2207B志乃【レンズ】

きろり、と巨大な目が動いて私を見た。
 水抜きパイプなんかに潜んだ私をじっと見る顔は、無感動で静かだ。
 暑すぎる日差しに耐えかねて、しかし地中に埋まるのと変わらないパイプ奥では冷えすぎる。日向と影の境にぼんやり寝そべることを咎めるでもない透明な一つ目は、もしかしたら私のこの場所をうらやむ同族なのかもしれない。
 しばらく私と見つめ合った一つ目は、カシャ、と一声鳴いて去って行った。

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