ペロブスカイト太陽電池の可能性について-ディヴァージェンス・テストによる可能性の模索

 前回の私の「天才!」の書評において、ディヴァージェンス・テストから自分の適性について気づくことができた、と申し上げたのですが、今回はディヴァージェンス・テストが発明や発見の実用化に際しても大いに有益であるということについて言及したいと思います。具体的には「天才!」の書評とは別で投稿した「GOTO大学生協 コロナ赤字、学生ら支援へ知恵」の記事の中で言及したペロブスカイト太陽電池について、ディヴァージェンス・テストを使ってその可能性を探っていきたいと思います。
 ペロブスカイト太陽電池とは薄くて曲げ伸ばしが自由にできるフィルム状の太陽電池で、現在実用化に向けて開発が進んでいると言われています。斜面や壁面に設置が可能となるのではないかと言われています。私も「GOTO大学生協 コロナ赤字、学生ら支援へ知恵」の記事の中で、おそらく冬は利活用しづらい海水浴場や屋外プールに太陽光発電パネルが絨毯のように敷き詰められ、夏はスキー場のような所へその絨毯型のソーラーパネルが移設されることになるのではないかと言及したのですが、今回はディヴァージェンス・テストの形式で、それ以外の可能性について探っていきたいと思います。あくまでディヴァージェンス・テストの形式をとりますので、送電コストや保守点検等の維持管理コスト(今後はドローンが多用されるはずです。)についてはほとんど言及しませんが、あしからずご了承ください。 
 まず太陽光発電のためのソーラーパネルの設置に際して問題とされる点を上げたいと思います。新聞でよく取り上げられるのは、
・日本は国土面積が狭く、設置場所が少ない。
・ソーラーパネルの設置により景観が悪くなる。
・ソーラーパネルの設置により土砂災害が起こりやすくなる。
等が主なデメリットかと思います。これらをクリアできればペロブスカイト太陽電池設置の可能性が高まると思われます。それでは、ここからディヴァージェンス・テストとしてペロブスカイト太陽電池の設置場所について検討していきたいと思います。

高速道路の高架
 今までのソーラーパネルは敷設する必要があったことから、ソーラーパネルを「敷く」ために土地が必要とされてきましたが、ペロブスカイト太陽電池が実用化されれば、発電効率は多少落ちるかもしれませんが、敷く必要はなく、吊るしてもよくなるはずです。吊るす場合、国土面積の狭さは問題になりません。また高速道路の高架に景観を求める方もめったにいらっしゃらないと思われます。「吊るす」ので、土砂災害が発生する心配もありません。吊るすには高い場所であればあるほど多くの面積を稼ぐことができますので、高速道路の高架は適切かと思います。高速道路の高架の遮音壁から外側にペロブスカイト太陽電池を垂れ幕のように垂らすというイメージです。ペロブスカイト太陽電池の長さはペロブスカイト太陽電池をジョイントマットや鉄道模型のジョイントレールのようにつなぎ合わせられるものにすれば、高架の高さに応じてペロブスカイト太陽電池も最大限の長さに設定できるはずです。高速道路の道路脇には道路照明灯がありますので、送電も比較的容易ではないでしょうか。ペロブスカイト太陽電池に関しては、反射防止の研究も進んでいるはずですので、その実用化段階ではおそらくペロブスカイト太陽電池を吊ることで近隣住民からその反射光で苦情が来るということもなくなるのではないでしょうか。
鉄道の高架
 高速道路の高架と同様です。鉄道はコロナ禍で収益が悪化しているはずですから重要な収益源にもなると思われますし、SDGsにも資するので検討の価値はあるのではないでしょうか。
瀬戸大橋、明石海峡大橋、しまなみ海道
 地上(海上)からかなりの高さがありますので、高速道路の高架と同様、橋桁やアーチ橋から垂らせばペロブスカイト太陽電池の長さは相当稼げるはずです。上記ほど大きい橋でなくても日照等の問題がなければ河川上の橋にも設置は可能なはずです。ただし瀬戸大橋や明石海峡大橋は南北に長いので、午前は橋の東側に設置したペロブスカイト太陽電池で発電、午後は橋の西側に設置したペロブスカイト太陽電池で発電することになるので、発電効率は少々劣るかもしれません。
防潮堤
 東北では東北大震災後に海岸沿いに防潮堤が設置されている所が多いかと思います。津波が来るとパーになるのですが、やはり午前は防潮堤の東側に設置したペロブスカイト太陽電池で発電、午後は防潮堤の西側に設置したペロブスカイト太陽電池で発電することが可能になるかと思います。
水無川
 普段は伏流水等で地表を水が流れておらず、降水等による増水時のみ地表を水が流れる川を水無川と言います。この水無川の上に両岸からバレーボールやテニスのネットのようにペロブスカイト太陽電池を張るというのはどうでしょうか。景観がやや悪くなるかもしれませんが、生態系には影響が少なそうですし、土砂災害を引き起こすこともないと思われます。
コンクール(オープンソース)
 毎年、内閣府・文部科学省後援で「青少年読書感想文全国コンクール」が開催されているはずですが、環境省後援でペロブスカイト太陽電池の設置場所を考えるコンクールのようなものを実施してはいかがでしょうか。「全日本学生児童発明くふう展」などを拝見しても私などは思いつかない発明をされている方は多いので、オープンソース型でアイディアを募るというのもいいかもしれません。
建築家
 新国立競技場の設計者である隈研吾が木の特長を生かした建築を得意とするように、ペロブスカイト太陽電池を建物のデザインに調和させる建築家を養成してもよいかもしれません。
車庫のシャッター
 車庫のシャッターは基本的には閉まっていて巻き取りタイプのはずですので、ペロブスカイト太陽電池を貼ることも可能かと思います。
貯水タンク
ペロブスカイト太陽電池は曲線にも適応するので、タンクの円筒の側面にも貼れるはずです。

 水上での太陽光発電は進みつつあるとのことですので、漁業や生態系への影響がない限り、海の面積は広大ですので可能性は広がると思われます。ただし津波の影響も考えると太平洋側はその場所が限定されると思われます。
道路
 ペロブスカイト太陽電池の強度が増せば、車道に敷設することも可能かと思われます。あるいは、アスファルトと同じ強度やグリップ力のある透明な素材が開発できればペロブスカイト太陽電池の上をその素材で覆うことで、やはり車道部分にペロブスカイト太陽電池を敷設できるはずです。
・オフシーズンの屋外球場
 よくソーラーパネルの設置に際して、「東京ドームの敷地何枚分」という表現がされるかと思います。それならほぼ活用されていない冬場の球場のスタンドにペロブスカイト太陽電池を敷設してもよいかと思います。球場の芝が人工芝なら、その飛散がMP(マイクロプラスチック)の問題として取り上げられる今日においては、ペロブスカイト太陽電池を敷設することで飛散防止にもつながるように思えますので、一石二鳥ではないでしょうか。

 以上がディヴァージェンス・テストの形式で考えた、ペロブスカイト太陽電池の設置場所です。これをご覧になった方が思いついていらっしゃるものも多くあったかもしれませんし、現実的には難しいものも多いかもしれません。ただ、私がなぜそういったものについてまで言及したかと申しますと、他の人も思いついていると思っていたアイディアを案外その道のプロが思いついていなかったり、自分では難しいと思っていた思いつきが、他人の専門分野の知識と融合させるとあっさり解決できるという経験が今までに何度もあったからです。この記事が何かしら私以外の方の発想の端緒(セレンディピティー)になれば幸いです。
 また、私自身はフェルミ推定(不確定要素が含まれる計算を推論を使いつつ概算で出す手法)が得意ではないので、もしフェルミ推定に苦手意識がない方がこの記事をご覧くださった際に、原発何基分の電力になるか等算出していただけると非常にありがたいです。原発1基分程度になれば私としては非常にうれしいです。
 拙文であるにもかかわらず、最後までご清覧くださいましてありがとうございました。


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