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研究者日記 Day 16

The Project Gutenburg 
時々、活用しています。西洋の古典図書など著作権が切れた書籍のEbookを無料で提供しているサイトです。20世紀よりも前に書かれた本を読むなら、ここですね。

アマゾンなどで注文すると1万円以上する本も、FREE


まあ、しかし、古典文学なんて読む人がどれほどいるのか。マルクスの『資本論』とか、ダーウィンの『種の起源』など。名前はみんな知っている。ルネッサンス以降、科学の本はたくさん書かれてきたが、チャールズ・ライエルの『地質学原理』もそれなりに有名。まあ、地層ってもんがあって、古いものが下にある。そして、地球の歴史は長い。ということを様々な事例をもって紹介した本。まあ、地質学というか地学の基礎となる原理を示している。

読んだ人はどれほどいるだろうか…

この本を改めて読むと、すごい。今の科学者顔負けである。

そして、私は、この本にこそ水中考古学のエッセンス、科学としての水中文化遺産の研究が始まったと考えている。1830年代である。


それまで、宝探し的な沈没船の探索と引き揚げは行われてきたが、それが人類の歴史や科学の対象となることを示したことが一つ大きい。水中に存在する人類の痕跡は貴重であると。そして、水中には我々の想像以上に状態の良い遺跡が、しかもたくさん残されていることを実例を通して紹介している。

毒を吐くが、とある日本の国会議員が、
「水中考古学って、なんですか?水中にも遺跡があるってこと?」…と聞いてきたことがあった。まあ、異国船打払令が出たころの時代から考えが変わっていないのだろう。

ライエルさんの本は、基本は火山や地形のことが多いが、河川や海も扱い、その中にある人類の痕跡にも着目している。

特に面白いのは、ココ

Mr. J. L. Prevost, also informs me that on inspecting Lloyd's list for the years 1829, 1830, and 1831, he finds that no less than 1953 vessels were lost in those three years, their average tonnage being about 150 tons, or in all nearly 300,000 tons, being at the enormous rate of 100,000 tons annually of the merchant vessels of one nation only. This increased loss arises, I presume, from increasing activity in commerce.

保険会社の記録から、1年間でどれくらいの海難事故があったかをもとに、海の中に没する我々の痕跡がいかに多いかを提唱。同時に、海の中でも色色々な遺物が残っている事例を引用している。

そして、ここも面白い

各地の水中で発見された金属製の遺物について。錆や劣化の現状、引き揚げてからの腐食の様子、そして、それらの劣化がなぜ起こるのか、どうしたら防ぐことができるのか、などをほんのちょっぴりであるが、書いている。

まあ、あと、バイアの水中遺跡についても。

バイアの遺跡は、イタリアにいくつかある整備された海底遺跡公園のなかで最も有名な遺跡です。私も、数年前に行きました。

まあ、延々とライエルさんについて書いても…Gutenburgですぐ読めますので、どうぞ。

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