しらかんば

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Le plus important est invisible

「星の王子さま」(アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ) フランス生まれの飛行士で小説家のサン・テグジュペリによる名作。読む度に印象が変わり、読む人の数だけ解釈が生まれる、繊細で美しい物語です。 かつて飛行機は革命的な技術であり、飛行機に乗って手紙を届ける飛行士は、人と人との距離、世界の距離を縮めるものでした。そんな飛行士のサン・テグジュペリが、米国へ亡命中に描いたのが、この作品だと言われています。飛ぶことの叶わない彼の心が内省に向かった結果、この哲学のような

    • 短槍使いのバルサ

      物語を楽しめるというのは、人間の素敵な能力です。 物語のなかに滑り込み、主人公と同化する感覚。 見たことも行ったこともない世界の温度や匂い、色、まぶしさに触れ、物語の中で呼吸するような感覚。魔法のような想像力で生み出された物語は、読者を引き込み、遠い世界を思い描く力をはぐくみます。   ファンタジーの世界を楽しむためには、その世界にどれだけ没入できるかが重要です。 時間と空間を越えて、目に見えないものを細やかに思い描くこと。物語から得られた多様な価値観を基に、自己の生き方につ

      • 高い塔の魔法使い

        「図書館の魔女」(高田大介) 幼い頃から本が好きでした。C・Sルイスから始まって、上橋菜穂子に荻原規子、小野不由美、クリストファー・パイオリーニ…私の読書の原点はファンタジー児童文学です。そしてこの本は、ファンタジーが苦手な人にこそ読んでほしい。 図書館は古今東西の知の集積。 古くはアッシュールバニパルの宮廷図書館に始まり、古代三大図書館と言われるプトレマイオスのアレクサンドリア図書館、ベルガモン図書館、ケルスス図書館と連想しますが、この物語では 図書館が国政に大きく関

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