PERFECT DAYS

年末年始はできるだけ映画館へ出掛けるようにしている。
今年は『PERFECT DAYS』。母のリクエストでもあり、私も興味があった。

まずは映像の美しさ。静けさ。役者のセリフが程よく抑制されている。
キャストも豪華で、一瞬だけ研ナオコの姿が目に入った時はびっくりしてしまった。愉しみの尽きない作りになっていて、主人公の姪の名前が「ニコ」であったり、(ヴェルヴェット・アンダーグラウンドですね)タイトルがルー・リードの楽曲であったり。何度観てもおそらく発見があるに違いない。
音楽が重要なキーになっているのだけれど、ラストシーンで主人公が車の中で聴くのはニーナ・シモンの「FeelingGood」。この楽曲がかかっている数分間の役所広司の顔。この音楽と主人公“平山”の表情のマッチングは、これまでの映像作品では見たことがないのではないか、撮影されたことがないのではないか、と思うほどに素晴らしかった。

私は詩と川柳を書くひとではあるけれど、2020年以降は特に「書く」行為自体に
疑いと痛みを感じることが増えた。東日本大震災の時にも考えていたけれど、あの頃はまだSNSが広く活用されていなかったので今とは状況が違う。何でも言葉にすればいいというものではない、ということは確かなことで、「表現すること」にしても“これは表現なんです”と言えばすべての言い訳になるものでもない。
この映画の言葉の少なさにも、感銘を受けた。

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