2112D志乃【落ち葉のワルツ】

 タ、タ、タタタ、トン、タタ、くるり。
 右に左に揺れながら、風のつま先が踊った跡に、黄や赤の枯葉が落ちる。
 このレンガの隧道に生えているはずもない、手のひらほどの大きな紅葉だ。テンポもステップもめちゃくちゃなワルツの、リードを申し付けられて困惑したように、まちまちに散らばる。
 互いの足を踏みあいっこでもしたのだろうか、ひとかたまりの足跡から抜け出して、また斜めに駆けるようなステップ。ポンと跳んで、回って。
 秋風の女神は、冬に追い出される前に思う存分踊っていくことにしたらしかった。

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