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整える

数年前から東洋医学に関心がある。
いわゆる漢方。
症状を直接叩いて治す西洋医学に対し、東洋医学では心身のバランスを整えることで症状を改善していく。
だから、時間がかかったり効果テキメン!とはなりづらいらしい。

本当にこれはなんとなく、個人的な感覚だけれど、わたしは東洋医学の考え方がすきなのだ。
自分の持って生まれた力を信じて、崩れたバランスを丁寧に直していくというその手間をかける心がすきだ。

ここ1年くらい、月経前症候群いわるPMSに悩まされている。
もっと前から症状はあったのかもしれない。そもそもPMSがあると認識するためには、自身の体調の変化に気を配ることが必要だ。
けれど、学生の頃のわたしは体調不良なんてなんのその。寝不足で頭がぼんやりしても、少しくらいだるくても、お腹がいたくなっても、その場しのぎで過ごしていた。


今に思えば、深夜まで(下手したら明け方まで)起きていたり、甘いお菓子をたくさん食べたり、ダイエットするぞと意気込んで栄養を取らずに過ごしたり。体にひどいことをたくさんしてきた。
その叫びは確実に上がっていたはずなのに無視して、無視できなくなってようやく薬を飲んで凌いでを繰り返す日々。

今の仕事に転職が決まったのは20代半ば。新たな職場で働くまでに与えられたモラトリアム期間で、わたしはそんな毎日に嫌気がさしていることにようやく気づいたのだった。

早寝早起きから、わたしの改善はスタートした。
まず、朝日を浴びる心地よさを知った。
運動して汗を流す心地よさを知った。
ときめくものだけに囲まれる生活の心地よさを知った。
腹八分目くらいの量で、滋養がありおいしい食事を摂る心地よさを知った。

そして今、31歳。
30代になってようやく、わたしは周りの人の声ではなく、自分の体と心の声を聞く大切さを知った。
そこで見えてきたのがPMS。
自分なりに改善も試みてきたが、目に見えた変化が見られないため、今日は遂に東洋医学の力を借りるべく病院へ行ってきた。

病院では月経症状のほかに、仕事のことや悩みについても聞かれた。
とても温和な先生で、話を聴いてもらっただけで心がほんわり温まる。
プライベートな内容なので、相手によっては抵抗がありそうなものなのに、するすると話すことができた。
それどころか、自分では意識していなかった身体の不調までもが口をついて出たときには「へぇ、そうだったのか」と自分でもびっくりした。
さすがプロ。

整えることは、とても楽しい。
暮らしを整え、身体を整え、心を整える。
小さな小さなことの連続だけど、それが積もっていくとまるで自分が清らかな生き物になっていくようだ。
だから、生まれたての赤ちゃんと同じくらい、丁寧に年を重ねたお年寄りは佇まいが清らかで澄んで見えるのかもしれない。

来月から、仕事が忙しくなりそうだけれど、整える意識をほんの一握り保って暮らしていきたいな。


2020.10.10   shiori   

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