見出し画像

#2初めましてモアフル

人けのない
真っ暗な商店街の先に、
煌々と軒先を照らす
真っ白で殺風景なガラス張りのお店。

これだけでなんてドラマチック。
よく小説にある、悩める人だけが行けるおでん屋台や狐のコンビニ、マンガだけど深夜食堂なんかを見つけてしまった気分。

プレオープンと書かれた看板にはコーヒーとカフェラテとバナナスムージーぐらいしかない。
店内には人が2人。
入るか、入らないか。


思い返せばこの日は散々な一日。
怖い先輩とチェロデュオの初合わせだったが、コミュ障と緊張が練習不足とマッチして最悪の空気だったし、
地下駐車場で自転車が見つからなくてボロボロ泣いたし、
15分探して見つけた自転車でやっとこさ行ったバイトでいつもしないようなミス連発して怒られるし、
寒いし。
何やってもうまくいかない。

原因はある。
前日から読み始めた三島由紀夫の「金閣寺」
有名だからと気軽に開いてはいけない。
あまりの陰鬱な主人公の語りに当てられて、一気にネガティブを発症する。「コンビニ人間」の比じゃない。
なんだか自分まで絶望的な気持ちにさせられるし、つられてひがみっぽくなりそう。
実際、実生活に影響が出ているのだから手に負えない。

というわけで、疲弊した心を癒やすべく奉還町商店街の初探検がはじまった。。。



つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?