見出し画像

The UKIYO-E 2020に行ってきた感想

2020/09/05に東京美術館で開催中の「The UKIYO-E 2020 日本三大浮世絵コレクション展」に行ってきた。

その名の通り、ものすごい量の絵の数々だった。
全て見終わった後の満足感、満腹感が半端なく感じられた。
知らなかった作者、見たこともない絵も多かった。

人数制限されていることもあり、ゆっくり見れたことも満足感に繋がったのだろう。
最後の方は足が疲れてしまったこともあり、前半ほどゆっくり見なかったのだが、それでも全部を通して2時間を越えた。

今回、初めて美しさを知った絵の1つに「空摺」がある。
空摺は、版木に絵具をつけずに強く擦って彫り跡どおりの凹凸を出す技法のこと。
鈴木春信の「鷺娘」で雪や綿帽子に使用されていた。雪のふっくらさ加減が絶妙に表現されていて、浮世絵ってこんな表現があったんだ!と衝撃を覚えた。
他の絵でも着物の模様等に使用されていて、間近で見ないと分からない表現に、着物の裏地のようなさりげない美しさを感じたのだ。
これは生で見るべき、というか図録では分からなかったのでこういうものを見ると、やっぱり嬉しくなる。

もう1つは「勝川春潮」の「桜の花」がある。
勝川春潮のことも知らなかった。
花びら部分が白抜けになっていて、周りを丸い淡いピンクで表現されている。
その丸い形と色が可愛さと美しさを覚えた。

何回か見たことがあるはずなのに、改めて面白さに気づいた絵に「東洲斎写楽」の大首絵がある。
彼の浮世絵は、本や他の展覧会でも見たことはあるのだが、ここまで並べてゆっくり見比べたことがなかったのだ。
そのため、今回改めて、写楽の浮世絵はこんなに表情が豊かだったのかと思ったのだ。
誇張して描かれるため、役者からの人気は今一つだったらしいが、どこか現在の漫画のように感じた。

何だ日本もやっぱり西洋の影響を受けてるじゃんと思ったものがいくつかある。
ベロ藍は舶来品だし、遠近法等は西洋の絵画の影響を受けているとは知っていたが、「歌川国貞」の「紅毛油画風」シリーズは名前その物が語っているし、「歌川国芳」の「近江の国の勇婦於兼」の馬の描き方は完全に西洋画っぽい。
この絵画たちを初めて見たし、知った。
よく、「北斎、広重は西洋に影響を与えた」と特集やテレビ番組が作られるけど、江戸文化に影響を与えた西洋文化の方も見てみたい。

一度にこんなにたくさんの浮世絵を見られることはもう早々に無いと思う。
こういう機会を得られたことをとてもしあわせに思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?