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『シュルレアリスム』中内火星句集

俳人の中内火星さんの句集『シュルレアリスム』(文學の森)を読む。

柳俳合同のネット句会で句を拝見したり、句誌で拝読したりするばかりで
直接お目にかかったことはないのだけれど、俳号があまりにも印象的で、
その作品もかなり自由闊達で、かといって難解とは無縁で、私にとっては
インパクトの強い俳人のおひとり。この句集も書きおろし分がかなり含まれているのだろう。句作量の多さを感じる。量を多く書く、ということの
良いことは、無駄な自意識が薄くなること。軽みも手に入る。同時に
ただ軽薄なだけの句が量産されるリスクもあるけれど、火星さんの場合は
社会的なテーマが多いので、軽みはあってもぺらぺらではなく洒脱。
大人の俳句なのだと思う。

海を見ていた帰り道はもうない
病名は枝垂桜だった
初雪や背骨が曲がる
原爆忌まったく反りのない胡瓜
チューリップでなく軍隊かも知れぬ
サイダーは森林浴と同じ色


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