別れは、寄せては返す波のように。
「喪失感」は、誰か大切な人と別れた直後にやってくるものだと思っていた。
恋人と別れたとき、家族を亡くしたとき、友人が遠くへ行ってしまったとき。その直後に別れを惜しみ、ひとりになったときにまた余韻に浸る。思い出の品を眺め、懐かしみ、場合にはそんな湿っぽい自分を叱咤激励して物を捨てたり、整理し直したりする。
決められた儀式や工程を経て、心の中で別れを告げる。この工程は、喪の仕事とも言われている。
ただ、心の中で別れを告げるのはそう簡単で分かりやすいものでもない。
実際