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文芸ヌー
2022年12月3日 13:58
そして、数億もの人間が一斉に咆哮し、世界はつんぼとなった。次々とてのひらからこぼれる君の砂、砂、砂。この指、私のじゃない。「あれよ、あの、一番背の高い、銀色の木」そこには望郷の焼け焦げた匂いが蟠っていた。丸めて放り投げたその紙は、ゆっくりと真っ直ぐに君の星へと向かってゆく。鯖は最後まで鳴き止むことはなかった。義兄と私だけが残った。今宵、彼女の乳歯が2本抜けるだろう。