日々①
なんでもないことはすぐに忘れてしまう。
とはいえ、一つひとつのささいな出来事は栄養のように、時にはちょっとした毒のように日々に蓄積されていって、心身の肥やしになったり、免疫になったりする。
わかっているのに、記録しておくことは結構億劫で、それなりに辛いこともある。その時は。
だけど、のちのち振り返ると「あの時の私にこんな感性や考え方があったのか」と安心したり、それが誰かに届いたりしたら、「やっぱり書いてよかったな」と思うのだ。
私にとって、ものを書くということはコミュニケーションだ。だからこそ、至極個人的な発信である「日記」に、自分を納得させることができなかった。
でも、(冒頭の話にもどるけど)なんでもないことはすぐに忘れてしまう。
たとえそれが、ささいな「幸せ」であっても。
そんな風に思える今日がうれしくて、久しぶりにここに姿を現したというわけ。
そんな今日のこと。
土日の疲れを引きずることなく起きられた月曜日。朝ごはんは外で、自分を甘やかしきったものを食べたいと思い、ゆるゆると支度をしてパートナーとカフェへ。
バナナブレッドの上にアイスクリームまでトッピングしてもらい、もはや朝ごはんというよりおやつな食べ物を頬張りながら、先週おわらなかった原稿と格闘する。
私は、「長い文章を書く取材原稿」よりも、「思考に時間がかかる短い原稿」の方がすきだ。
そうこうしているうちにお昼ごろになり、すったもんだがあって、一人でmidoriso(契約しているシェアオフィス)へ。
思いがけず友達が近くにいたので、一階のカフェでお茶をしながら、いろんな話題をたくさん短く話した。
自分の口から「喧嘩にならずにうまく切り抜けるには」という言葉が出て、さっきのすったもんだを振り返りつつ、私のなかには平和主義の気持ちがあることに少しほっとした。だから、こういう話ができる友人を持てることは幸せだ。
ついでにmidorisoの中を案内したら、7階でアートの展示をしていることがわかった。そんな幸運に出会うたび、いい意味で私は「一人じゃなにもできない」人間だなとつくづく思ったりもする。
誰かが働きかけてくれた何かで、ささやかでも嬉しい何かを見つけることが得意なのだ。
バタフライエフェクトとか、風が吹けば桶屋が儲かるとかいう言葉が好きなのは、そういうわけなのかも。
ここまで書いたけれど、まだ今日は終わっていない。
夜は一人なので、ゆっくりと好きなことをしよう。トイレットペーパーとアイブロウペンシルだけ買い忘れないように。
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