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要約 『バカロレアの哲学 「思考の型」で自ら考え、書く』 著者 坂本尚志

●ベストフレーズ

「思考の型」は哲学するためだけに役に立つのではありません。日常生活や仕事のいろいろな局面で、「思考の型」を使い、自分の考えを表現したり、相手の考えを理解したりすることができます。 184ページより

●はじめに

本日の一冊は、哲学博士でフランス思想史の専門家・坂本尚志氏の『バカロレアの哲学 「思考の型」で自ら考え、書く』です。

フランスの高校で行っている哲学教育のポイント「思考の型」について紹介しています。
この本を読めば、哲学的な問題に対しどのように議論を展開するか、という思考のプロセスがわかります。

「思考の型」は、哲学を学ぶ方はもちろん、自分の考えをまとめるのが苦手な方も参考になるでしょう。

●本文要約

1.「労働はわれわれをより人間的にするのか?」

こんなむずかしい哲学の問題が、フランスの高校生が卒業時に受ける試験「バカロレア試験」で出されています。なぜこんな問題を解くことができるのか?それは「思考の型」を使っているからです。

難しい哲学の問題には「答え方」があります。この「答え方」のことを「思考の型」といいます。「思考の型」を身につけることで、さまざまな意見を表現することができるようになります。
フランスの高校生が哲学を学ぶ理由は、この「思考の型」を身につけ、いろんな意見を理解し、表現することができる「市民」を育てるためなのです。

フランスの高校生が卒業時に受ける試験「バカロレア試験」では、毎年哲学の問題が出されています。またフランスでは、哲学は高校3年生の必須科目でもあります。フランスの哲学教育は、知識や学問としての哲学を習得するための教育ではありません。与えられた問題を分析し、決まった構成にしたがって文章にする「思考の型」を学ぶのが、フランスの哲学なのです。

この本は、「思考の型」とは何か、どのようにバカロレア試験の哲学試験を解いていくのかを解説しています。また「思考の型」を日常生活で活用するための方法も紹介しています。この本を読めば、「思考の型」をつかった物事の見方や考え方、意見を表現する方法がわかります!

2.哲学は、フランス人にとって難しい学問である。

「思考の型」とは、導入・展開・結論からなる文章の「型」を学ぶことで、自分の考えを表現する方法のことです。フランスの哲学試験では、「思考の型」にもとづいて文章が構成されているかを評価します。

哲学の問題の解き方には手順があります。
①問題の選択
②問題の分析…テーマを見分ける→問題の形を見分ける→言葉を定義する→「はい」「いいえ」で答える→問題を問いの集まりに変換する
③構成案をつくる
④小論文を書く"

フランスの哲学教育でよく扱われるテーマが労働、自由、正義です。テーマごとに授業することもありますが、いくつかのテーマを横断して考える授業もあります。テーマの中で展開される議論をこまかく見ていくことで、哲学的な議論の方法や表現のしかたを学んでいます。

「思考の型」は哲学だけではなく、日常生活や仕事でも活用することができます。普段抱えている問題も、バカロレア哲学試験のような問題の形に加工することができれば、その答え方が決まり、解決に近づくことができるからです。
しかし、「思考の型」は万能ではなく、「なぜ」「どのように」といった問題には答えにくいのです。しかし「思考の型」を使って問題をいくつかの問いに分解することで、解き方が見えてきます。複雑な問題も、「思考の型」を知っていれば、何度でも考え直すことができるのです。


3.フランスの高校生は「思考の型」を習得するために哲学を学ぶ

バカロレアの哲学試験は一年間の学習の成果を評価するものであり、問に対する当意即妙の受け答えや、文才を試すものではありません。解答の仕方も厳密に決められています。それは特にディセルタシオンの解法にはっきり見ることができます。そのディセルタシオンの解法こそが、この本で「思考の型」と呼ぶものなのです。 34ページより

フランスの高校卒業試験「バカロレア試験」の中でも、特に「哲学」の試験は毎年注目を集めています。
哲学試験では
・議論するとは、暴力を断念することか?
・われわれは未来に責任を負っているか?
といった、一見とりつくしまもない問題が出されます。
しかし、

続きは以下リンクからお読みいただけます。(残り7100文字)

4.「思考の型」とは、形式にしたがって意見を表現する方法のこと
5.「思考の型」には手順がある
6.バカロレア哲学試験で出された問題を「思考の型」を使って解く方法
7.哲学教育の目的は「市民」を育てること
8.「市民」になるためには「教養」が必要
9.「思考の型」は民主主義における意思決定のプロセスそのもの
10.「思考の型」を応用して、日常生活で「問いを立てる」ことができる
11.「思考の型」を使って、「なぜ」「どのように」の問いに答える
12.「思考の型」を学ぶことは、「答えが出ないこと」を恐れないこと

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