いがなくて、 怒りは、もう知らない、おまえなどどうでもいい、 という登頂を果たしているから、 すべてから解放されているのだ、 だから頭がすっきりして、自分の好きなように物事を考えられて、 好きなように判断できて、好きなように失言さえしてしまえる、 いつも人の話を聴いて、自

          未明16:42

          なんで病気のくせに大丈夫みたいな顔をし続けているのかがわからなくなって、 もうはやく死んでぜんぶ、 そうやって そんな感じで、 そんな感じがたぶん そんなかんじで 詩とか、文学をやって、バカなのに なににもならず、 詩をやって自分を保っているような、 そうして、 そのまま死のう ああ なんか 明るくて あ 病気の、 出口がみつからない ここから出られない 出たと思ったら、同じ部屋だ この喜びや、哀しみや、切なさや、苦しさや、辛さ、も虚無さえ すべて病気のもので、 おれが

          未明6:53

          書くという行為によって、自らの気持ちや、考えをより強かにしたり、確認したりすることによって、歩いていくべき道が見えたり、また見えなくなったりすることが、とても億劫なので、こうしてくだらない些末な手記を書くことになっている。 本当はすべてがどうでもいい 詩も生活もお金も恋愛も家族もなにもかもどうでもいい そのどれもがくだらなく退屈だ 詩とか文学とか、なくなってしまっていい 文章にこうして起こす事すら億劫だ 詩を書いているのも、投稿なりをするのも、全部バカバカしい つまらない

          未明1:19

          昔ほど、すべてを語ることが困難になり、こんな雑記を書いている。 昔は、今よりも身軽だった。無知蒙昧で、猪突猛進、怖いものが少ない子供だったことということや、様々なことを知る前、自分だけが世界だった頃、自分より優れている人間の存在を知る前、ただ真っ直ぐに自分だけを信じていた時、間違いなど一つもないと井の中の蛙だった時、 世界を知れば知るほど、自分の発言に恐れている。あらを探している。誰にも刺されないよう、身体を気にしている。 それと、 人とそれなりに話すようになった、というのも

          未明1:19