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シオコレエピソードvol.1「カウンターのガラスケース」

シオコレには、おもしろくてたまにグッとくるエピソードが店内のそこかしこにあります。

店を訪れた方とスタッフの間で、そんな話で盛り上がることもしばしば。

せっかく豊富なネタがあるので、それを共有していく不定期SNSコラム企画 #シオコレエピソード を始めてみます。

第一回のテーマは「カウンターのガラスケース」。

これを読んでからシオコレの店内を眺めると、また違った景色に見えるかもしれません。


カウンターのガラスケース

「このガラスケースはどうされたんですか?」と聞かれることがよくあります。シオコレレジスペースの、アクセサリーをディスプレイしているガラスケースのことです。
そう、このケースはシオコレがオープンする4年ほど前に、塩屋下畑にあった倉庫生活館というリサイクルショップで、シオコレ澤井が出会いました。当時澤井は店を開くことなんてまだ微塵も考えていません。シオコレの影も形も無かった頃です。

倉庫生活館塩屋下畑店が、近隣の他のリサイクルショップと一線を画していたのが、人の背よりも高い棚に商品がみちみちに置かれ積まれている、そもそもの物量。そして商品の選びかたの懐の深さというか、かろうじてカテゴライズ、整理はされているけれど、年代や値打ちのあるなしや系統問わず、とにかくいろんな趣向のモノが、きっちり分けられることなく雑然と置かれていることによるカオス度の高さ。

毎回時間をかけてヘトヘトになりながら(エアコンがなくて夏なんかでっかい現場用扇風機がブンブンまわる中)、掘り出しモノを探すワクワク感がたまらなく、澤井のたいへん好みのリサイクルショップだったのでした。
古い木製のタンスや水屋や足踏みミシンといった年季の入った味わい深い家具も販売されていて、新たに入荷されているのを確認しては眺めるのを楽しんでいたのですが、ある日、大きな脚立を使わないと下ろせないような高いところに置かれた、折りたたみのパイプベッドのさらに上に、あのガラスケースがあるのを発見したのです。
かつては小さな商店で飴玉や煎餅なんかを売るのに使われていたことを想像させるケースでした。こんなかたちのケース、売られているのを見たことがない、どこからどんな経緯でやってきたのかと、とても気になりました。自宅を自力でリノベーションしていたので、何とか使えないかとも思いましたが、狭いわが家で有効に活かすアイデアが浮かばず、幾度となく憧れの眼差しを向けながら、縁のないものと諦めて、いつしか忘れていたのです。

2020年にシオヤコレクションの立ち上げがにわかに具体化して、店舗の内装に向き合ったのが2021年オープンの5ヶ月前。そのときふいにあのケースを思い出しました。使えてしまうではないか。
最後に見たのはいつだったろう?倉庫生活館に行ってはいたけど、ほんとにもう全く気にしてなかったんですね。急いで確認しに行くと、あったんですよ、あの高いところに、かわらずパイプベッドの上に、まだ。
喜び勇んで見せていただくと状態もとてもよく、引き戸のガラスも揃っていました。シオコレ立ち上げメンバーに快諾してもらい購入、施工をお願いした大西工務店の大工さんにケースに合わせてカウンターをあつらえていただいて、シオコレのレジスペースに鎮座することになったのでした。誰のもとにゆくのだろうと思っていたけれど、そうか、シオコレやったんか。

店の入り口から入って正面に、このガラスケースがあるのと無いのとでは店の雰囲気がまるで違います。同じ形状のものを新しく作ったとしても、この落ち着いた様子を、またポップな色合いの店内とのギャップを醸し出すことはできなかったでしょう。サイズも使い勝手も奇跡的にちょうどよいものだったと今になってあらためて思います。
倉庫生活館下畑店は、シオコレがオープンした半年後に惜しまれながら閉店しました。ちょっと時期がずれていたらシオコレのレジは今よりも味気ないものになっていたかもしれません。感慨深く、ありがたいことやったなあと思います。


(この記事は2023年8月24日にシオヤコレクションのInstagramに投稿した記事の転載です)

写真📷
1枚目→現在
2枚目→倉庫生活館で澤井が見つけたガラスケース
3〜5枚目→大工さんと相談しながらカウンター・吊り棚を作ってもらう
6枚目→現在のシオコレレジまわり
7枚目→収納スペースになっているカウンターの裏側

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