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2009年日本農業賞謝辞

日本農業賞受賞に際し、受賞者を代表し一言お礼のご挨拶を申し上げます。
早春のうららかなこの良き日に身に余る栄誉を頂戴し、心から喜びをかみしめています。

いま、食に関する問題がなにかととりざたされる中で、食の安全・安心についての関心が高まっています。

一方、地球温暖化など環境への不安も広がっています。

これまでの20世紀における資源消費文明社会から環境と・食料が21世紀における世界的な重要課題となり、持続可能な社会のあり方が問われています。

私たち農業者は、古来営々と食料の生産に励み、自然環境とともに生きて参りました。
今広がりつつある食への不安は、作る人と食べる人の関係が薄れ、農村と都市に隔たりができしまったことにあると思うのです。

命を育むのが農業。命をいただくのが食。

今こそ、食料を生産する者と、それを食べてくださる消費者のよりよい関係を結ぶための、具体的なアクションを起こすときがきたのではないでしょうか。

同じ言葉を話し同じ文化を共有し、この狭い島国で暮らす私たちには、その距離や時間を超え、作るひとと消費する人、農村と都市に暮らすひとたちの心のつながり、信頼関係を築いていくことができると確信しています。

私たちは、この度の受賞を励みとし、日本農業の発展と、食と環境を守りながら、暮らしが潤う豊で安心な社会を目指して、益々努力していく所存でございます。

結びにあたりまして、主催者である、日本放送協会、全国農業協同組合中央会並びに、農林水産省、ご支援いただいた皆様方に感謝申し上げるとともに、何よりも、私たちの生産した農畜産物を消費してくださる国民のみなさまに心より感謝申し上げ、お礼のことばとさせていただきます。本日は、誠にありがとうございました。

(2009年3月 日本農業賞受賞者代表謝辞 NHKホールにて)

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