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【動物園水族館訪問記】その1 盛岡市動物公園~動物福祉とこれからの動物園の在り方~

こんにちは!今回から【動物園水族館訪問記】というシリーズを始めたいと思います。ここでは私が遠征で訪れた動物園・水族館について獣舎や動物たち、更にはその園館独自の工夫・エンリッチメント等を紹介できればなと思っています。
第1回目は盛岡市動物公園。園内の雰囲気や動物たちの魅力もさることながら、掲げる理念や方針も素晴らしく、私が今一番注目している動物園の一つです。今回は簡単なレポ形式でざっくり紹介したいと思います。

1.盛岡市動物公園に行くことになったきっかけ

盛岡市動物公園に興味を持ち始めたきっかけはピューマのニーナ♀の出園でした。

ニーナ♀は2019年2月7日にアルタイル♂とベガ♀の間に生まれた第1子。生後1年を経過した頃から、親離れの時期に差し掛かっていました。ちょうどその頃、盛岡市動物公園のタフ♂がお嫁さん候補を探していたため、今回ニーナが盛岡に移動するという話になりました。

note用幼獣ニーナ

幼獣の頃からずっとみてきたニーナ。日本平を離れてしまうのは少し寂しかったですが、同時に彼女の将来が楽しみでもありました。

搬出日は新型コロナウイルスの影響で休園中だったため、お別れ会等イベントを行うことなく盛岡へ旅立ってしまったニーナ。日本平動物園公式YouTubeチャンネルでは日本平での思い出と共に搬出時の様子が投稿されています。
事故や怪我もなく無事に盛岡へ到着したニーナ。コロナの影響で動物輸送業者が園内に入れなかったため、動物園についてからは飼育スタッフ総出でピューマ舎までニーナの搬入作業を行ったそうです。

無事に盛岡へたどり着いたニーナ。しかし私は心のどこかでモヤモヤしたものが残っていました。ちゃんとしたお別れができずに盛岡へ旅立ってしまったからでしょうか…その頃から盛岡市動物公園に行きたいという気持ちが強くなっていました。

ニーナを追いかけいざ盛岡へ…!


という訳で2020年7月7日(火)&8日(水)に人生初の岩手、そして人生初の盛岡市動物公園へ訪問することになりました。

2.盛岡市動物公園のなかまたち

まずは盛岡市動物公園の園内をざっくり紹介したいと思います。

■充実した日本生態園
入口に一番近いところにあるのが日本の動物エリア。全体的に獣舎が広くて植生も充実しており、良い雰囲気のものが多かったです。他の動物園ではあまり力を入れてない印象のある日本の動物たちですが、盛岡では魅力的な子たちが多く、観察し甲斐がありました。

・ニホンアナグマ

note用アナグマ3

note用アナグマ1

note用アナグマ2

Twitterで一時期話題になったニホンアナグマ。現在は金網に登る姿をあまり見られないとのことでしたが、私が訪問した時はちょこっとだけ登る姿を見ることができました。

・ホンドギツネ

note用ホンドギツネ1

note用ホンドギツネ2

note用ホンドギツネ3

note用ホンドギツネ4

ファンの間でも「日本最強」と言われるほど植物が生い茂るホンドギツネ舎。はっさく♂、れもん♂、がんづき♂の3頭が各々自由にくつろぐ姿が観察できました。(れもんは現在「沖縄こどもの国」へ移動)

・ツキノワグマ

note用ツキノワグマ1

note用ツキノワグマ3

note用ツキノワグマ2

広さも奥行きも十分にあるツキノワグマ舎は迫力満点。姫♀、リオ♀の若い2頭が元気に走り回る姿は一見の価値あり。水辺で遊ぶ姿や土を掘り返す様子も観察することができます。

・ニホンイノシシ

note用イノシシ1

note用いのしし2

note用イノシシ3

他の動物園ではあまり話題にならないニホンイノシシですが、ここの獣舎は日本屈指の広さです。ガラスや網のない展示方法の為、彼らの息遣いや鼻を鳴らす音がよく聞こえます。柔らかい土はイノシシたちのベッドにもなり、岩と間違えられることもw

■ビクトリアの動物たち
盛岡市と姉妹都市の関係にあるカナダ・ビクトリア市にちなんだエリアです。ここではカナダカワウソやピューマ、オオツノヒツジといったカナダに生息する動物たちが飼育されています。

note用ビクトリア花壇1

note用ビクトリア花壇2

カナダカワウソ舎の近くにある記念花壇。この花壇は、ビクトリア市と姉妹都市になった記念に、また、盛岡パイロットクラブ創立10周年(1990年)を記念して、盛岡市動物公園に寄贈されたものだそうです。

参考:盛岡市動物公園ビクトリア花壇に花を植えました

note用ビクトリア掲示

動物資料館内にも姉妹都市ビクトリアのコーナーがあります。

・カナダカワウソ

note用カワウソ舎1

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note用カワウソ舎3

盛岡でも屈指の人気のカナダカワウソは横からのみならず、上から観察することも可能です。

note用カワウソ3

いつも仲良しのリッキー♂とカエデ♀。

・ピューマ

note用ピューマ舎1

note用ピューマ舎2

ピューマ舎は昔ながらの古い獣舎の印象を受けました。日本平より高さが無いですが、横幅が広いのが特徴です。

note用タフ

午前出勤のタフ♂。2018年8月14日、とべ動物園生まれの2歳。まだ若いですが、将来はニーナとの繁殖を目指します。

note用ニーナ大人

午後出勤のニーナ♀2019年2月7日、日本平動物園生まれの1歳。獣舎内ではかなり落ち着いており、盛岡の暮らしはもう慣れたかな?といった印象でした。

・オオツノヒツジ

note用オオツノ1

note用オオツノ3

こちらも姉妹都市ビクトリアにゆかりのある動物。特徴ある大きな角が魅力的なオオツノヒツジ(ビッグホーン)。意外にも飼育している動物園は少ないです。(盛岡市動物公園、金沢動物園、群馬サファリパークの3園のみ)

■アフリカエリア
園内の一番奥にあるのがアフリカエリア。アフリカゾウやシロサイなど大型の動物たちも飼育されています。

・アフリカゾウ

note用アフリカゾウ1

note用アフリカゾウ5

note用アフリカゾウ4

2002年6月13日、多摩動物公園生まれのマオ♀は園の人気者。現在人工授精による繁殖に向けたダイエット中だそうです。

note用アフリカゾウ2

note用アフリカゾウ3

室内獣舎の踊り場にある休憩スペースでは、マオが生まれてから盛岡に来園するまでの経歴が掲示されています。

・シロサイ

note用シロサイ1

note用シロサイ2

国内最高齢のサイカ♀さんは45歳と高齢ながらまだまだ元気です。

note用シロサイ4

note用シロサイ3

サイカの左腿には膿のような深い傷があります。なかなか治らない為、現在も継続的に治療中。治療の様子は公式Twitterで定期的に発信されています。少しでも長く生きてほしい限り。

・草食動物の混合飼育エリア

note用アフリカ園

note用シマウマ

note用シタツンガ

note用ダチョウ

広々とした獣舎の奥にはアフリカゾウ舎が!パノラマ展示を意識しているのでしょうか?ここではグレビーシマウマ、シタツンガ、ダチョウの3種が混合飼育されています。

他にも「こどもどうぶつえん」や「鳥類ゾーン」などのエリアがあり、かなり規模のある動物園だということが分かります。1日で回りきれないほど広いぞーーーーー

3.雨の日限定サービス

ところで、盛岡市動物公園には「雨の日限定サービス」なるものが存在します。「雨の日に行くのはちょっと…」という来園者にも動物園を楽しんでもらおうということでしょうか?偶然にも私が訪れた日の天気は雨。今回この限定イベントを体験することができたのは超ラッキーでした。

雨の日限定サービス実施の有無は事前に公式Twitterにて告知されます。ちなみに告知した後に晴れた場合も実施。

■カナダカワウソ給餌イベント
カナダカワウソにサイコロ型のフィーダーを与え、カワウソたちが採食する様子を観察できるイベントです。フィーダーの中にはマスの切り身が入っています。

note用カワウソ1

note用カワウソ2

いつもと違うエサのあげ方はカワウソたちの採食行動を刺激してくれます。エサの入ったフィーダーにリッキー♂&カエデ♀は夢中。どちらかというとカエデ♀の方が積極的に使用しているそう。

note用カワウソ木箱

このフィーダーは北里大学の実習で作製されたもので、エンリッチメント(注1)としての機能もあります。カワウソたちにとっても、来園者にとってもメリットしかないイベントですね。

注1:エンリッチメントとは「動物福祉の立場から、飼育動物の“幸福な暮らし”を実現するための具体的な方策」のこと。その中でも上記のカワウソの事例は「採食エンリッチメント」と呼ばれるものである。野生動物は一日の大半をエサ探しの時間に費やしているが、飼育下ではその時間が少ない。そのため、動物園では動物が野生本来の採食行動を発現できるよう「餌の種類を増やす・与え方を工夫する・餌の回数を増やす」などの工夫がされている。
参考:市民ZOOネットワーク「エンリッチメントってなんだろう?」

■雨の日限定「カワウソカレー」
園内にあるZOOMO食堂では、雨の日限定メニュー「カワウソカレー」が販売されます。これ見た目が本当にカワイイので是非食べてみて下さい!味も本格的絶品ですよ!

カレーに浮かぶカワウソたちのモデルはもちろんリッキー&カエデ。(しかしながらこのポーズは若干ラッコにも見える…^^;)

■ZOOMO SHOPのプレゼント
園内にあるZOOMO SHOPで¥1000以上グッズを購入すると、限定缶バッジが貰えます。

note用缶バッジ3

こちらがその限定缶バッジ。上記2つといい、とことん「カワウソづくし」のイベントですね。

note用缶バッジ1

ちなみに筆者が今回購入したグッズはこちら。オリジナル缶バッジ3種と作家とコラボしたニーナのブローチ。その園でしか購入できない商品を取り扱っているのは好感度高いし、ファン目線でも嬉しいです。他にも作家とのコラボ商品や他ではあまり見られない多種多様なグッズを取り扱っています。

これらのイベントは平日休日関係なく、「雨の日」には必ず実施されるので動物園に行く前は天気を絶対チェックしておきましょう!

■おまけ:猛暑日限定イベントについて
前日12:00時点での日本気象協会発表の予想最高気温が30℃を超えた場合に開催されるイベント。開催の有無は前日の17:30頃にSNSで発表され、アフリカゾウやツキノワグマにスイカをプレゼントするそうです。

猛暑でも楽しめるイベントの開催は嬉しいですね。

4.なかよしガイドと園の今後の方針

■なかよしガイドとは?
なかよしガイド」をご存じでしょうか?なかよしガイドは個人や家族連れの方を対象としたガイドツアーで、希望の動物や内容に沿ってオーダーメイドすることが可能です。ガイドを行っている動物園は数多くありますが、オーダーメイドで自分が聞きたいガイドを申請できるのは他園では見られない試みです。

note用なかよしガイドフォーム

「なかよしガイド」は事前予約が必要。(30分¥2500~)公式HPの申込フォームから申請することができます。(※画像は公式HPより)
詳細リンク:公式HP「飼育係となかよしガイド」
なかよしガイドの内容は動物種によって異なります。申し込み時に体験したい内容や聞きたいことについて書く欄があるので要望をあらかじめ伝えることが可能です。(全ての要望が通る訳ではないです。その際は事前に園側からの連絡あり。)
ガイド当日は入園ゲート窓口でガイド申込の旨を伝え、参加チケットを受け取る必要があり、この時に代金も支払います。(余談ですが、この時に入園チケットも同時に購入すると券売機とは異なったデザインのチケットを手に入れることが可能。)

■「なかよしガイド」でいろいろ聞いてみました

今回は「ピューマのガイド」「動物園の運営と今後の方針について」の2点を事前に申請していました。

・ピューマのガイド

note用タフごはん

ガイドの最初にエサやり体験を行いました。毎週水・日曜日に行われている「ピューマと仲良くなろう」と同じ内容です。その後飼育している2頭のピューマ(タフ♂、ニーナ♀)それぞれの経歴や性格の違いなど簡単に説明してもらった後、リニューアルに伴う獣舎改修工事の詳細について教えてもらいました。改修工事は獣舎を一から作り直す訳ではなく、既存の獣舎をリノベーションする形で行う予定だそうです。内装や獣舎の高さを大きく変えるとのことなので今後の展開に期待しています。

・動物園の運営と今後の方針について

盛岡市動物公園は今年度から運営が「盛岡市」から「株式会社もりおかパークマネジメント」に変更しました。それに伴い、民間寄りのことが可能になったそうです。ピューマの新ペア応援プロジェクト(注2)などのクラウドファンディング事業がその代表的な例です。

注2:「ピューマの新ペア応援プロジェクト」とは、タフとニーナ、2頭の繁殖飼育に伴う飼育環境や展示環境の改善、健康管理や繁殖準備のために実施されたクラウドファンディング事業。2020年4月15日から目標80万円で開始された当プロジェクトは最終的に156万9千円集まり、大成功の内に終了しました。
参考:READYFOR「ピューマの新ペア応援プロジェクト
クラウドファンディングの返礼品の一つであるオリジナル張り子。地元岩手の地域資源で作られたニーナとタフのかわいらしい張り子は一つ一つ手作り。心のこもった愛らしい作品です。

盛岡市動物公園の公式SNSでは定期的に体調不良の動物たちの治療やその後の経過報告を発信しています。これらは運営が変更された後から積極的に行われており、動物園側の方針で「どんな動物にもファンがいるから、良い事も悪い事も包み隠さず情報を発信していきたい」という思いから実施されたそうです。動物たちの大きな怪我や病気、訃報はファンとしては心苦しい内容だと思います…が、できるだけその個体の情報を知りたいというのもまたあります。場合によっては来園者から苦情や批判が飛び交う可能性もあり、かなり挑戦的な試み。私は応援しています。

園の人気者のリッキー♂は現在左目の治療中。徐々に回復傾向があるとのことで安心しました。動物の状態を経過的に報告をしてくれるのはありがたいです。

盛岡市動物公園では動物福祉に配慮した飼育を目指しています。そのため、最近は飼育しているいくつかの種・個体を他園に積極的に移動させています。個体数の減らして既存飼育している動物が使えるスペースを広くしたり、飼育員の負担を減らすことで他の動物種の動物福祉に力を入れるためだそうです。


以下、実際に盛岡市動物公園が行った事例を紹介しています。

note用古獣舎3

note用古獣舎4

アフリカゾウ舎内にあるフェネック舎。古い網状の檻に囲まれたさびれた獣舎は昔ながらの窮屈な獣舎といった印象で、正直言って少しかわいそうだと思いました。また、人との距離も近いことから、私が近づいた際に怯えた表情を見せることも…。
フェネックたちはその後いしかわ動物園に移動。脱毛(ストレスからでしょうか…?)の改善に向けた治療も行われるということで、安心しました。移動したことでフェネックたちの飼育環境が良くなることを願います。

note用古獣舎1

note用古獣舎2

同じくアフリカゾウ舎内にあるショウガラゴとヒョウモンガメ舎。ヒョウモンガメ舎は元々その動物の為に作られた獣舎ではなく、突貫工事で作られた印象でした。(後で飼育員さんに確認したところ、元々は休憩スペースの一部だったそうです。)
その後ショウガラゴとヒョウモンガメは安佐動物公園に移動。移動後の様子は安佐動物公園の公式SNSで見ることができます。近年、盛岡以外でも飼育スペースや動物福祉の観点から、飼育動物種を減らす園館が増えています。動物福祉に配慮した園にするためには今後、他園との協力がますます重要になってくるはずです。
こちらはハクビシンの例。繁殖制限をしつつ、より広いスペースで飼育できるよう、去勢手術を施したとのこと。動物の手術や治療に明確な理由が説明されており、ファン側も納得&安心できる情報発信の仕方で感心します。

近年「動物福祉」の観点で飼育する動物園が増えています。しかし「動物福祉」と方針に掲げつつ、まだまだ飼育環境が改善されていない園館が多い印象です。正直言って盛岡市動物公園もまだまだ改善する点があると思いますが、動物園側が積極的に改善しようと日々活動している印象を受けました。
また、公式SNSを用いて来園者に向けた積極的な情報発信を行っていることにも注目しています。動物園側が意識するだけでなく、来園者側にも「動物福祉」の考えが浸透しなければ動物園の存在意義がなくなると私は思っています。
今後の盛岡市動物公園の活躍に大いに期待していきたいです。

参考記事:「盛岡市動物公園ZOOMOの運営理念と今後の方針」

5.おまけ

■雨の日動物園はいいぞ
雨の日の動物園は普段とは違う雰囲気の写真が撮れるのでおすすめです。雨の日も動物園に行こうよ。

note用雨の日1

雨の日は実は絶好のシャッターチャンスが多いです。動物たちがいつもとはまた違った行動を見せてくれます。

最後に、今後盛岡市動物公園に行く予定の人に一言。

なかよしガイドは絶対予約した方がいいよ

それでは次回の投稿もお楽しみに。ここまで長らく見ていただきありがとうございました!

【2020年9月3日:追記】番外編と称して、盛岡市動物公園までの行き方についてまとめた記事を作成しました。こちらも合わせて見ていただけると嬉しいです。


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