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グレーゾーンが美化される/『ロスト・イン・トランスレーション』感想
(※別作品『はじまりのうた』の内容について一部言及しています)
訪日外国人たちの悲哀を同情しつつみていたが、病院の車椅子で遊ぶシーンで「ひょえ~」となってしまった。見知らぬ土地で話し/聞き慣れた言語を喋る者同士が彼らの背景に関わらず仲良くなったり惹かれ合ったりするのはよくあることだし自分も経験があるからそれ自体はわかる、そのうえ羽目を外してしまう気持ちもよくわかる、しかし、日本で、しかも病院で、そんなことするのやめてくれ~~~~。
そして決定的に「ひょえ~」となったのが、ふたりの関係性の結末……私は映画『はじまりのうた(BEGIN AGAIN) 』が好きなんだけど、それは年齢差のある二人が最終的にくっつかないで終わったから。あれでくっついてたら(ステディな関係にならなくてもちょっとでも接触があれば)絶対好きになってなかった。そしてその選択をさらに良いものにしたのは、別れ際、見つめ合った二人の数秒の沈黙。あの「くっつくのか?くっつかんのか?」という”間”があったからこそ、結果として二人がくっつかなかったことの尊さが際立つ。ふたりの感情が確かに動いて、しかし行動には移さなかった(あるいは移せなかった)ということの尊さが。
だからだから、本作はまさにその逆をいくというか、「友情かな?恋愛かな?」とわからせないまま話を進めていって、最後いやにあっさりとしたお別れを差し込み「ああ友情だったのね」と思わせておいて、とつぜん駆けてゆくスカヨハ、嫌な予感が募り、そして、ああっ……してしまった……!
私はそもそも親子ほどの年齢差がある男女の恋愛を過度に美化する作品ってあまり好きではなく……ソフィア・コッポラ好きな女子ってそういう年齢差恋愛に過剰な憧れを抱いてそうじゃない?(偏見かしら)本作によってそれが助長されやしまいかという余計な懸念……。
しかもしかもしかも、これ浮気じゃないですか……お互いパートナーに対して思うところある、みたいなかんじではありましたが……「浮気、許されざる恋、エモッ」みたいな感情があることはもちろん知ってますけど……うーむ……。
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