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要約『0~4歳 わが子の発達に合わせた1日30分間「語りかけ」育児』 著者 サリー・ウォード 前編

●ベストフレーズ

独自に検証した結果、「語りかけ育児」法は、ことばの遅れという問題を防ぐために開発されたにもかかわらず、すべてのこどもの発達をうながすために役に立つということが明らかになりました。 15ページより

●はじめに

今日の本は、イギリスの言語治療士サリー・ウォード氏の『0~4歳 わが子の発達に合わせた1日30分間「語りかけ」育児』です。

本書は、子どもの言語発達に効果があるとされる「語りかけ育児」の実践方法を説明した書籍です。

1.「3000万語」の格差

調査によれば、社会経済的に成功していた子どもとそうでない子どもの間では、幼少期の言語数に「3000万語」の差異があるとされています。しかし、子どもの言語運用能力には個人差があり、遺伝と環境が関係しています。

「語りかけ育児」は、先天性の障害や後天的な疾患等によるコミュニケーション障害を対象とする言語治療士によって生まれた言語発達を促進する方法です。この方法を10ヶ月児のグループで比較調査をおこない、さらに3歳児・7歳児時点での追跡調査を行った結果、「語りかけ育児」法は、すべての子どもの発達に効果があることが分かりました。

この方法が目指すのは、学習のための基礎づくりであり、言葉の理解・運用だけでなく、聞くこと・注意を向けること、遊びも含まれます。著者は、1日30分、静かな部屋で子どもとコミュニケーションをすることを勧めています。その時に子どもに対して一方的に言葉のシャワーを浴びせるのではなく、発達段階に応じた適切な「語りかけ」方をすることが重要だとしています。生後一年未満の子どもには、単語を言わせることを期待する質問は逆効果であり、注意を引いたり、反応を伺ったりするための質問が効果的だとしています。

子どもは、基本的に4歳までに言葉を獲得し、集団保育にも参加していけるようになります。この時期までに「語りかけ育児」を行うことで、言語能力や聴く力、注意力の発達を助け、子ども自身もその後の集団生活を楽しめるようになります。この方法は、発達やコミュニケーションに障害がある子どもを対象に開発された手法ですが、それ以外の子どもにも十分な効果があることが分かっています。

ちなみに、著者は「言語治療士」です。言語治療士は、言語障害を対象とする専門家資格の一つです。言語障害に関する資格は、国によって担当する領域が異なりますが、著者の出身国のイギリスでは、話し言葉・言語と聴覚障害とで専門が分かれており、言語治療士は前者に対する資格です(著者はのちに聴覚障害の資格も取得)。
日本では、双方の領域を専門とする言語聴覚士が専門資格として存在します。近年、学校等教育機関にも言語聴覚士が在籍するようになってはきましたが、多くは医療機関や介護施設で成人のリハビリテーションを担当しています。子ども向けの言語発達支援が得にくいわが国にとって、この点でも本書は貴重だといえるでしょう。

2.0~満3ヶ月の子どもの特徴

赤ちゃんの発達について知れば知るほど、赤ちゃんをかわいく思えるようになるでしょう。〔…〕新生児はまったく無力な状態で生まれ、まわりの人にすべてを頼っていますが、それでもまわりの人といろいろなやり方でかかわることができます。人生の出発点から、赤ちゃんは人が大好きで、すぐにコミュニケーションをしようとします。 p. 24

赤ちゃんは、生まれた直後から大人の振舞いに興味を持ちます。周囲の音に耳を傾けたり、近くにいる人の顔を見ることが大好きです。音が持つ意味についてはまだ分かりませんが、いつも聴こえてくる音や顔に愛着を覚えるようになります。
生後6週くらいからは、周囲の刺激に合わせて微笑むようになります。また、空腹時には特定の音を出して注意を引くことができるようになります。男の人と女の人の声の区別もできるようになります。
2ヶ月を経つくらいからは、特に母親に対する発声が増えてきます。また、音に対する興味も増し、周囲の雑音の発生源に目を向けたり、自分で唇や舌を動かして色々な音を出して遊ぶようになります。人が見ている方向に注意を向けることができるようになるのもこの時期です。

3.0~満3ヶ月の子どもへの適切な「語りかけ」方

「語りかけ育児」全体を通して何より大切なのは、赤ちゃんとだけいる時間を1日に30分とることです。その時間は一対一でお互いに完全に集中するようにします。この時間は赤ちゃんに計り知れない恵みをもたらすのです。〔…〕生後満3か月までは、わざわざ時間をつくらなくても、授乳やおむつ替えの時間を長めにとればいいでしょう。 p. 37

以後の発達にも言えることですが、「語りかけ」をする際は静かな環境を設けることが重要です。

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