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学生デザイナーの"お金"の話


こんにちは!

突然ですが、先日Twitterでこんな投稿をしました。

若干のイラつきを抑えつつこそっとツイートしたくらいの気でいたのですが、思ったより多くの方が反応してくれました…お恥ずかしいやら有難いやら。

そして、中には、私とは異なる見方や今まで気がついていなかった考え方などもちょくちょく見られ、発見がありました。改めて、学生デザイナーのお仕事事情は考えるところが多々あるなぁと…。

今回は、大学3年も終えようとしている今、関わってきたお仕事を振り返る中で考えた学生デザイナーのお金問題について書いてみようと思います。

もちろん、あくまで個人的な意見かつ学生デザイナーに関して、です。
ご参考までに…!



1. お金受け取って良いのかな問題



ほぼ確実に学生デザイナーが通る道だと思っているのですが、「経験がないから」とか「スキルが高くないから」という理由で、お金をもらうことをためらう人が結構いるんじゃないかと思います。私もそうでした。

しかし、とある素敵な人たちとのお仕事をきっかけに、誰かが私にお金を払ってくれる根拠は、表面的なデザインスキルの高さだけにある訳じゃないんだと気がつくことができ、お金をもらうことに対するためらいが大分消えました。


よく、デザイナーやエンジニアは、成果あってこその評価だという話を耳にします。時給制などとは異なり、最終的に出来上がったものに対してお金が支払われるということです。それはある意味そうなんだろうなと思います。

けれど、お金を払ってくれる根拠は、必ずしも成果物の"クオリティ"だけではないと思います。体感的に、学生デザイナーはこれを忘れがちな気がします。


私的に、働くことは、究極言ってしまえば「責任を担うこと」です。その「責任を担った度」を評価する方法は、時間・クオリティ・コミュニケーションの取り方・人柄や素質・向き合う姿勢などなど、多岐にわたるはずです。

つまり、
合意したことをやり遂げる意志とそのための最低限のスキルは必要だと思いますが、そこに付する価値がクオリティの高さであるべきかどうかはわからないし、
逆に、デザイナーだからと言ってクオリティだけで勝負する必要もないと思っている、ということです。GODI○Aのチョコも良いし、手作りチョコも良いし、そもそもチョコじゃない形で伝えても良いじゃないですか(?)。


むしろ、デザイナーも1人の人間なのに、表面的なクオリティやスキルの良し悪しでしか判断しない人は、たとえ仕事関係だとしてもう〜んって感じです…。多分逆の考え方のデザイナーさんもいると思うのですけど、私は今のところそういうタイプです。


もちろん、大前提として、スキルを磨いていくことやその時点での最大限のクオリティを追求することは必要だと思います。それが専門みたいなところありますし、クオリティが低いよりは高い方が良いに決まっています。

でも、「スキルが低い→お金を受け取るに値しない」というのは、必ずしもそうではないんじゃないって言いたいんです。

ましてや、経験値とスキル・クオリティが比例するわけでもないのですから、「デザイン勉強し始めて間もないから…」とか「あんまり経験がないから…」というのは、そこまで気にしなくて良いと思います(特に2,3年生)。
あくまで(自分と)相手の見方で判断すべきで、世間一般的に考えてクオリティが高いかどうかは、重要でないのかもしれないなということです。


逆に、そこに自信がないのなら、他の視点で自分にどんなことができるのかを考えて、それが相手にとって価値になるかを聞いた方が、「経験も自信もないのでお金は大丈夫です」より、よっぽどポジティブな関係ではないでしょうか。


相手がためらいなくお金を払ってくれると言うのなら、できる限りの方法でその気持ちに応え、達成感とともに受け取るべきだと思います。私はそうありたいです。



2. 逆に、報酬ナシ案件どうしよう問題


ここまで、お金を受け取ることについて、私の考え方をお話してきました。

今度は逆に、何らかの理由でお金をもらえない、あるいは自分的に十分な金額をもらえないというケースについて書いてみたいと思います。


お金が十分にもらえない場合、多くは以下のいずれかが理由ではないでしょうか。

①相手の資金不足
②相手が自分と知り合い
③そもそも、お金を支払うという考えが相手の頭にない

それぞれ分けて考えてみたいと思います↓



①相手の資金不足


これはもうお金がもらえないことはどうしようもないので、引き受けるか引き受けないか、引き受けるならどういうスタンスで引き受けるか、というところが問題です。


正直難しい線引きだとは思うのですが、私の場合、自分が担うであろう責任に対して、お金以外の形で十分な対価を受け取れるかどうかで決めたいと考えています。


先ほどからお金を責任の対価として話を進めてきたので、「え?」となる方もいらっしゃるかもしれないのですが、私はあくまでお金が絶対的なものと捉えているわけではなく、対価のあり方もいろいろだと思っています。

例えば、デザイン以外のことを学べる環境であるとか、自分のデザインにプロからフィードバックをもらえるとか、相手が良い人たちで自発的に関わりたいと思えるとか。

お金が適切に支払われなくとも、自分が不利になることなく、お互いに気持ちの良い関係を築けるのであれば、アリだと思います。



ただ、もとから特に信頼を置いているわけではない人の場合、「お金をもらわないにも関わらずどうして引き受けるのか」ということを話しておいた方が、より安全なんじゃないかなとは思っています。その方が相手もやりやすいのかなと思ったり…?


一番怖いのは、②や③にも関連しますが、「お金を払わなくても、学生にならデザインしてもらえる」という軽んじるような認識が生まれることです。そうならないためにも、念の為伝えておいた方が良いんじゃないかなと思っています。



また、逆に、お金以外の対価が大して見つけられないのにも関わらず、スキルや経験値に対する自信の無さなどから「経験になるので」と引き受けるのは、とても危険だと思います。



②相手が自分と知り合い


①の話に関連しますが、対価を受け取れる見込みあるいはこれまでに受け取ってきた(=恩的な)と思えて、自分的に納得できる内容であれば良いのかなと思っています。

ただ、友達だからといって「タダでやってもらえるのが当たり前」みたいな雰囲気で依頼が来ることもあります。(デザイン案件に限らず、アートやハンドメイド作品を制作している人も結構あるんじゃないかなと。)

自戒も込めて言うのですが、この場合、絶対にちゃんとお金の話をした方が良いと思います…自分の作るものにプライドを持つという意味でも。


真剣に話してもわかってくれない場合は、私は断り(たいと思ってい)ます。



③そもそも、お金を支払うという考えが相手の頭にない


超難しい問題だと思います。

まず、これはデザインを依頼する側の方にお伝えしてみたいのですが、
小学校の時に上手い子に自由帳に絵を描いてもらうのと、サークルのフライヤーを学生デザイナーに頼むのとでは訳が違うと思います。
「芸専(美大生)だしやってよ!」で済まされる話では、おそらくありません。

もしかするとそんな軽々しく頼んでいるつもりはないのかもしれませんが、こちらの感覚的には同じです。


やっぱり、特にきちんとした理由なく完全無償でやるというのは、社会人デザイナーがフィーをもらって仕事をしていることに対しておかしいのでは、と思います。

医師や教師などは決まった条件を満たす人だけが名乗ることを許される肩書きですが、デザイナーは名乗った者勝ちなので、学生デザイナーと社会人デザイナーの隔てが肩書き上ありません。
つまり、「学生だから」お金をもらわないというのは変な話で、社会人がもらっているなら学生だってもらう権利はあるし、もらうかどうかの基準は社会人か学生かということではなく、個人対個人(組織)の裁量になるはずだと思っています。


もし、サークルのフライヤーを社会人デザイナーに頼むとしたらお金を支払うのに、学生デザイナーに頼むとしたら支払わないと言うのなら、「あ〜舐められてるんだな」と正直思ってしまいます。その、失礼です…。


できれば、(お金かどうかに関わらず)対価を払いたいと思うようなデザイナーに依頼してもらえると、プロセスとしても結果としても良いものになるんじゃないかなと思います。デザイナーとしても、自分を「選んで」くれるのは超嬉しいです。

人脈なども含めて難しいことかもしれないのですが、せめて、普段どんな作品を作っている人なのかはちゃんと見てほしいです。


一方、学生デザイナー側はどうすべきなのかということですが、ただ「害悪案件だ!」と拒んだり離れたりするのではなくて、一旦話してみるというのは心がけています。
なぜかというと、そもそもデザイナー側の立場に立ったことのない人が、最初からこちらの事情や理屈を理解しているというのは難しすぎると思うからです。悪気がないのを一発で切り捨てるのは、さすがにフェアじゃないなと…。

もしお金を払うことを考えていない人が依頼をしてきたら、なかなか勇気がいるのですが前述したようなことをお伝えし、それでも態度が変わらないようであれば、私はお断りするようにしています。自分と周りのためです…。



おわりに


長々と書いて参りましたが、やっぱりお金の話は難しいなと、改めて感じました。

私が高校生の頃、金融関係の仕事をしている父が、「お金は支援と賛同と責任の象徴だ」みたいなことをボソッと言っていたのを思い出しました。
いつもおちゃらけているので今まで気づきませんでしたが、意外と良いこと言っていたらしいです。(笑)

また、先ほどもちらっと書きましたが、学生であっても、「デザイナー」と言う肩書きにはプライドを持つべきで、他の評価基準に甘んじてスキルを担保することを放棄するのは違うと思います。これは自分にも銘じておきたい…。


私が書いたことはあくまで現時点での私の考え方であって、皆さんにそれがフィットするかどうかはわかりませんが、これからデザインのお仕事とか色々してみたいな〜と思っている学生の方にとって何か参考になっていたら嬉しいです。

本当に、「自分のお仕事は自分で決めるべし!」と痛感しております…。
「受ける」のではなく「参加する」つもりで。私も頑張ります!

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