2203A志乃【飛び石】

 砂泥に根を刺してがっしりと腰を据えた切り株がコンクリートのサイコロを見つめている。水源地の浅い川に等間隔で並べられた飛び石は、水流に削られた丸く小さな石の中に埋まりながら、人が通るのを待っていた。
 水面を照らす午後の日は柔らかく、つい最近水に洗われたと見える水面に近い杉やヒノキの枝が、しおらしく揺れている。
 水に触れていなくても肌がひやりと涼しい。
 登ってきた山の人気のなさに反して、切り株のきれいな切り口にも飛び石にも人の手の気配が強く出ている。誰の気配もない場所を目指してきたが、もっと奥へ行かなければならないだろうか。

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