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社会性を学ぶ場所? 英国ボーディングスクールでの一日

奨学金をいただき、イギリスはスコットランドの寮制高校に転学して早三ヶ月。ここでの生活にも慣れてきたので、私の日常をまとめてみようと思います。

高校の授業

イギリスの初等教育は6歳になる年から始まるので、高校3年生は13年生になります。私は12年生に入りました。
日本に比べると、イギリスでの勉強はすごく楽です。アジア圏って勉強しすぎ(そして欧米はしなさすぎ)なんじゃないかな〜と思います。
大変なIBはともかく私がやっているA-levelのカリキュラムは3-4科目だけを集中的に勉強するもので、単純に科目数が日本にいる時の1/4くらいに減ったため学校がほぼ毎日13:00か13:30に終わります。空きコマという、幻だと思っていたものを手にしました。

40分授業→5分休憩
4ヶ月前、日本にいた頃の予定表。この後に3時間部活もするんだから、日本の高校生ってすごいよ。

加えて、勉強内容はそこまで難しくないです。日本と扱う範囲はやや違いますが (例えば生物ではリン脂質の化学構造を覚えたり、表面張力・高い比熱などの水の性質を習ったり)全ての科目において、標準問題レベルまでの深さをやる感じです。日本みたいに無限に問題を難しくされることがないので何をやればいいのか明確に分かり、だいぶ安心します。

困る点を一つ挙げるとすれば、「休めない」ということです。授業中や休み時間に疲れていたら顔を机に伏せることがあると思いますが、ここではそれをした瞬間に、大丈夫?と聞かれます。休憩しているだけ、と説明すると訝しい顔で納得はしてもらえるのですが、とにかく日中に休むという文化がないです。疲れても背筋を伸ばして耐えるしかない!
また、イギリスでも公立の学校は日本のように生徒が毎授業30-40人いるそうですが、ボーディングスクールは6-10人しかいない超少人数制です。先生と会話しながら授業をする感じです。

あと、マナーを教わることもあります。授業に遅れてコソコソと教室に入ろうとした子がいた時に、先生がその子を止めてこんなことを伝えていました。
"Don't slouch your backs and try to hide! Knock on the door, and make your presence clear; say 'Sorry sir, I was late'.
When I let you in, you may take a seat.”
(屈んで隠れようとせず、ドアをノックして、自分の存在を示しなさい。
そこから謝って、入ることが許されたら堂々と座りなさい。)

部屋の入り方なんて受験の面接以外のシーンで考えたことがなかったので、勉強になるなーと思った瞬間でした。

寮生活

建物
私の学校は1870年からあり、元々は男子校だったので女子寮は後から建てられたものが多いです。特に私の寮は学校で一番新しく、2013年に建設されました。
そのおかげでとにかく暖房の効きが良いです。良すぎるくらいに。スコットランドの冬なのに、寮では暑すぎてTシャツ短パンで過ごしています(外気温1-2℃)。 

私の寮
長所: きれい 暖かい
短所: 敷地の端 やや遠い

私の友達は設立当初からあるメインビルディングの寮に住んでいるので、夜に寒くて目が覚めることがあるそうです。

メインビルディング。1-2階が教室、3-5階が寮
長所: かっこいい 敷地の中心
短所: 激寒い 階段多い

二人の寮母
各寮にはHouse Parentという学校で教科を担当している先生と、Matronという寮の世話人がおり、前者は事務的な面・後者は生活面でそれぞれ生徒をサポートしながら寮に住んでいます。
両方直訳すると寮母さんになってしまうので、この先は
House Parentをボス、
Matronを寮母と呼ぶことにします。

洗濯物
洗濯機、乾燥機、洗剤が置いてあるので自分でやります。ただしアイロンは(先生にもらわないと)基本的にないのでワイシャツはしわしわ…学校のサイトを見ると必ず皆上にセーターを着ていたので不思議に思っていたのですが、そういう理由なのかなと思いました。
とにかく全てを自分で洗わないときれいにならないし、洗ったら畳まないといけないし。今までやってくれていた偉大なる母のありがたみを感じます。

冷蔵庫の治安
とてもいい。一度、楽しみにしていたデザートを食べられた子が怒り狂っていた時がありましたが、大体は「うん?私のヨーグルト減ってる?」と微妙に分からない程度の被害しか受けないです。
ただし食べ物に名前を書かないと平気で寮母さんに捨てられます。私も徒歩15分のスーパーに行ってまで買ったヨーグルトが翌日に捨てられたことがあり、その時はかなり頭にきました。

噂が炎のように広がる
恋愛関係は聞かずとも耳に入ってきます。
シーツを変えていない、シャワーを浴びていない等生活面に問題がある場合も陰口を叩かれます。衛生面を保つのは自分のためというのもありますが、そういう噂の対象にならないようにというのもあります。

常に誰かが泣いている
情緒不安定な思春期なので…

美容知識が増える
この間はつけまの付け方を教えていただきました。

House Outing
最近は一週間に一回のペースで平日の夜18:00-22:00の間に寮全体でどこかに出かけます。夜ご飯を食べに行ったり(寮の予算なのでタダ)、劇を観に行ったり。今週は学校の合唱部のコンサートを市内に聞きに行きます。

総勢60人以上で大移動(笑)
見に行ったミュージカル

ちなみに寮はHouse、それぞれの部屋のことをDormと呼びます。
Dormはあまり使わない言葉です。

毎日お泊まり会
「なわけ笑」と思っていましたが本当にそうです。深夜に共有スペースに集まって映画鑑賞会をしたり、大きい机を囲って勉強したり。
一ヶ月に一回くらいのペースであるのが"Midnight Interview"というもので、就寝中に部屋に押しかけられて変な質問をされ、寝ぼけておかしい回答をする様子を撮影されます。面白いのが上下関係なく、12年生が8年生に対してやったり、9年生が12年生に仕掛けたりすることです。寮全体の仲が良いです。

映画Baywatch
インタビュー被害に遭う私

1日のルーティーン

7:00 ベルがなるそうです。私は寝過ごすのでわからないです。ここでほとんどの人は起きます。
ちなみにベルはプログラム化されていると思いきや手動なので、寮一番の下級生(9年生: 中2)達がシフト制でボタンを押しています。担当の子が寝坊して7時半までベルが鳴らず、上級生が起きれなかったと文句を言っているのは日常茶飯事です。
他の人はここから準備をして食堂に朝食のため行きます。

7:30-7:50 私起床。アラームはかけない派なので時間は日によります。
8:05 点呼 ボスから連絡事項

8:25  全校チャペル 讃美歌、牧師さんのお話、スポーツの表彰。
教会がとにかく狭くて(普通に座っても膝が前のベンチに当たる)単刀直入にいうと嫌いなので、この時間はこっそりチャペルに行かず生物の先生の教室に逃げ込んでいます(迎え入れてくれるクールな先生です)。大体CNN10という中高生のための10分ニュースを見ながら、急いでカバンに詰めた朝ごはんのグラノーラバーを食べ、メールの整理・Duolingo・その他自習をして過ごしています。

8:50-11:00 授業

11:00-11:30 スナックタイムという名の謎の休憩があり、寮に戻るとベーグルが出てきます。どうしても朝ごはんが足りずお腹が空いている時は帰って食べますが、健康と寮の遠さ(徒歩7分)を考えて、最近は図書館で友達のエルサという香港人の子とボードゲームをしています。

Checkers。エルサが強くて未だに勝てません。

11:30-13:00 (13:30) 授業
-14:00 昼食 ぺちゃくちゃ喋りまくる。

(火木金の場合)
14:30-15:30 体育 私は今学期女子サッカーを選んでいます。集まって最初にやることがお互いの恋愛事情報告なので楽しいです。この間はキャプテンが"今週末ボーイフレンドの親と会うんだけど手土産は何がいい?"と先生に相談していました
-17:15 外出可能 ここで欲しい食糧をスーパーに買いに行きます。17:15に点呼があるのでそれまでには寮に帰っていないとまずいですが、間に合わなくても点呼をするのが私の学年なので、部活や外部のボランティアがあると同級生に伝えておけば誤魔化せます。

(月水金の場合)
-17:00 日によります。エルサと全力集中で勉強する時もあれば、
ホワイトボードにお互いの言語を書いて教えあったり、

先生の教室のデコレーションを手伝ったり、
生徒会がメンタルヘルス向上のために特設したZorb ballというもので遊んだり、
(エルサははしゃぎすぎてメガネを破壊していた)
学校のソーシャルメディアの撮影を手伝ったり、

と色んなイベントが毎日盛りだくさんです。

17:30- 演劇の練習、食堂で夜ご飯。今年はロシア革命を描いたAnimal Farmを8-13年生の有志約40人でやっています。私は羊役で、白の衣装が可愛いので中々気に入っています。

19:00- 点呼からの部屋で自習時間。12年生はシフト制で8年生、9年生の自習を図書館で監視します。

21:00- 自習終了 点呼からのおやつタイム 敷地内外出可能
野菜スティックやチーズボード、ケーキやクッキーが出ることがあります。健康のことを考えて食べるのは我慢しようとしていますが、結局美味しそうなので食べちゃいます。


その後、部屋に戻ってリラックスします。
徒歩1分のところにジムがあるため、この時間に筋トレをしに行く生徒も多いです(学校が運営、一般の方も利用可能。生徒は無料で使用できる)。良い感じの相手がいる子は、デート(という名の散歩)に出かけています。ボーイフレンドが迎えに来る様子を皆で窓から見守ります。

22:00 スマホ提出 ベッドロック
私の寮では、12年生はスマホ、下級生はパソコンも含むすべての電子機器を夜に提出しなければいけません。男子寮では、12年生もパソコンを提出する必要があるようで、ボスの方針によると思います。
公になったら困ることはお互いあまり話さないため、他の人の事情は分かりませんが、私は手帳型のケースに適切なおもり(以前使用していたiPod touch)を入れて提出しています。中身までは確認されないので大丈夫です✨

ベッドロックは、チューターの先生と当番の同級生がすべての部屋を回り、皆が寮に戻っているか確認する時間です。ただの生存確認なので、ベッドに入って寝ている必要はありません。早い先生だと、部屋の扉を開けて「Goodnight!」と叫ぶ3秒間で終わりますが、遅い先生だとそれぞれの生徒と話し込んでしまうため、中々自分の部屋に来ないし、時間がかかります。 ベッドロックが終わったら、部屋にいなくても特に問題はないので、洗濯物を回したり、終わっていない作業を続けたりして、寝る体制に入ります。

12:00-1:00 就寝 この時間に寝ても7時間睡眠が取れるなんて、最高です。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
とはいえ、ここでは書ききれなかった多くのハプニングがあるため、次の記事でそれをまとめたいと思います。
ではまた〜!👋

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