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webノベル感想『デジモンシーカーズ』

※<追記>と書かれてある部分までは、2/7(最終話更新前)に書いた文章です。

  どうもこんにちは。

 ついに明日、デジモン公式ウェブサイトにて一年弱連載されていた『デジモンシーカーズ』が完結するそうです。自分は第一話(Chap.1-1)からずっとリアルタイムで読んでいたので、感動もひとしおと言ったところです。

 感想を語る前に、先に軽く最近の自分のデジモン遍歴(tri.以降)について話しておきます。劇場作品のtri.・ラストエボリューション絆・THE BEGINNINGは視聴済み、テレビアニメであるデジモンアドベンチャー:・デジモンゴーストゲームは途中離脱、ゲーム最新作であるデジモンサヴァイブは調和ルートのみクリア、舞台版のtri.も視聴済み、シーカーズの前に連載されていたクロニクルエックスは全話読了済み、といった形です。

 ここまで書くとわかると思いますが、自分は全デジモン作品を熱心に追えているタイプではありません。恐れずに言えば、ボチボチつまらなく感じる作品があり、渋い顔をしていることの方が多いです。でも、デジモンシーカーズは個人的にとても楽しみにしていました。単純に、今までデジモン公式がやったようなことがないコンテンツ展開をやっていたからです。小説・朗読劇・PVの合わせ技を見て「アニメが終わってもデジモンは頑張るつもりなんだなぁ」と思ってました。

 ……で、ここまでの話をすべて読んできて、いよいよ明日最終回ということで正直結構興奮しています。興奮していますし、なんならここ最近のデジモン作品の中ではかなり良かったんじゃないかとすら思っています。しかし正直、それ以上にシーカーズという作品に対して色々と言いたい部分が溜まってきたので、ここら辺で一回『感想』という形でバーッと出力してみようと思います。

 今のところ書こうと思っているのは、以下の6点です。ここからは批判的になってしまっている部分もあるので、苦手な方はブラバをよろしくお願いします。

1.あまりにも……な文章
2.文字数に対する展開の遅さ
3.纏まってはいるけどこじんまりとした関係性
4.ルガモンの進化スピード
5.魅力的なのにイマイチ使いこなせてない設定
6.宣伝への不満とネタバレ?のようなPV

 最終話で何かあれば追記という形で書くかもしれませんが、今のところ強く言いたいのはこの6点のみです。では、早速書いていきたいと思います。

1.あまりにも……な文章

 正直に言えば、デジモンシーカーズの文章は『お金をもらって、仕事で書いている人の文章ではない』と思っています。「そんなに!?」と思う人には是非実際に読んでいただきたいんですが(話は面白いので)、とにかく酷いです。読むのが少し苦痛なレベルで。

 小説は面白さが第一だとは思いますが、同じぐらい可読性も大事だと自分は考えています。そもそも、読みやすくないと文章が頭に入ってこなくて、面白いかどうかの判断すらマトモに下せない場合があるからですね。ただ「この小説、読みにくいけどめちゃくちゃ面白いから読んでしまう!すごい!」という場合も確かにあります。ありますが、シーカーズは可読性の低さを完全に差し置けるくらいの面白さではないです。いや、面白いですけどね。面白いですけど、多分自分はこの小説がデジモンシリーズでなかったら読んでないです。

 具体的に文章の酷いところを指すなら、オノマトペの多用・登場人物の視点揺れ・中途半端に詩的な文章などが挙げられるでしょうか。オノマトペの多用については、この記事の見出し画像を見てもらえばわかると思いますが、こういうものが普通の小説と比べて非常に多く使われています。ただ、これに関しては「よくない!」の一点張りも少し違うと思っていて、何しろこの小説は『webノベル』なのでこういった軽い言葉で読者の想像力を誘導するのも一つの手だとは思います。それにしても多いですけどね。

 登場人物の視点揺れについて、これはプロの作家でもよくやらかす事案らしいので仕方ないのかもしれないのですが、主人公のエイジ視点で物語が進んでいるなぁ、と思ったらいきなりパートナーデジモンであるルガモンの心情が出てきたり……とそういう箇所がチラホラあったように思います。自分も隅から隅までキチンと読み込めている、というわけではないので見返してみないと詳しく判断できない部分もありますが、初読時にはそういった感想を抱きました。

 最後に、中途半端に詩的な文章についてですが、正直に言えばこれは自分の好みです。こういった文章が好きな人もいるとは思います。でも、自分にはどうしても『中学生が黒歴史ノートに書く詩のような文章』に見えました。黒歴史ノートに書く詩、といえば呪術廻戦の芥見先生がBLEACHを読んで触発されて書いた詩集があるそうなんですが、めちゃくちゃ読んでみたいです。発売してくれないかなぁ。とにかく、自分はもうちょっと堅い文章が好みなので、この小説はそういう部分で完全にはノリ切れませんでした。

2.文字数に対する展開の遅さ

 次です。今さっき、現時点でのシーカーズの全文字数を計算したんですが(一話一話コピペして計算したので、もしかしたら±1万字くらいはあるかもしれません)全部で約27万字でした。デジモン公式が最初に述べていた通り、一般的なラノベ2冊分の分量ピッタリという感じです。

 ただ、それぐらいの文字数がある割には展開が遅いというか、少ないと感じました。特に、ネットで毎週連載という形を取るのならば、もっと描写を減らして会話劇や展開で畳みかけていく方が面白いんじゃないかな、と自分は思います。これが2冊の本としてまとめて読むならこういった文章でも特に気にしませんでしたが、連載となるとやはり『なろう』や『カクヨム』などで連載されている小説とも比べてしまうわけで。

 そういった小説と比べると、やはり描写が多いと感じました。描写が多いのは小説において悪いことではないし、むしろとてもいいことだと思うんですが、細切れにしてネットに載せる時にはどうしても悪手になってしまうのではないかな、と思います。動きがとても緩慢に見えました。

 それに、毎週連載というのにも自分は不満を持っています。最初の1週間と最後の数日間は毎日連載でしたが、それ以外は1週間に1話です。そしてその1話も多くても5000,6000字(だったように記憶しています)。なろうやカクヨムで『1日に投稿する目安』としてよく言われている文字数が大体3000~5000字程度です。毎日連載で、です。わざわざwebノベルという媒体を使って物語を展開するのなら、その媒体でヒットしている物語はどういう文字数でどれくらいの期間・頻度でやっている、とか調べておく方がいいんじゃないでしょうか。

 勿論、「いちコンテンツであるデジモンとなろう小説などを比較するのは筋違いだ!」というのもわかっています。わかってはいるんですが、ぶっちゃけ読者である自分からすると、どちらも『webノベル』という点では同じものなわけで。シーカーズは『公式デジモンコンテンツである』というアドバンテージはあるものの、やはり目を引くような頻度で連載して欲しかった気持ちがあります。

 「2冊の本として纏まった文字数を出すのならこれでもいい、毎日連載でこれくらいの密度の文章を書くのならそれでもいい、しかし毎週連載という頻度で描写や説明に文字数を多く割くのはやめて欲しい」というのが自分の本音です。というかぶっちゃけ、文字数少なくしても良いから毎日連載でガンガン進めて3か月ぐらいで終わらせて欲しかったです。

3.纏まってはいるけどこじんまりとした関係性

 先の「展開が少ない!」という話に少し関わってくるんですが、個人的には『話もキャラの関係性も小さく纏まりすぎ』だと思いました。
 
 シーカーズはエイジが人生の勝ち組になるための物語(終盤は「それらをかなぐり捨ててでも、守りたいものがある!」みたいな展開でアツかったのは記憶に新しいです)ですが、勝ち組になるために色々な人と関わっていくようになるかと思えば、作中でエイジが特別な関係を築いた人はレオン・龍泉寺・タルタロス、後はせいぜいマーヴィンぐらいです。なんというか、話としては結構大きなスケールなのに、結局個人の話に終始してしまっているので人間関係が狭く、世界が小さく見えた、というのが本音です。

 長編において登場キャラクターの数を絞る、というのはとても大事だとは思うのですが、話のスケールに見合ってない登場人物の少なさだな、と自分は感じました。もう後1.5倍くらいはネームドキャラがいても良い気がします。扱いきれるかどうかはまた別問題ですが。

 確かに、話の進行に必要な最低限のキャラクターたちは揃ってるんですが、ホントに最低限なんですよね。寄り道をするようなサブストーリーが一切ない。いや、それはそれでいいのかもしれません。変なサブストーリーをやられるよりかは、メインストーリーに集中してもらえた方が自分も嬉しいです。でも、それによって「思わぬ展開が!」とか「あのキャラとあのキャラの関係の変化が!」とか、そういう追加パッチ的展開が本当にないんですよね。TCGで例えると、シーカーズはスターターデッキのような感じだと思います。自分は色々な弾のブースターを使った魔改造デッキみたいな話が読みたかったので、そこが不満でした。

4.ルガモンの進化スピード

 2や3とも関わってくるんですが、ルガモンの進化スピードが早すぎると思います。これは「この展開で進化するのはキャラの積み重ねが足りない!」というような意味ではなく、単純に成熟期・完全体・究極体の戦闘シーンがとても少なく感じました。一番多いので成熟期のルガルモンでしょうか? でもそれにしても、自分はルガルモンの戦闘シーンがあまり強くは記憶に残ってません。四回か五回はあった……? ちょっと後で詳しく調べてみようと思います。

 デジモンを取り扱う作品において見せ場とはやはり進化シーン・進化したデジモンによる戦闘シーンだと思います。シーカーズにおける進化シーンについては、最早言うことない……というかとても良い話になっていると思います。ただ、その進化したデジモンによる戦闘シーンがやはり少ない。そして小説だからか、全体的な戦闘シーンも少なく感じています。これは多分自分の好みだとは思いますが……。

 なんというか、シーカーズには昨今の仮面ライダーと同じ『強化フォームは沢山あるけど、その強化フォームを使ったそれぞれの戦闘回数が少ない』という状況を感じました。もっとルガルモン・へルガルモン・ソルガルモン・フェンリルガモンの戦闘シーンを読みたかったです。やはり、『読みたい』と思わせるということはそれだけシーカーズは面白い作品なのだと思います。

5.魅力的なのにイマイチ使いこなせてない設定

 シーカーズ専用wiki、正直欲しいです。それくらいにはシーカーズの設定って独特で面白いと思います。マインドリンクから始まって乱渦(タービュランス)とか、厨二の感性にビンビンに訴えてきます。ここはマジでいいと思ってます。

 ただ、そういう面白い設定がありながら、自分はイマイチシーカーズが設定を使いこなせているとは思っていません。いや、使いこなせてないというより積極的に使ってこない、と言った方が正しいかもしれません。

 ここら辺も、シーカーズの『必要最低限感』が如実に出ているところだと思います。九狼城の魔狼やゲートキーパーなんかも掘り下げようと思えばめちゃくちゃ掘り下げがいがあると思います(ロイヤルナイツは正直出す必要なかったと思いますが)。けれど「実際に本編で書ききれてるな」と感じたのはマインドリンクとDMIAぐらいでした。続きを、続きを書いてください! もっと書けるでしょ!? 文章は直してほしいけど!! もっと書けますよね!?(豹変)

 段々取り繕うのがしんどくなってきたので言うんですが、デジモンシーカーズめちゃくちゃ好きなんですよ!! 面白いんですよ!! ただ、面白いのに何でこんな勿体ない話の作り方しちゃうかなぁとか!! アンタならもっと面白くできるだろ!?(筆者さん誰か知らないけど!!)とか!! 思っちゃうんですよ!! 面白いですよシーカーズ!!

 面白いのに!! 自分がこんな半分恨み言みたいなnoteを書いてるのは!! もっともっと面白くできそうな余地があるのに、恐らくそれをやろうとしてないのが、どうしようもなくもどかしいからなんですよ!!

 もっともっと面白くできるだろ!?!?!? もっともっといい話書けるだろ!?!?!? 書いてくれ!!!!!!!!!!!!アンタならできる!!!!!!!!!!!!!!!!

 発作が収まったので次に行きます(筆者様、無礼な物言いをしてしまいすみませんでした)。

6.宣伝への不満とネタバレ?のようなPV

 これは正直、小説以外の部分なので書くべきではないのかもしれませんが、宣伝やPVについて。

 まず、宣伝ですが少ないと思います。デジモンファンの多くはアニメや携帯玩具、ゲーム、今で言うとカードから入った人たちだと思うので、webノベルは正直畑が全く違うと思ってます。畑が違うならもっと大々的に宣伝して、人を呼び込んだ方が良いと思います。せっかく新しい展開なのに、カードにちょっとリンクさせたりVBでそれ用のおもちゃを出したこと以外特に……って感じですし……。まあただ、ここまで書いてると意外と公式も宣伝頑張ってるのかな、とは思いました。

 次にPV。PVはどれもクオリティがすごくて何度か見返してるんですが、流石に小説連載中に先々の展開が手に取るようにわかってしまうPVを出すのはちょっとどうなのかな、と思いました。特に最新のPV。デクスドルゴラにタケミカヅチで対抗して最終的に倒すんだろうな、という一番重要な部分を伏せずに開示してしまっているので、本編である小説で驚くことがほぼなくなりました。やはり映画の予告のように、重要な部分は隠して作ってほしかったです。



 以上、自分が言いたかった6つのことでした。スッキリしました。デジモンシーカーズ、自分は好きですし良い作品だとも思います。こういったwebノベルはボチボチ展開を続けて欲しいな、と思いました。デジモンリベレイターも楽しみにしています。それでは。

<追記>

 いや、えぇ……?

 どうやらシーカーズの最終回は今日ではなかったっぽいです。いや、打ち切りエンドみたいな終わり方をしてた時点で「ん?」とは思ってましたけど。それにしてもエピローグだけ1ヶ月後公開ってどういうこと。

 今日の話は『最終回』と書かれてありますけど、エピローグがあるなら「じゃあ最終回じゃないやん!!」という話ですし、それにエピローグだけ1ヶ月後なのは明らかに悪手でしょ。なんで明日公開じゃないんですか。そこって引き延ばす意味あるんですか……?

 ちなみに、今日の話の内容はとても良かったと思います。話は良かったのに変な期間を開けてエピローグ公開!とかしてきたから色々とぶち壊しでそれどころでない気分ではありますが……。何度も言いますけど、なんでエピローグだけ1ヶ月後に公開なんですか。

 デジモンシーカーズ、1年間追ってきた身としては盛大な肩透かしを食らったような日でした。まあ、エピローグ公開によってこの記事にさらに加筆できるというのは良い点かもしれません。大人しく1ヶ月後を待ちます。それでは。

<追記の追記>

 はい。本日、シーカーズのエピローグが公開されました。

 エピローグ公開前まではどうなることかと思ってましたが、意外とよく纏まってたと思います。綺麗な終わり方だった。文章は最後まで微妙でしたが、もういまさら言うことでもないと思います。

 シーカーズ、個人的にはかなり好きなので個々で展開が終わるのは勿体ない気もしますが、とりあえずは完結をお祝いしたいと思います。

 リベレイターもwebノベルやる予定だったり、デジモンノベルコンペティションなるものも開かれるみたいで、今後も楽しみですね。それでは。

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