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要約 『レンジ 知識の「幅」が最強の武器になる』 著者 デイビッド・エプスタイン

技術イノベーションからコミック本までさまざまな領域のクリエーターを対象とした調査によると、多様な経験を持つ個人は専門家のグループよりも創造に貢献するという。もし、ある分野から別の分野に移っても、その経験が無駄になることはない。(p399-400より)

●はじめに

スポーツなら順位、学力なら成績、仕事なら専門性。
人は分かりやすいものを評価しがちです。親である私たちも、子どもがテストで良い点を取ったり、スポーツでいい順位になると安心します。

ですが、本書は現代社会では、何かに特化した専門家よりも、知識と経験の幅(レンジ)がある人のほうが成功しやすいことを、様々な事例や調査結果から明らかにしています。

進路やキャリアの決定には絶対の正解はありません。しかし、複雑さを増している現代社会では早期に専門に集中しなくてもいいことを教えてくれます。
 
子どもの進路や教育方針はもちろん、キャリアに悩んでいる人など、幅広い人の参考になる本です。

●本文要約

1.専門特化が有利な分野は限られている 


タイガー・ウッズは幼少期からゴルフに特化した訓練を積んで大きな成功を収めました。近年このような早期専門教育がもてはやされていますが、多くの人にとって早期専門教育は本当に有効な戦略なのでしょうか?

 スポーツ選手、音楽家、研究者、ビジネスマンの実際の事例を比較調査した結果から、何かに特化した人が成功しやすい分野は非常に限られており、社会の多くの場面では知識や経験の幅(レンジ)がある人の方が成功しやすいことが分かっています。

 特化することが有効な戦略になるのは、ゴルフやチェスのように成功、不成功が明確で、迅速かつ正確なフィードバックが得られる「学習環境が親切」な分野に限られます。

 社会の多くの場面は、状況が複雑でルールや価値基準が日々変化していく「不親切な学習環境」なので、専門化が効果を発揮しにくい環境です。実際には様々な分野で知識、経験の幅を活かした人が成功を収めています。

2.これからの時代に適した教育の考え方

 専門特化や早期教育は限られる、ではどんな教育ならいいのか、というと、著者はこれからの教育は「好奇心」「探求心」がカギとなると言います。

 ビジネス戦略では、差別化が求められます。「何でもできる」商品やサービスよりも、機能を特化した「これが強い」という分かりやすさに価値があることが多いからです。しかし、著者は、教育については反対のことが言えると言います。専門外の領域にも好奇心を持ち、知識と訓練の「幅」を持った学習者に価値が生まれると言います。

 なぜなら、社会は日々変化していて、私たちは頻繁に未経験の状況に晒されます。新しい環境で適切な判断を下すためには知識や経験の幅(レンジ)が重要です。画期的な発見をした科学者や成功を収めたビジネスマンにはそのような幅がある、と言います。

 さらに、21世紀は「高齢化」「人口増加」「資源不足」など、人類が初めて遭遇する問題に直面します。技術革新も早く、知識の陳腐化も早まります。素早く成功パターンを抜け出し、未知の問題に自由な思考で対応するには、「レンジ」が強い武器になるのです。

3.「レンジ」は臨機応変な応用力を育てる

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