こんばんは。 第2回になりますね。まだ第1回を読んでいない方は先に読んでもらえると、滞りなくこちらを読めると思います。 『貝に続く場所にて』 前回、説明した通り、東日本大震災を主題にとった小説の紹介を交えながら、「陸前高田プロジェクト」の内容に触れていきたいと思う。 こちらの小説、石沢麻依さんの『貝に続く場所にて』は第165回芥川賞を受賞している。詳しいあらすじは上のリンクから見ていただければと思うのだが、舞台はドイツの都市、ゲッティンゲン。ぱっと見た感じ、日本と遠く離
今日、大学が丸一日休みだったので久々に人がたくさんいる場所に行った。起きるのが遅くなってしまったので、課題を終わらせて、家事全般を済ませてから、家を出るときには午後5時をこえていた。 最近、洗濯物をため込んで干すことが多く、ハンガーの数が足りないな、とずっと不便に思っていた。私はそのハンガーだけを求め、人通りの多い時間帯にわざわざ街の中心部に足を運んだのである。 南口を出ると、空はすでに暗く、ドラッグストアや家電量販店の電飾が煌々と、歩く人々を照らしていた。スーツを着た
先日、バイトに向かう最中、駅の前に「衝撃」と銘打って500円、300円、100円という画用紙が貼られたスーツケースが並んで置かれていた。 誰かがおそらく無断で放置し、販売していたのだと思うのだが、結構大きなスーツケースだった。なんとなく目が離せずにいると、そこを通りがかった女性ふたりが 「100円のスーツケースだって、やば」 「ゲロとか入ってるかもよ」 と言っているのが聞こえてきた。宝くじのような気持ちで「黄金とか入ってるかも」とか思いながら、中身を予想していた愚かな私
お風呂の換気扇 ぐわんぐわん 蠢く壁時計 かりんかりん ハンガーにカーディガン ふらんふらん 午前3時、私は就く 囁くカーテン るあんるあん 嵩張る毛布 ごふんごふん その向こうの沈黙へ うるさい 机の四隅に 昨日の春巻
今日、近くのスーパーに晩ご飯を買いに行ってきたのですが、その帰り 「~くんにはしっぽが生えてて、赤ちゃんのときちょん切ったんだよ」 「うそだ、僕しってるよ」 「本当だよー」 自転車に乗っていたお母さんと男の子がこんな会話をしていました。 ちょうど最近、『百年の孤独』を読んでいたもので、豚のしっぽが生えた赤ん坊がいたな、と思い出しました。渦巻いたしっぽがついている、かわいいような、気味が悪いようななんとも言えない微妙ないきものを想像してしまいました。 こんばんは。 夏
自然に泣くことができる人がうらやましい。本を読んでいて、ページの上に思わず、丸い染みを落とすことができる人。映画を見、瞼に大粒のものをたたえ、そこからころころ転がすように涙を流せる人。そういう予期しない涙を流したことが私にあるだろうか。 昔から、感受性の強い人でありたいと私は思っていた。何かの衝撃で、琴線が破れ、そこからバッーとせき止めることができない涙。そういうものに私は憧れていた。 本や映画などの創作物だったり、人の話をきいたり、私は毎回自分の中の心の琴線に深く意識
電車の中、曇り空を眺めていると後ろから 「最近、暑いね」 という会話が聞こえてきた。確かに。暑い。私は汗をかきやすい体質なので、ことさら鬱陶しく思う。大学の帰り道、一日の疲労感を含んだ体のベタつきが私は苦手で、背筋の伸びるような電車の強い冷房を浴びながら、よくぼうっとしてしまう。体の感覚が暑さと疲労感とで麻痺する。つり革を持つ自分の手も少し、遠のいて感じてしまうような。 先日芥川賞候補作品の発表があった。自己紹介後、はじめての記事。何を書こうか迷っていたが、タイミング的
開いていただきありがとうございます。蒔 良太(まき りょうた)といいます。 ・自分について 私は現在大学2年生。一人暮らしをしています。大学では主に文芸の分野について勉強しています。小説を読むこと、考えることが好きです。 中学生のころに村田沙耶香さんの『コンビニ人間』という作品に出会い、小説の世界にハマりました。 「小説ってこんなに大胆で、自由なんだ」と気づき、以降大学生となった今、専門として学んでいるほど小説は私にとって身近なものとなりました。(まあ、月によって読書量に