見出し画像

【エッセイ】快楽と禁欲(1179文字)

※もっともらしいタイトルを付けましたが、エピクロス派とかストア派とかそういったお話とは全く関係ございません。

さて、久々にnoteを開いて何を書こうかな~と考え、ふと思いついたこちらのテーマ。今回ゆるーく主張したいのはたったひとつ。どん!

快楽と禁欲は敵じゃない。マブダチだ!!!!

快楽と禁欲、それらは文字通りとらえれば相反するものですが、禁欲(我慢)の末に真の快楽が待っているというのは周知の事実でしょう。

人間の三大欲求を例にとってみても、

「断食後の味噌汁が体に沁みわたって天にも昇る気持ちだ」
「徹夜明けに貪る惰眠は最高!」
「焦らされたあとの刺激はなんて気持ちいいの……」

といったように、禁欲からの解放というムーブによってはじめて【快楽:気持ち良い・心地よいという感情】は完成するように思われます。

しかし、そうと分かっていてもなかなか真の快楽にたどり着けないのもまた事実。それは一体なぜでしょう。

その原因は質の良い禁欲の難しさにある、と私は思います。

先ほどの例で再度考えてみますと、

「水分以外とれないなんて辛すぎる……お腹すいた」
「眠い眠いねむーい!!!!!もう頭が回らないよ」
「んん~そこちゃうんよなあ。もう!!焦らしというよりただただじれったいわ!!」

といったように、禁欲の時点でストレスが爆発してしまうケースもちらほら。

上記の例を鑑みるに、質の良い禁欲のためには以下を満たす必要がありそうです。

・我慢する期間が長すぎないこと
・自分でコントロール可能なこと

そんな都合のいいものってあるんでしょうか……

はい、あるんです。その名もサウナ。

近年、老若男女問わず大ブームとなっているサウナ。
ミーハーの私もその頃にころっとハマり、今ではすっかり古参の顔をして各地の銭湯をめぐってはサウナ→水風呂→外気浴をループしております。

サウナで「ととのう」というのはよく耳にしますよね。
サウナ→水風呂→休憩を3回ほどくりかえすことによるトランス状態のことを指します。

サウナと水風呂の温冷刺激によって脳内で分泌されるのが、「β-エンドルフィン」「オキシトシン」「セロトニン」の3つ。

「β-エンドルフィン」はモルヒネの数倍の鎮痛効果をもちます。「オキシトシン」はハグや性行為で分泌される通称愛情ホルモン。主に太陽光を浴びることで分泌される「セロトニン」も有名ですよね。

こんな幸せホルモン三段重ねをくらうのだから、快楽を得られるのは言うまでもありません。

しかし、ここで注目すべきは快楽に至るまでの禁欲部分。

サウナに入って約8分、しだいに身体が「暑いよ~~」と訴え始めます。
ここで水風呂に行くのもありなんですが、「暑いよ~~」が「限界!」に変わるまであと5分。ここがサウナにおける禁欲部分です。

我慢するのはたった5分!!なんて高コスパ!!
誰にも左右されず!自分の意思で!そこに居座るだけ!簡単!

5分我慢するだけで、水風呂に入った瞬間の気持ちのよさは格別なものに。
その後の外気浴では無双できます。

露天スペースの椅子に腰かけて目を閉じれば、身体と世界の境界がぼやけたような感覚に包まれます。頭がぐわんぐわんして少し怖くなりますが、恐れるなかれ。思い切りお酒を飲んだ状態でベットに倒れ込みまわる天井を見上げているときの理由のない幸福感に似ています。(しかも二日酔いはない!)

すこし落ち着いて目を開くと、周囲に対する感覚が敏感になっていることに気がつきます。青空はより鮮明に、星空はよりまばゆく映ります。特筆すべきは、物の観方が柔らかくなっていこと。壁の汚れや、整い椅子のぬめりや、子供のはしゃぎ声や、近くを通る電車の音に対する感覚が研ぎ澄まされているにも関わらず、それらに一切マイナスの感情を抱かず「Oh……世界……美しいな」という気分になれます。

ここまで書くとやや宗教じみてきますね(笑)
でも誇張しているわけではなく、サウナに行くとなぜか最終的に心の安寧に行きつくんですよね……こころやさしきにんげんになれる。

結論:快楽と禁欲は友達。

そんなふたりの絆をつなぐものはサウナ。


余談:
サウナ前にお酒はご法度です。が、
美容師さん(大のサウナ好き)が「サウナとサウナの間にビールを飲むんがいいんよ。キマる」と、危ない薬物を勧めるかの如く推してきたので試してみたところ昇天しかけました。危ない危ない……





最後まで目を通していただきありがとうございます。 スキ・フォロー・コメントなど頂けると飛んで喜びます!!