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第13回ぶらり句会

今回の題は「だん」「雑詠」。私の選句から
 
桐の箱に入ったものなど下さるな  浮千草
 浦島太郎の玉手箱みたいなものなんだろう。この句の場合は
 受け取り拒否をしているので中味は確認しないまま。潔い。
コンビニの床輝いていて 奈落   野沢省悟
 最近、奈落のイメージが変わったように思う。
 コンビニに 代表される世間の中途半端なあかるさ、中途半端に輝く床、
 現代の奈落(地獄と言い換えてもよい)はこういうあかるさの中にある。
 これまでひとが経験したことがないような時代が始まっている
 その最中が 書かれている。   
噛めば噛むほど段田安則      雪上牡丹餅
 BSで朝ドラ「オードリー」が再放送されており、段田さんは主要キャスト 
 で登場している。大河ドラマ「光る君へ」でも前半に登場。(ちなみに
  佐々木蔵之介も両方のドラマに出ている)しょうゆ顔の代表みたいな
  容貌ながら、どんな役柄にもフィットする文楽人形のような顔。
  まさに噛めば噛むほど魅力が増す段田安則(と佐々木蔵之介)。
百段を登っていった言葉かな    広瀬ちえみ
 「かな」のとぼけた軽みと同時にスピード感もある。
 例えば己から発した言葉がこんな風に駆け登ったなら。
 爽快さよりも恐れを覚えるかもしれない。 
男爵芋一個と夜の公園へ      樋口由紀子
 芋を擬人化しているのではなく、ただ、芋と夜の公園へ行った。
 と読むのが面白い。深読みは不要な句なのではないか、と思わせる
 良い意味での平板さがある。いちいち芋の種類が書かれているところが
 とてもいい。たった一個の芋が、支えになる時がある(はず)。

 自分が選句しなかった句で、とても気になった句。
目をそらす位置にあんずはなりました   兵頭全郎
 三名の方がこの句に評を書いておられた。どの評も、私には
 あまりピンとこなかったので余計に心に残ったのだった。
 「あんず」が動くかどうか・・・。おそらく、動かないと思われる。
 とても個人的な句か、政治的な句か、の二通りの読み方ができる。
 「あんず」が平仮名表記なので、どう読まれてもよいように
 書かれているのだろう。

私の句。
壇ノ浦からの苦情受付中      竹井紫乙
背中から花びらがこぼれる墓石   竹井紫乙


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