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ラムネの季節

私はラムネというものがとても好きです。
あの瓶の、中にガラス玉が入ったラムネ。
持った時の、瓶の形のでこぼこの感触、
栓を開けたときに「おっとっと」という感じで、溢れてくる中身を急いで口に運ばないといけない感じ、
中のビー玉に付く、小粒の泡たち、
空になったときのガラス玉が瓶の中で鳴らす涼しいあの音も
どれもが「夏っぽい!」と思わせます。

小さい頃は夏の夜、お風呂上りに飲んでいました。
それがここ数年はなかなか瓶のラムネを飲む機会もなく、過ごしていたのですが。
偶然、一昨日スーパーで買い物をしていたら、懐かしい瓶のラムネが置いてありました。
「瓶のラムネ!!」
迷わずラムネの瓶を手に取り、購入し、冷蔵庫の中でじっくり冷やしました。

そして昨日、運動した後に、冷え冷えのラムネを飲んで、
やっぱりラムネはいいなと思いました。
中身はシンプルなサイダーなのに、
どうしてこうも、ラムネというのは私の心を掴むのだろうと色々な角度からラムネを観察したり、わざと中のガラス玉を鳴らしたり、瓶の重さを改めて感じてみたり。

子どもの頃はよく、中のガラス玉を取り出そうと、奮闘した記憶があります。
取り出せたときは嬉しくて、しばらく取っておきました。
どのラムネのガラス玉も似たり寄ったりなのに、
手の平や指先で転がすのが好きでした。
今はそこまでの気力はないのですが、
それでもクリアな瓶の中に収まるガラス玉は、どこか特別な玉にも見えてきて。

前にペットボトルのラムネを飲んだことがあるのですが、
なんだか味気なくてつまらないと感じてしまいました。
あの瓶特有の冷えや、ガラス玉が鳴らす音が、私は好きなのに!
なんて、勝手に思っては最近瓶のラムネが少なくなっていることを心の中で嘆きました。

蒸し暑い、日本の夏。
でも、透明感のある瓶や、ガラス玉や、
冷たいサイダーは清涼感があります。
昔の人は見た目や音でも、涼しさを作ってきたのかしらと
昨日、ラムネを飲んだり、観察をしていて思いました。

この夏、しばらくラムネで夕涼みをしたいなんて、考えています。

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