さよならBABYBLUE

今年は暑い。9月に入ったと言うのにまだ30℃を超える日があるみたいだよ。
そんなことを言っていたのに
気がつけば11月だ。
ハロウィンが終わると世間は浮き足立って
クリスマスへとシフトする。
「クリスマス」と言う言葉が嫌いだ。
否応なしに冬を感じさせられるから。
暑い暑いと恨めしく感じていた夏が
どこか恋しく感じ始めたこの時期にこそ聴いて欲しい曲を勝手に紹介させて頂く。

Shout it Outより「さよならBABYBLUE」

この曲は必ず毎年夏が来る度に聴いている。

毎朝二人の目を覚ました隣の工事は
もう終わったかい

この歌詞には脱帽だ。
恐らく全人類が経験したことがあるであろう
「工事の音で目を覚ます」という事象を
そのまま捻らず書き記した歌が
この世の中にどれ程存在するだろうか。
私はこの曲以外で工事によって目を覚ます情景を書き連ねた曲を知らない。
まどろっこしい言い方などせず
火の玉ストレートのこの歌詞に
強く心打たれた。

さよならBABY BLUE
君の瞳の奥
見えたあの輝きが
今でも目の前にあるようで

あんなにストレートで押しきるスタイルを見せていたかと思えばこの言い方。
「あの輝き」とは一体どんな意味なのか。
将来を見据えた輝きなのか。
今が満たされている輝きなのか。
どっちにしろ「あるようで」なので
今となれば分からないし
輝きの意味を知る由もない。
そんな、過去に思いを馳せているような
この言い回しがとても好きだ。
「あるようで」という
無いと分かっているのに探してしまう
惨めさが胸に刺さる。

さよならBABYBLUE
今年も夏が来る
日が沈む海岸線は
君の髪を赤く染めていた

夏の海は朝よりも夜よりも夕暮れが良い。
私はそう思う。
この曲が収録されているミニアルバムは
解散を発表した彼らの最後のリリースとなった。
当時私は何が起きたのかよく分からなかった。
ただ一つ、去り際もカッコいいのだなと。
そんな収録背景も相まって
この歌はとても
ノスタルジックに鮮烈に
私の脳天に焼き付いた。
夏らしさと懐かしさが心地良い。
夏が来ると
どうしても彼らを
求めてしまうのだ。
Shout it Outの歌った
等身大の若者の全てが。
何にも換え難い青春が。
あの日ライブハウスで見た輝きが。
今でも目の前に「あるようで」。

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