【映画感想】ブルー・マインド

ブルー・マインドをやっと見た。アマプラのウォッチリストに入れっぱなしだったその映画は、ちょうど私がサスペンス映画を探していた時に見つけた。
映画を見る時は基本的にあらすじや評価は気にしない。パッと見て気になった映画をひたすらウォッチリストに追加していって手があいたタイミングで見たりするのだが、ちょうど今日見ることができた。そして見事私の好みに刺さった。
以下、あまりネタバレを含まない感想。
視聴の際は推奨年齢の確認を忘れずに。ショッキングなシーンや性的なシーンも少し含まれるので、苦手な人は注意書きをよく読んだ方がいいかもしれない。


映画の分野としてはミステリーなのか現代ファンタジーに部類するかはわからない。
けれど、細部まで危うくてきれいな雰囲気を持った映画だった。序盤は主人公ミアの育った環境と十代半ばという年齢が合わさって、不安定だけどどこか理解できるような少女特有の心理描写が描かれる。しかし、それはだんだん別の意味合いを持って彼女の心を脅かす。

体に変化が表れ始めた時、それは得体の知れない恐怖となって彼女にのし掛かり始めた。
決定的な変化が表れる前からその兆候は彼女の中に顔を覗かせていたのだけど、少しずつ変化していく意識や体はミアを水の中に引きずり込むようにしてやってくる。
15歳の少女という設定がここで活かされるのだ。
かつて少女だった私も、境遇は違えどその不安がよく理解できた。
ある日を境に望まぬまま変化に飲み込まれていくミアは、さながらアリスのようでもある。
自分が気づかぬうちに知らない世界に迷い込んでしまったように、自分自身がわからなくなっていく。あまりファンタジー色が強すぎるとここで結構違和感が生じるものだと思うけど、ブルー・マインドはそのあたりの加減が本当に上手。酒や薬物を作中に絡めてくるので、それが彼女の恐怖や戸惑いといった感情を表すのにしっくりくる。それに反して映像は美しい。

ところどころに映される自室で眠るシーンや目覚めの瞬間が兎に角きれいだった。
カーテン越しの光も、勝手にやってくる朝も見ているこちらを引き込んでくる。
ちょくちょく挟まれるショッキングなシーンさえ、彼女の直接的な感情につながっていく。
次第に自分自身の生まれを疑いだすシーンも彼女が最後に縋るものを探しているようにさえ見えた。でも、この映画の見所はなんといってもラストだと思う。最後の10分くらいを撮る為に全てが動いていたような気がしてならない。
とにかく切ない。でも、胸を締め付けるような切なさではなく、大切な思い出を忘れてしまったような感覚だ。
波の音と水の中に潜った時のような音が余韻としていつまでも私の中に残っている。
今日眠ったら自分自身がミアになる夢を見そうだ。それくらい繊細で本当に美しい作品だった。
私は映画をあまり見る方ではないけれど、今年見た中では結構ツボに入った作品だ。
映像化しない方がいい部分もちゃんと押さえてて大満足。

ちなみに一位は実父から借りたサスペリア(初代)で、二位はネトフリで配信されていたサラブレッド。2012年頃公開だったフランス映画のヴィオレッタも素敵だったし、おすすめしてもらったクリムゾン・ピークもすごくよかった。胸を痛めたのはウトヤ島、7月22日。
コメディ系ではデッド寿司と、シン・ジョーズが好き。映画館で見た整形水も面白かったし、気になってた時計じかけのオレンジもなかなかよかった。
チャイルド・プレイも初代の作品を初めて見たけど、最高にテンションがあがった。チャッキー意外と場所を取るのが印象的だった。
チャッキーVS恐怖人形(ネトフリで配信してる巨大化する人形の話)なんかも見てみたい。
ゾンビ映画ならロンドンゾンビ紀行が最高だった。

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