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父性本能?

もう10年近く前、私はバツイチになった。当時の解放感を引きずりそのまま独身を貫いている。子供もいない。しかし特段淋しさもなかった。

緊急事態宣言発令…私の仕事はその影響を受けることなく稼働はしてたものの、休みの日は自粛ムードがピークの街に出る気にもならず家でゴロゴロ過ごす日が続いた。

そのとき何を考えてたかというと『推し』の心配だった。コロナ禍でエンタメ界隈が一番打撃を受けてるのは自明の理であった。都内を拠点とする推しの健康的・経済的リスクがかなり心配であった。

私が普通に仕事が出来てる分、余計にヒトの心配に気が回ったのだろう。特に収入を断たれた若いコどうするんだ?…と本気で心配になり、眠りも浅い日々だった。

独身ですべてから解放され、経済的にも精神的にも余裕の出来た私は、現在その分を自分の子供の年齢ほどの『推し』に費やしてる。それは間接的に『推しの生活』に費やしてることにもなる。経済的には理解出来るが、精神的な部分まで持っていかれてる自分に少し驚いた。

世の中上手く出来てる。子供を持たずとも若い世代におカネを回すように世の中は出来ており、そのベースになるのは大人が若者の成長を願う『父性本能』なのかな?…と、ふと思う。確かに『推し事』にのめり込む前より今の方が『お仕事』が充実してる。

普通に家族を築けてればどうなっていたかな?…と思う。もちろん推し事などやらなかっただろう。でも推し事をする人がいなければアイドル界は成り立たない。離婚後最初にした高額な買い物が一眼レフのカメラだった。それを手にしたときからその一端に加わる宿命だったのかと考えると、その宿命に感謝しなければならないのかな?…とは思う。

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