「選択の科学」(文春文庫)書評のスピンオフ記事⑴

 前回、「選択の科学」(シーナ・アイエンガー著・櫻井祐子訳/文春文庫)の書評の中でスピンオフの別記事を2本ほど投稿すると申し上げましたので、そのうちの1本を投稿しようと思います。「選択の科学」書評が面白いと思われた場合に、ついでにご覧いただく程度でよろしいかと思われます。

 この提案をした背景には、小売業ではレジで商品のスキャンをする店員のことをチェッカーというのですが、海外ではこのチェッカーが椅子に座って業務をするのが主流であったことから、サンディ社でもチェッカーの労働環境改善を意図してチェッカーが座る椅子(以下、レジ椅子)を導入しようということになりました。その導入に際してうまくいかない点があったことから会社に対してした提案を以下に掲載するものです。

 「レジ椅子使用におけるさらなる改善について」

昨年、わが社ではレジ椅子が全店に導入され、現在定着しつつあります。そして現在のレジの使用状況をさらに快適なものにしていくことで、わが社の従業員の労働環境が改善され、働く意欲のさらなる向上へと繋がっていくと考えられます。

1.現状と課題
 チェッカーは椅子のふちに腰かけてレジ打ちをしています。これについては、立ったままでレジ打ちをするより体の負担は少なくなると思われますが、深く腰かけてレジ打ちをするほうが、ふちに腰かけてレジ打ちをするよりさらに体への負担が少なくなると思われます。この点については、椅子に深く腰かけると安定性を求めるようになることから、足が地面につくように椅子の座面を下げざるをえないのですが、そうすると今度はレジのチェッカー台(商品をスキャンする際に買い物かごを置く台)がレジ打ちをするには高くなりすぎるという課題が生じてきます。
 また、レジ椅子のふちに腰かけることは、レジ椅子の軸に本来(椅子の真ん中に座った時)とは違った方向から負荷をかけることになるため、椅子の軸が折れ曲がってしまう等、椅子の故障につながりやすいと思われます。

2.改善案
 サンディ社内報「すてっぷ」1月号9ページの左下写真にあるアメリカのアルディ社のレジ(この記事では著作権の関係から掲載しません。)と同様に、レジ椅子の下に床から高さをつけるための台を入れると良いのではないかと考えます。これによりチェッカー台の高さが相対的に下がることと同じ効果が出ることから、椅子の座面の高さを下げることができるので、結果的に椅子に深く腰かけることができ、椅子の軸が折れ曲がる等の故障は激減すると考えられます。また、台により足の設置地点がすでに高くなっていることから、立ったままでレジ打ちをすることが逆に困難になるとも思われ、座ってのレジ打ちがより定着しやすくなると考えられます(ナッジ理論)。
 台を導入することにより生じうるリスクとして、台により段差が生じることからレジから出るため椅子を後ろに引く際に転倒してしまうということが懸念されます。しかしながら、わが社で導入しているレジ椅子は回転椅子であるため、レジから出る際には椅子を後ろに引く必要はなく、椅子を回転させることで体の向きを変え、レジから出ることができるはずです。また、また台の後方部分に転倒防止用の敷居を設けるという対策も考えられます(ビリヤードのテーブルのへりのイメージです。)。したがって、実際に実験をしてみなければ分かりませんが、この点についての懸念は解消されるものと考えます。

3.台の材料・製作作業について
 パンクレート(パンが納品される際に入っているケースのこと)程度の高さが必要であると思われますが、パンクレートを裏返して使用すると、中が空洞であるため安定性に欠けると思われます。また、パンクレートをそのまま使用するのはパンのメーカーに対して失礼ですし、所有権の侵害にも該当する可能性があり、刑事・民事の両責任を問われかねません。そこで、
・畳の使い古しを重ね合わせる
・ホームセンターで販売しているような木材を重ね合わせる
・煉瓦をしきつめて、その上にラバーのようなものを貼り合わせる
・100円ショップで販売している繋ぎ合わせられるマットを使用する
等が現段階では考えられます。
 また、製作に関しては、社員が500名以上いるのであれば、その中には工業高校の出身者、高等専門学校の出身者、理工系大学の出身者、DIYを趣味とする人等いるはずですので、メーカーに特別に発注せずとも済むと思われます。

 以上が私が別記事の書評の中で言及した提案の内容です。書評のスピンオフ記事でしたので大して面白くなかったと思われますが、最後までご清覧くださいましてありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?