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AFCボーンマス、キーパー講習会

今回はキーパーについての記事です。

11月6日にボーンマスのバイタリティスタジアムでキーパー部門のスタッフ陣が講習会を開いてくれたので、行ってきました!

実は初のバイタリティスタジアムだったのですが、テレビで見るよりも小さくて驚きました。リーグ1(3部)のクラブがプレミアで戦っているっていうのは本当だったんだなって感じました笑

さて、今回の講習会ですが、理論を2時間半やりました。本当は実技があったんですが、ここのところ毎日雨が降っていて、やむなく中止に。その代わりに天気が安定する季節になったら招待すると言っていただけたので、実技編はまた今度!

ボーンマスの1stチームアシスタントコーチはPhDを保持しているかなりのアカデミックな人間で、そのため理論編はすごく興味深くおもしろかったですし、どうやらかなりエビデンスベースの練習をしているようです。

前置きが長くなりましたが、書きなぐったノートをなんとかまとめていきたいと思います。

1. 現代のトレンド分析

ボール保持・非保持の両局面におけるキーパーに求められることの変化から、どのようなことが見えてきて、何が必要になるかの分析の重要性の話がありました。

1.1 ボール保持(データはOpta)

・オープンプレーにおいてキーパーからのロングボールは13/14シーズンと比べて13%減少している。
・ゴールキックの距離は13/14シーズンよりも22%短くなっている。

データを見なくても近年の傾向からキーパーのポゼッション能力(ショートパス)の重要性は認知されていますが、「だからと言ってロングボールは蹴れなくてもいいというのは違う」と言っていました。

エデルソンが脅威なのは短く繋げるだけでなくディフェンスラインの裏にも正確に蹴れる能力があるからだ、と説明し、ボーンマスの選手ではないですが、アカデミーで短くしか繋いでこなかった選手がロングボール中心のチームに移籍して怪我をしたらしく、ロングボールの引き出しも用意しておかなくてはいけない、と力説していました。

トレンドから実装しなければいけないものとして

・新しいゴールキックルール
・ポゼッション時のサポートのポジショニング
・相手をみてプレー(ロング/ショート、敵味方の特徴)
・様々なディストリビューションの習得

1.2 ボール非保持(データはOpta、13/14シーズン比)

・ペナ外からのシュートは24%減少している
・シュートの距離は短くなっている
・ゴールエリアからのシュートは37%増加
・ゴールエリアからのゴールは15%増
・キーパーのキャッチは16%減
・はじき出すのは20%増

これらのデータ、特にキャッチは個人的に衝撃ではありましたが、続けて「このデータはキャッチの重要性を否定するものではない。キャッチは引き続き重要な技術になるが、いつキャッチしていつはじき出すかを判断できるかが重要になる。ただ、シュートの距離の短縮や技術の向上、ボール性能の向上によってキャッチはますます難しい状況になるだろう。」とも。

「練習によってキーパーを様々な状況に置いて、いかなる状況にも対応できるように準備することが重要だ」とおっしゃっていました。

2. フィジカル

筋肉の勉強をしたことがある人は筋繊維の種類の話を聞いたことがあるかと思います。Type 1, 2A, 2B(いわゆる遅筋・速筋)

キーパーの重要なアクションは爆発的な動きが多く、それを発揮できるような練習が必要と言っています。(もちろんこれだけではないのですが…)

そこで重要なのが「時間ーインテンシティ」の関係。

長時間やる練習はインテンシティが下がるので、インテンシティを上げるためには、時間を短くする必要がある(ここまでは聞いたことがあるやつ)

つまりキーパーの爆発的な動きを練習するためには、一連の動作が6~8秒(Max10秒)で終わるドリルを設計しなければいけないということだそうです。

よくネットで出回っている、ダイブ等の負荷の高い動作を20秒も30秒も行っている練習があるが、爆発的な動きを養いたいならうちではしないと言っていました。

目安としてWork-Rest ratio は1:2.つまり10秒のアクションのあとはその2~3倍休むのがいいと。キーパーがチームに3人いればそれでローテーションすればいいそうです。

つまり、獲得したいフィジカルの要素によって時間や負荷の計算が重要になるということでした。

3. セッションデザイン

実際に上記のことを練習に落とし込む必要があるわけですが、ボーンマスで大事にしているのは

1. Identify
2. Rehearse
3. Implement
4. Showcase

の4つ。

3.1. Identify シーンの設定

どのようなシチュエーションを練習しなければいけないのか?(クロス?1v1?)
選手はどのようにそのシチュエーションに反応しているのか?(改善点は?)

3.2. Rehearse 再現

練習でどれくらい忠実にシーンを再現できるか?
どのようにして選手をその状況の解決策に導くのか?

3.3. Implement チームに組み込んで

ゲームの状況でそれらを使いこなせるか?
チームと連携して実行できるか?

3.4. Showcase 実戦

結果が伴う場で成功・失敗を経験する。

これらのサイクルでやっていくそうですが、長いプロセスでもあると言っていました。

この前の試合でクロスの対応がダメだったからといっても、成果がすぐに次の週末に出るわけではありません。根気よく長いスパンで取り組む必要があると言ってました。

4. 最後

これらの他にもいろんな話があったのですが、なかなか文字にして説明しづらいものもあったのでこれで終わります。(完璧なテクニックなんてない!とか)

これからも少しずつ小出しにしていきますので。

最後まで読んでくださってありがとうございました!

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