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要約 『親業 ~子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方~』 著者 トマス・ゴードン

いまや私は「子どもは青年期に親に反逆しない」と考えるようになった。ただ、彼らが反逆するのは、親がいたるところで使っている破壊的なしつけのやり方に対してである。 P4より

●はじめに

皆さんは、仕事の能力や、スポーツ選手の能力のように、「親としての能力」というものを考えたことがありますか?名声や学歴がすごければ、親としても、すごいのでしょうか?それとも、優しくて子供好きな人なら、すでに「良い親」でしょうか?

本書は「子どもをどう育てるか」ではなく、「親自身をどう訓練してプロの親にするか」という焦点で子育てを論じ、世界的ロングセラーになった本です。

本書の論旨は3つ、
①     誰でも親にはなれるが「よい親」になるのは難しい
②     親は聞く力を鍛え、一人の人として子どもと対等な関係を築こう、
③     親稼業は仕事と考えて訓練しよう
です。

「良い親」とは子を一人の人間として尊重し、子も親を一人の人間として尊重できるような親と言います。そして「親業」の鍵は、その関係を作れるコミュニケーションを実践することです。

詳しく紹介していきましょう。

●本文要約

1.親業を見直そう:「子育て」は過小評価されている

あらためて子育てとは何でしょうか?本書では、
「非常に困難で粘り強さと長期戦略を必要とする、およそ人間の仕事のなかでもっとも難しい仕事」
と言っています。
それは組織の仕事でたとえれば、20年間、ほとんどマネタイズしないロングプロジェクトです。もし、会社なら、担当者は必要な研修を受け、チームの割り当てがあり、前任者と進捗や課題の引継ぎを行ってから、その仕事に当たります。ですが、実際、私たちほとんどの親は、特別な訓練や引継ぎを受けることはなく、子どもが生まれた瞬間から子育てを始めます。

もちろん、大抵の近代国家なら幼児向けの医療プログラムや義務教育システムがあります。また、家族以外の親族や地域社会がお世話してくれたりと、そういった複合的な教育インフラが機能していました。
また、各メディアからの断片的情報や親同士の情報交換で知識を補うこともできました。そのため、(特に日本では子育ての参加率の少ない男性の中に)「子どもは育って当たり前」という子育てや親の仕事への過小評価が根強く残っています。

しかし、時代の変化で、それらの教育インフラを作っていた1つ1つが分断され、劣化し、どんどん機能しなくなっています。
その結果、子どもを安全に育てるという環境は保てているものの、現代の子育ては親密な親子関係のもとで行われるようになり、負担が全て親の肩にかかるようになっています。このことは、何らかの事情で親の力が落ちたり、親子関係が悪化すれば、子育てが一気に劣化することを意味します。

また、社会の変化が早まり、教育自体が「子どもに教える教育」から「子どもが学ぶのを助ける教育」への大きな曲がり角を迎えていますが、公教育がその変化に追い付いていないため、その個別対応も親が負担しなければなりません。

今、私たちは子育てへの評価を改め、親業を独立した仕事として取り上げ、「親業の支援」に真剣に向き合う必要が生まれています。

2.親も一人の人間であることを思い出そう

本書では最初に「親業」と向き合う心構えと考え方を説いています。まず、「親業」を独立した仕事として取り上げること、そして、その仕事を上手に果たすために必要な能力を定めること、そしてその能力をつける訓練をほどこすという考え方を持つことだと言います。

そして、親業のファーストステップは「親自身が一人の人間に戻ること」と言います。親業のよくある失敗は、親が子どもと人間同士関係を構築せず、その結果起こる「子どもとの食い違い」です。その原因は親も一人の人間であることを忘れ、権威的になり過ぎることにある、と本書は言います。

親もかつては子どもでした。そして、成長した今でも、失敗だってする一人の人間です。しかし、それが子どもを持つといきなり親になり、なぜか一人の人間である感覚は吹き飛び、親であることを意識しすぎて、権威的になってしまいます。すると、親は自分自身の人間性と権威性の間で葛藤してしまい、ほとんどの場合、立場の弱い子どもを抑圧する行動に出てしまいます。この失敗を避けるために、親以前の人間に戻ろう、と本書は主張しています。

3. 能動的な聞き方で子どもの心の扉を開く

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